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紅い果実  作者: 酒田青
紅い果実とその他の短い幻想ホラー
9/58

山の中

 町の人たちは輪になって、暗い山の中で踊っていた。私も中にいた。

 山の頂上の広場は鬱蒼とした木木に囲まれ、月のない今夜のために、輪の中央では焚き火が焚かれていた。

 虫がチロチロと鳴き、辺りは寂しかった。それでも私たちは無言で踊った。

 笛吹きはピロピロと奇妙な音を鳴らし、太鼓を抱えた人々がトントンとばちで朱塗りの太鼓を叩いた。

周りに人気は無かった。

 踊りながら、私は妙なことに気付いた。

 輪が小さくなっている。

 笛と太鼓、火がパチパチはぜる音、虫の声。

 私たちは地面を踏みしめ、同じ踊りを踊る。

 妹が見当たらない。2つ隣にいたおじさんも見当たらない。

 輪はますます小さくなっていく。

 笛が一際甲高く鳴る。私たちは踊りを速める。

 踊りの輪は、とうとう五人だけになっていた。

 私は目だけはキョロキョロと動かしつつ、踊る。

 太鼓の音が止んだ。笛の独奏が始まる。

 私一人が踊っていた。

 誰もいない広場で、激しく燃え上がる火の周りをぐるぐると、一人で踊っていた。

 太鼓の音が戻ってくる。笛の音が静かになる。

 演奏は寂しげな物へと替わる。

 何者かが私の体を捕えた。

 私は後ろ向きに林の中へと引きずり込まれた。


 《了》

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