救いの手はだれにだってある
美神は元々人に対しての関心がなかった。
それは過去のせいなのかは分からない。
ただ本当にどれだけ努力しても関心というものは生まれない。
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私が変わったのは多分高校で変わったのだと思う。
最初に会った時はとても腹立つやつだと思ってた人が今目の前で私を庇って気を失って...
考えただけでも心が苦しい。
それくらい私は彼、橘輝に依存しているんだなぁって。
「...初めて興味を持てた人...だからまだまだ色々なことを知りたい...」
ふわふわとした夢をただただ聞く人もいないこの無駄に広い病室内でポツリと呟いた。
何故か知らないがまた涙が溢れてくる。
寂しいのだとしたら私はとても依存しきっている。
もう彼無しじゃ生きていけないくらいまでには。
「...ねぇ...お願い...戻ってきて...ねぇ..」
涙のせいか声が一言一言でしか話せない。
さっきまで沢山泣いてもう涙なんてものは枯れたはずだと思っていたがまだ私の涙腺は乾ききっていないようだ。
大量の涙が決壊したダムの水ように溢れ出てくる。
「お願い輝...お願い...やっぱり怖いの...私、自分勝手かもしれない、私が最初から油断してなかったら、私がもっと周りに注意していたら、そう考えると輝が私の事嫌いになってもおかしくないなと思うの、でも嫌いになって欲しくない...私...輝がいなくなったら...」
自分勝手なのは承知だ。
でも怖い、もし輝が目覚めて「お前のことは嫌いだ」なんて言われたら...
そう考える度に体の芯から震えてくる。
「いつもみたいに呑気な様子で笑って!いつもみたいにゲームして笑って!お願い...輝...」
失ってから気づく尊いもの、輝の呑気な笑顔、昔の自分なら腹が立ってどうしようも無いものだったが今となればその輝の笑みが無く、とても心が疲弊しまくっていた。
美神は椅子に座りながら恐怖なのかそれとも寒さなのか分からないが原因不明の寒気で椅子の上で3角座りで静かに輝の起きるのを待った。
人間の体は正直だ。
美神の体の温度が辺りに逃げにくくなっている体勢なため意識も遠のいていく。
「はっ!まだ寝たらダメ...輝を...だから...だ...め...」
体というものは時には反抗する。
脳みそでは起きろと体に命令を下すが今のように裏切る。
まさか美神もこのタイミングで体が反抗するとは思ってもいなかったが眠ってしまえばそんなことは意識の他になってしまう。
美神は輝の手を子供がお気に入りの物を持ちながら寝るように眠った。
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美神は夢は嫌いだ。
過去のことをフラッシュバックしてしまうからだ。
それくらい過去のことは脳裏に烙印のように熱くそしてはっきりと記されてしまっている。
今日も最悪な夢が見れそうだ。
「あんたって人は!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
また私は母に怒られる。
妹と比べられそして貶され。
自分のプライドなんてものは崩れ去ってしまう。
今の自分なら対処は分かるけどこれは過去の私...だからただ恐怖に怯えカタカタ震えるしか手はなかった。
「なら出ていきなさい!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい頑張りますから!家に居させてください!」
小さな頃の私に苛立ちすら覚えるくらいの言われようだ。
でも実際今でもこの場に立ってしまえば物怖じしそうになるだろう。
母は私によく出ていきなさいと言う。
そんなに私のことを見たくないのかなと思うともっと頑張らないとと思う。
これも昔も今も変わらないだろう。
結局私はいつたっても弱いままだった。
進化したはずなのに進歩がこれっぽっちもない。
そう考えると底なし沼のような...どこまで続くか分からないくらい深くそしてドロっとしている沼に体が捕まっていく感覚が生まれてきた。
もがいてももがいても底なし沼は私のことをガッチリとホールドして離さない。
(怖い...怖い...怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い)
先の見えない未来。
そんな未来を考えると頭がかち割れそうなくらい痛くなってきた。
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いつもならここで終わりだった。
でも今日は...
「あれ、俺?あそっか」
心の底から望んだ呑気な声が聞こえる。
この声を望んでいたのだ。
絶望の中にただ1本の輝の道が灯された。
(輝...?輝)
脳が追いつかない。
だが体でわかる、私は救われたのだと。
ブックマーク、ポイント等やって欲しいなちら




