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紅い果実  作者: 酒田青
紅い果実とその他の短い幻想ホラー
7/58

 炎が上がる。

 僕は彼女を見る。

 彼女は踊っていた。

 楽しそうに。嬉しそうに。

 狂ったように踊っている。

 僕は立っている。立ったまま笑う。

 辺りは赤く染まる。

 彼女も赤色になる。踊りながら、赤くなる。

 彼女がステップを踏むたびに、赤色がちかちか視界を横切る。

 僕は笑う。僕もきっと赤いだろう。

 熱気が僕たちを襲う。

 彼女は熱に浮かされたように踊る。

 回って、回って、回り続ける。

 僕の髪の生え際から熱い汗が流れ落ちる。

 僕はそれでも笑っている。笑わずにはいられない。

 黒焦げの彼女が足元に横たわっている。

 焼けた肉の臭いを僕は吸い込む。

 僕は大いに笑う。

 爽やかな朝だ。


 《了》

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