① ガソリン補助金の”消えた3兆円”問題
そもそも国債を発行すれば良いのではないか? という理論を僕はもっていますが、それにしても現在の予算のやりくりすらも怪しいということを焦点にさせていただきます。
結局のところ予算をいくら国債を発行して増やそうとも中抜き団体を潤わせるだけでは国民の生活はあまり豊かにならないからです。
筆者:
今回はご覧いただきありがとうございます。
まずはガソリン補助金の問題点についてみていきましょう。
質問者:
ガソリン補助金が無ければ1リットル当たり200円を突破していたという話もあるので、効果があったのではありませんか?
筆者:
確かに何もやらないよりかは良かったと思います。
しかし、それはガソリン税を廃止した後の追加策としてやって初めてプラスになるというだけです。
最初に行うことはガソリン税廃止なのです。
質問者:
それはどうしてでしょうか?
筆者:
これまで22年1月から23年9月までの1年8か月で累計6.2兆円のガソリン補助金を投入しています。
ガソリン補助金は全国平均のガソリン価格が1リッター当たり170円を超えたら、5円を上限に石油元売り会社に補助金を支給するという制度です。
ところが、令和5年度の揮発油税約2兆2000億円(ガソリン1リットル当たり53.8円の税金、トリガー条項分が25.1円)であり、
資源エネルギー庁は燃料油価格激変緩和補助金のHPにおりますと、2022年1月からの発動効果を公表しています。それによると、抑制幅の最大は2022年6月20日と同年7月11日の「1ℓあたり41.9円」と
補助金の総額としては約3年ガソリン税を撤廃し、53円安くできる金額ですが、マックスですら53円分安くできていないというのが実情なのです。
質問者:
えっ……どうしてこんなことになっているんでしょうか……。
筆者:
実を言うと経済産業省の資源エネルギー庁のガソリン補助金についての解説では
『消費者に直接補助金を支給する制度ではありません。また、小売価格の高騰を避けるための制度であり、価格を引き下げる制度ではありません。』
となっています。
なんとこのガソリン補助金は石油元売会社に対する支援であって国民に対する「物価高対策」ではないのです。
また、先述した通り170円を超えないと補助金を支給しないので、逆を言うと“それ以下にはならない”といった性質もあるのです。
実際にレギュラーガソリンの補助金後の全国平均価格と補助金が無い場合のガソリン価格との差額分だと3兆円分しか使われていないことがNHKの23年9月4日の『ガソリン補助金延長 負担どうなる?』のグラフを見るとわかります。
つまり、その差額分3.2兆円は“どこかにか消えている”んです。
一部はそれ以上の価格になった際の“予備”として使っていないと思われるんですが「中抜き」されている可能性も否定できないのです。
実際に石油元売り業者大手のエネオスホールディングスは23年3月までの1年間の決算で、最終的な利益が前の年度の約5倍で過去最高の5371億円など大手3社で約1兆円の利益を出したようです。
質問者:
えー、1兆円分国民に還元してほしいです。会社の利益にしないで欲しいですよね……。
筆者:
これについては悲しい事ですが民間企業なので利益を追求するのはある意味当たり前だと僕は思います。
ただ、制度には穴があると言えると思います。
元売り会社に補助金を出すのなら販売会社にその分に匹敵するだけ小売会社に安く払うなどを強制しなくては今後も同じことをやり続けるのは必然と言えるでしょうね。
また、インフラ系企業が国営化どころかどんどん民営化しているというのもこういった現象を起こしている一因と言えますね。
インフラ系企業の黒字は配当金と役員報酬増額に行くだけで、国民はその分のマイナスを被っているのです。
1兆円ともなれば1人当たり1万円弱ほど余計に安く(国民負担を軽く)できるということです。
質問者:
しかし、どうしてこんなことになっているのでしょうか? 減税したほうが効率が良くないですか?
筆者:
徴収して分配することによる中抜きが可能だからです。
政治家としては権力の集中に繋がります。石油元売り会社は自民党の大口献金を行っていますからね。
また、選挙の際に寄付をしている会社や宗教、政治団体の方々は選挙運動員としてタダで送り込んでくれます。こうして寄付金という表の利益もあるし“無償”という貢献で政治家を支えているのです。
このように相互に依存関係を作ることで日本一般国民は貧困化しているのです。
敢えて“制度の穴“を作って事実上の会社への「公的予算による利益供与」を行っていると言っても良いでしょう。
つくづく思いますが、政治家は国民に対しては“いい顔“だけをしておいて実情は自らの利益・権力強化のために行っているのだと思いますね。
質問者:
「只より高い物はない」って言いますけどまさしくそんな感じなんですね……。
筆者:
国民(票)をお金で買収することも問題ですが“無償労働”という形で事実上の癒着を生んでいることも大いに問題だと思います。
また、ガソリン税の「トリガー条項」を発動しないのはそもそも租税特別措置法違反と言えるんですね。
「トリガー条項」と言われているのは租税特別措置法第89条のことで
『3か月連続で1リットル160円を超えた際に、日本国政府が租税特別措置法に基づき揮発油税や地方揮発油税を引き下げ3か月連続で130円を下回れば特則税率を復活する』
といったものです。
今ガソリン補助金を与えても、170円を超えているわけでいつでも発動する条件としては揃っているわけです。
質問者:
どうしてトリガーが「詰まった状態」になっているんでしょうか?
筆者:
東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の第44条では、『東日本大震災の復旧及び復興の状況等を勘案し、4月27日から別に法律で定める日までの間、その適用を停止』(上の租税特別措置法89条も含む)
ということになっているからですね。
ですがよく考えてみればこの間の東京オリンピックは「震災復興五輪」だったはずです。
つまり、この臨時特例に関する法律を廃止することも可能なわけで、「法令違反内閣」ともいえると僕は思っています。
※もちろん今現在震災によって苦しんでいる方がいらっしゃることとは別問題です。
質問者:
トリガーを発動しないのもやはり政治権力を強化したいが為なのですね……。
筆者:
悲しいですがそうなります。
しかし、更なる問題はこれらの事実をマスコミが問題にしないことから一般国民が分かっていないのです。
今、洋上風力発電について癒着があったのではないかとか盛んに報道されていますけど、そんなのは微々たる問題です。それを全く報道しないことは問題ですが、それ以上にこういった中抜きの無意味さを前面に押し出し「減税ムード」をマスコミは本来作っていかなくてはいけないのです。
僕のように調べる時間に余裕がある人間ならばともかく、普通に暮らしておられる方は日々の生活に追われていますから、見出しだけを見て判断してしまってもおかしくはないでしょう。
そのためにメディアの責任というのは大きいと言えるのです。
普通の方なら報道頻度に比例して重要な事柄だと勘違いしますからね。
「報道の自由」という名のプロパガンダ・情報操作が行われているということを国民は理解する必要があるように思えます。
質問者:
性善説は優しいのかもしれませんけど、残念ですけど今の政府とマスコミについては疑ってかからないといけませんね……。
筆者:
僕もこんなことは本当は言いたくないんですけど、現実としては疑って調べえるしかないということです。
マスコミの方々には一刻も早く改心して真実を報道していただくか、ちゃんと勉強して欲しいと思いますね。
さて、後半では消費税のインボイス制度についての問題点や、減税をする必要性についてみていこうと思います。
マスコミの問題点については、
「マスコミは全てがプロパガンダ! ニュースを見てはいけない3つの理由」
https://ncode.syosetu.com/n8344hq/
をご覧ください。