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余命宣告されました!

やまびこ放送第12号です。

皆さん、大変ご無沙汰してました。お元気でしたか?

目標「100号達成!」には程遠いようですが、また書き出しました。宜しく!

放送仲間の一人が、癌に罹りました。今回は、その手紙です。

謹啓


 (前書き)

 お元気ですか?お仕事の方はうまくいってますか?北京の方は順調の事と察します。 

突然の手紙ですので、驚かれた事でしょう。

黄泉の国から戻ってきました。そう、「生きています。」「死ぬかと思いましたが、、、生きています。」、、、、、余命宣告!で動顛しましたが、、、、、。


(本文)

 やっと秋らしくなったと思ったら、秋を通り越して、冬の気配ですね。11月には、30度越えが聞こえたりで、まさに、「狂った気候」でしたね。日本の素晴らしい四季が無くなって二季になる、などという説も出てきつつあるとか、、、北京の方はどうですか?

「狂った気候」は、まるで私の体調と一緒ですね。

 

 半年ほど前に、貴方には何も言わずに、私は音信を絶ちました。私には、あまりにもショックが大きかったからです。青天の霹靂の如く突然やって来たのです。ですから、貴方だけでなく、全ての人と音信を絶つことにしました。色んな意味でご迷惑をかけてはいけないと思いました。身勝手にも、「残り少ない静かな余生を、、、」と考えた次第でした。でも、仕事の事がありましたので、谷口相談役にだけは、事情を話して、ご理解を戴き、契約を打ち切らせていただきました。そして、相談役以外は誰にも連絡しないことにしました。


あれから9か月になりました。それにしても長いあいだ、家族以外の人とは話さないでいるので、何か寂しさを感じてきています。そう、娑婆が懐かしくなりました。なかなか「世捨て人」にはなれないものですね。

そして、近頃はだいぶ落ち着いて体の方も順調なので、手紙を書くことにしました。


 実は、


(あれから、とは、この日からです。)

『2月24日』からです。


高峰大学病院、泌尿器科第20号室田中先生診察室にて。


先生 「斎藤さん、やはり、『悪性』でしたね。」

   「生検は、15本のうち11本がアウトでした。」

      ㊟(生検=がん細胞を摘出して一週間~10日培養して良性か悪性化を診る。)

俺  「、、、、、、、、、、」

先生 「普通は9本しか採りませんが、、、鈴木先生が慎重を期して余分に摘出したのでしょう。

    いずれにしても、悪性腫瘍です。」

俺  「、、、、、、、、、、」 

先生 「悪性末期がん、ステージ4です。」

俺  「、、、、、、、、、」

俺  「先生、、、、切ってください。大学なら、ロボット手術が出来ると聞いてきましたので、、、

    病院を光雲会から大学病院に変えたのは、そのためですので、切って下さい。」

先生 「斎藤さんは、ロボット手術(ダ・ヴィンチ・システム技術)を希望されていると確かに聞きまし

    たが、手術自体は無理です。無理と言うより無駄です。」

       (と、にべもなく断わられる。)

      そして、(丁寧に、諭すように話す)

先生 「何故なら、既に肺と腰の骨にも転移してますから、、、、前立腺のがんを切り取っても意味がな

    いんです。肺と腰の方にも転移しています。ですから、手術をはじめたら前立腺だけじゃ済まな

    いんです。手術は体力的にも心配です。無理です。」

俺  「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、」

俺  「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、」

先生 「斎藤さん、、、、余命宣告します。、、、、、ステージ4の悪性末期がんです。、、、、、」

   「50・50の5年です。」

俺  「、、、、、?」

先生 「あと5年以内に、半分はアウトで、半分はOKです。」

俺  「、、、、、?」


私としては意外でした。「余命宣告」とは、長くてあと半年か1年かなと思ってましたので、、、。更に先生は話されました。


先生 「50%の成功を信じて、80才、更に85才、90才、95才と頑張っていきましょう。」

俺  「??」(これって、「余命宣告」なの?)

先生 「早速、明日から治療にかかりましょう。」


 そうです。ダ・ビンチシステム(ロボット手術)は諦めて、各種抗がん剤治療をやることにしました。次の①②③は、3点セットでトリプレットと言い同時進行治療です。以前は別々だったそうですが、最近の治験や治療実績から、「同時進行が良い」という事になったそうです。患者の同意があれば、同時進行がベターとの事でした。

俺  「そのトリプレットで、お願いします。」


①ゴナックス(痛い注射)②ニュベクオ(カプセル錠) ③ドセタキセル(120分の点滴注射)


 抗がん剤点滴治療(③ドセタキセル)は、6クールあります。その第1クール(2週間入院)が終わった時、所謂、抗がん剤治療患者の悲哀や苦難・苦痛を想定してましたが、ラッキーにも味わう事が出来ませんでした。副作用もほとんど出ませんでした。髪が抜けた程度です。ですから、痛くもかゆくもありませんでした。

「お先真っ暗」な境地から、第1クールが順調だったので、何となく安心しました。

「一病息災」、私にとっては、とてつもなく大きな一病ですが、闘病生活に入って長生きを目指しています。先生のお話では、「癌には完治はない」そうです。死ぬまでの闘病生活のようです。抗がん剤治療は、4週間置きに第6クールまで続きます。


 そして、やっと、第6クールまで終わりました。先生が驚くほど順調でした。

先生 「私は、今12人の癌患者さんを診てますが、斎藤さんが一番順調です。」

俺  「、、、、、」(喜んでいいのかどうか複雑でした。)


 ついに最後の第6クールは、11月5日に終わりました。。

副作用も非常に少なく、自覚症状などもほとんどありませんでした。そのごのCTや映像検査でも「結果良好」でした。 


以上が私の現況報告です。   

 

順調とは云え、「抗がん剤を打った後は、人混みを避けるように」とか、色々制約はあります。でも、副作用も少なかったので、いたって普通に暮らして行けそうです。


この半年間、家族以外は誰とも話していません。何か、人恋しくなりました。

いずれ、いつか、お会いできればいいですね。

                謹白

    山口武三 様

                               斉藤隆

            令和6年12月10日


本人曰く。

「癌は金がかかると聞いてたが、本当だね。」


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