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道
僕は立っている。広い広い場所に。
左右に真っ直ぐな道が伸びている。果てが見えない。
目の前を、大勢の人が道に沿って走っている。一定の間隔を空けて、素早い動きで。
全員が燃えている。燃え盛る人たちが大勢、右に向かって走っていっているのだ。道の外は真っ赤だ。
後ろには黒い布を被った大勢の人間が、道に沿ってぞろぞろと歩いている。道の外は真っ黒だ。
彼らは焼かれた人骨を運んでいる。それぞれの手にペンキの空き缶や花瓶を持って、その中にボロボロの白い骨を詰めている。彼らは左に進む。
僕に残された場所は、この道しかない。僕は道を行くしかない。
右に行けば何が起こるのか、左に行けば何が見えるのか、僕には分からない。
《了》