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ここからの風景
積もった落ち葉に小枝が混じる。昨日の風で落ちたものたち。目を凝らしてよく見ると、ランダムに広がるそれらは笑った人の顔に似ている。子供の顔だ。何だか可愛い。
夏の終りに生まれた子猫がこっちを見上げる。外国の血が混じっているらしい上品な母猫が子猫を舐める。二匹の子猫は迷惑そうに首をあちこちに向けながらも、母猫の側から離れない。
赤ん坊の形をしたストラップが、潰れて汚れてアスファルトの上に落ちている。私はあれを知っている。テレビで人気のキャラクターだ。
黒く光る羽根が一本落ちている。上でギャアギャア騒いでいる連中が落として行ったのだろう。
大勢の人々がこちらを見上げている。その顔は唖然として、蒼白で、中には涙に濡れたものもある。不思議だ。どうしてそんなに驚いているのだろう。
私の足が見える。茶色の合皮の汚れたブーツに包まれてブラブラしている。あれは中々のお気に入りだ。ついつい履き潰してしまったのだけれど。
皆さんこんにちは。首から木にぶら下がる私の姿は、そんなに奇っ怪ですか?
《了》