初体験(全年齢Ver.)
「ちょっとマシになったか?」
「う、うん」
美神は輝の胸の中でとにかく泣いた。
今までの孤独をたった一人の何も無い男が変えてくれた感動でだ。
少しマシになったのか美神が動いている。
出口を探しているような感じだ。
それに気づいた輝は美神を解放させた。
「ありがとう…これからよろしくね」
「あぁ、友達第1号としてがんばるよ!」
「心事ないね」
「あぁん!」
「ふふふ、嘘よ」
美神が口に小指を軽くつけその様子は妖艶さすら感じさせる。
その姿を見てドキッとしない人間はきっと居ないだろう。
もちろん輝は死ぬほどドキッとして仕方ない。
「ねぇ、もう寝ないといけないから寝よう」
「は!はい!」
また声が高くなった。
その様子に美神は少しクスッとした。
「やっぱり笑顔が似合うな」
つい口を滑らせてしまった。
その時一気に顔が赤くなると声を荒げて話した。
「またそんなことを・・・バカー!」
ベッドに置いてある枕を顔になげつける。
ジャストに顔に当てる精密性は見習うべきか?
その後美神は毛布にくるまった。
全く口を聞いてくれないのは言うまでもない。
「ごめん・・・マジでごめん」
「・・・あんたのせいよ」
「すまん、本当にさっきの件はすまん」
美神がついに輝の方へ振り向いた。
可愛らしい雰囲気で睨みつけている。
毛布の被り方的にも小動物のような愛らしさがあり余計理性の破壊に拍車がかかるのは言うまでもなくだ。
しかし声はとても落ち着いている。
「・・・わかったわ」
「良かったぁ」
何とか美神のご機嫌を取れて安堵の声が漏れた。
理性の崩壊よりもご機嫌が取れたことの方が気持ち的には大きい。
あまり美神が照れそうなことを言うのは気をつけよう。
そう固く教訓となった出来事だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「いやぁすげぇふかふかじゃん」
「まぁ高いし」
「いやぁ疲れが取れるなぁ」
輝はこのベッドの柔らかさに戦慄している。
ヨギボーくらい柔らかいのではとヨギボーを使ったことの無い人間が考えてしまうほどだ。
その様子に半分呆れ半分笑のような顔でこの部屋の明かりを消すリモコンを持つ。
「もう明かり消すね」
「あ、了解」
輝の承諾を得るとボタンを押し寝室の明かりが夜と同化した。
今この部屋には月明かりが唯一の明かりだ。
(なんか今日寝れそうにないなぁ)
そう、輝が1番恐れているのは睡眠のときだ。
もし理性が決壊寸前の時に寝てしまえば朝起きた時にいわゆる朝チュン現場になっていたりするかもしれない。
もしそうなれば次の日からまともに美神と顔が見れなくなるという男ならではの恐怖に襲われた。
「輝・・・少し近づいていい?まぁ拒否権はないけど」
「あぁ、そうだよな・・・良いよ」
「ありがとう」
美神の今にも寝てしまいそうな声が聞こえると背中に柔らかい何かが当たった。
とても柔らかい。
その柔らかい何かは輝の理性を崩壊まで導くには容易くできる代物だ。
「なぁ、当たってるんだが」
「友達同士ならあまり気にしないでしょ」
「気にするわ!」
輝は美神のとんでもない偏見にツッコミを入れた。
というか入れるべき間違えだ。
「それ俺だから良かったけど他のやつだったら…」
「でも私は輝を信じてる…」
「俺も男だ…そこは何とかしてくれ」
「わかった、でも背中は貸して」
いつものツンツンしている性格がここまで変わるのはもはや恐怖の沙汰でもある。
ここまで懐に入ると甘えるとは輝自身思っているわけが無い。
というかここまで甘えると予想できる人がいるわけもない。
ちなみにこの間もずっと柔らかいものがゼロ距離でくっついているため精神が削れかかってきている。
「なぁもう少し何とかならないか?その・・・胸とか」
「サイテー」
「うるせぇまぁこれは俺自身の精神の弱さだが」
輝はこの時決めた。
もっと修行して煩悩を作れぬ人間になると。
しかしまだ試練は続く。
「・・・すぴー・・・すぴー・・・すぴー」
可愛らしい寝息が輝の背中にかかる。
マシュマロのような柔らかい胸と寝息のダブルコンボで輝の自制心はマッハで削れていく。
(おいおいおいよく寝れるなこんな状況で!)
輝の脳内は多量の情報で脳が壊れかかってきている。
(静まれ!静まれ俺の気持ち!)
心臓の音がどんどんミシンのように早くなっていく。
今振り向くと後ろには可愛らしい美神が見える。
だが見てしまえば終わりだ。
ここまで耐えてきた輝の今までを自分で裏切ることになる。
(俺は、俺は・・・俺はどうなってしまうんだー!)
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みんなごめん
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鳥のさえずりが聞こえる。
今まで月明かりだったのが太陽の陽となりその明るさが部屋全体を包む。
少し体を起こすと隣に密着している美神を見下ろした。
相変わらず可愛いらしい雰囲気だ。
学校での完璧の仮面を被っている人とは思えないくらい人形のような、いや人形よりも可愛い。
(まぁ可愛いな)
ずっと見ていると自然と照れが生まれてきて軽く美神の髪を撫でるとベッドから外に出た。
(いや昨日は・・・何も無かった!)
服装も輝が恐れていた朝チュンコーデでなくとても安心だ。
(結局あの後脳が限界迎えて気を失ってしまったからなぁ)
輝の脳がキャパシティーオーバーしてしまい気を失うといった形て睡眠を迎えたのだ。
まさかの初めてのお泊まりの睡眠は失神といったとても恥ずかしい初体験で終わってしまった。
立ち上がり制服に着替え学校の用意を軽く済ましスマホを見た。
いつもと同じスマホの通知達が輝に大きな安心感をくれた。
多分一生ないであろう通知に感謝することは。
ゲームの通知と公式メッセージの通知だけだ。
この代わり映えしない通知と現実は反対だ。
スマホを弄ってるうちに寝室から物音がしてきた。
「おはよー!美神」
返答が来ない。
きっとまだ寝ぼけているのであろう。
そう思い寝室に許可なし(....)で入った。
寝室に入ると着替え途中の美神が居た。
もちろん丸裸なわけがなく下着姿だ。
「あ、そ、そのすみませんでし・・・げふ!」
「何見てるのよ!この変態!」
美神は顔を高速で真っ赤にした。
美神は急いで使ってたであろう枕を手に持ち思いっきり投げた。
枕は輝の顔に激突。
柔らかい素材なため痛くは無いが鼻をむずかせる。
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「あの、何とか機嫌を直してくれ」
「・・・」
朝ごはんの時、美神はさっきの覗き(誤解)を解くのに必死だった。
しかし考えれば考える程輝の方に落ち度はあるので物を奢るのにシフトチェンジさせるしか出来なかった。
そうしざる得ない。
「わかった今日食堂のプリン奢るから」
少し美神の体が動いたのを輝は見逃さなかった。
(これは勝ったのでは!)
しかし美神は輝の思う数倍は強い。
「私の体はプリン1つの価値なの?」
「うぐっ!」
美神がそっぽ向いて冷たい言い方で話す。
その言い方にとても刺さるものがある。
「わかった2つ!2つで手を打ってくれ!」
「・・・わかった・・・2つで手を打つよ」
少し腑に落ちない言い方だがさっきに比べ顔が柔らかくなっていた。
その時やっと美神は輝の方へ向いた。
顔は笑みがある。
(やっぱり笑顔が1番似合うな)
声には出さない。
でも心中ではとても強く思っている。
(可愛いやつ)
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)