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紅い果実  作者: 酒田青
童話的小品集たち
33/58

白い城の王女様

 白い城は塩の城。

 青い王女様は大勢の家来と共に、城に住んでいました。

 ある日、果物屋が「王女様にもぎたてのみずみずしい桃を」と、城にやって来ました。

 王女様は青白い頬をほころばせ、白い家来に剥かせた桃を一口、食べました。

 そして一言、

「不味い」

 王女様は顔をしかめました。すると、白い家来が大勢やって来て、果物屋を捕えました。

 果物屋は、泣き叫びながら城の壁に埋め込まれました。

 白い城の壁は塩の壁。

 果物屋は二日もしないうちに、しなしなの塩漬けになってしまいました。

 またある日、反物屋が「王女様に最新流行の綺麗なドレスを」とやって来ました。

 王女様はニコニコと、ドレスが取り出されるのを待ちました。

 箱から出てきた赤いドレスを見て一言、

「赤は嫌いよ」

 王女様は顔を背けました。すると、またもや白い家来が大勢やって来て、反物屋を捕えました。

 反物屋は泣き叫びながら、赤いドレスと共に王女様の足元の床に埋め込まれました。

 白い城の床は塩の床。

 反物屋も二日もしないうちに、しなしなの塩漬けになってしまいました。赤いドレスがうっすらと、傍らに透けて見えました。

 こうして王女様は次々に人間を塩漬けにしてしまいました。

 今では壁じゅうが人間の塩漬けだらけになってしまったということです。


 《了》

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