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紅い果実  作者: 酒田青
再び紅い果実に類する幻想ホラー集
45/58

ここからの風景

 積もった落ち葉に小枝が混じる。昨日の風で落ちたものたち。目を凝らしてよく見ると、ランダムに広がるそれらは笑った人の顔に似ている。子供の顔だ。何だか可愛い。

 夏の終りに生まれた子猫がこっちを見上げる。外国の血が混じっているらしい上品な母猫が子猫を舐める。二匹の子猫は迷惑そうに首をあちこちに向けながらも、母猫の側から離れない。

 赤ん坊の形をしたストラップが、潰れて汚れてアスファルトの上に落ちている。私はあれを知っている。テレビで人気のキャラクターだ。

 黒く光る羽根が一本落ちている。上でギャアギャア騒いでいる連中が落として行ったのだろう。

 大勢の人々がこちらを見上げている。その顔は唖然として、蒼白で、中には涙に濡れたものもある。不思議だ。どうしてそんなに驚いているのだろう。

 私の足が見える。茶色の合皮の汚れたブーツに包まれてブラブラしている。あれは中々のお気に入りだ。ついつい履き潰してしまったのだけれど。

 皆さんこんにちは。首から木にぶら下がる私の姿は、そんなに奇っ怪ですか?


 《了》

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