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他人を救うのに理由は居るのか?

「・・・」


輝の口が震える。


怒りのせいか無意味な口の動きが徐々に増えてきた。


まだ肝心な美神と茜の件すら話していないのに・・・


落ち着きを取り戻すためにも置いてあったお冷を飲み頭を冷やした。


名前の通りお冷はかなり冷えており高まった気持ちを消火するには十二分な冷たさだ。


「・・・少し話しを変えてよろしいでしょうか?」


「・・・もちろん大丈夫ですよ」


一真はさっきも変わらない様子で答えた。


その変わらない雰囲気がもはや恐怖になりつつあるせいか冷や汗が出てきた。


「あなたは美神と茜、どちらを帰らすつもりですか?」


「帰らす・・・ですか」


輝は自分自身でもかなり性格の悪い質問をしてしまった気がした。


もちろんながらその質問にやっと顔を歪めた一真に少し達成感を得たのは秘密だ。


「・・・要するにどちらをこちらと一緒に帰る・・・と言った感じですか?」


「えぇそのような感じです」


もし愛情があるのなら2人とも連れ帰るか2人の幸せを願い1人去る、どちらかになる予想だ。


しかしこの氷川一真は・・・


「・・・出来の良い茜が欲しいですかね」


「・・・は?」


開いた口が塞がらないというのはよく言ったものだ。


本当にこの家には愛情というものは無いようだ。


一真はまだ顔を変えない。


その姿がもはやホラーの類に感じてくる。


「・・・美神・・・は?」


「美神ですか・・・知りませんね今の状態は・・・まず知るつもりも無いですが・・・」


やはりこの男は愛情を与えたことがないようだ。


最初にあったこの人はまだまともという感情は今となっては塵のように辺りをまって行った。


今ある感情は・・・友達を目の前で侮辱された怒りのみだ。


この時輝は思い出した美神の家に泊まった時の悲痛な美神の叫びの理由とこの言葉がなんとなくだがリンクしそうだ。


(だからあいつは・・・クソ!)


「話にならない・・・茜はこちらには帰りたくないと言ってました・・・俺は茜の気持ちを優先させたい!」


さっきまでの敬語は怒りのせいかどこかへと消えていってしまった。


歯をかみ締めた後に言ったので顔がとても強ばっていたであろう。


だが今そんなことを気にする必要は無い。


「・・・そうですか・・・なら美神を・・・」


その時本当に何かが切れた。


プツンと音を立てて。


こうも簡単に人間の怒りの糸というものは簡単に解けることに驚きすらある。


輝は怒りの興奮で立ち上がった。


かなり勢いよく立ち上がったので机が勢いよく揺れた。


カップのぶつかる音が良い怒りの表現のスパイスとして君臨している。


「ふ、ふざけるな!・・・子供は・・・子供は汚い大人の道具ではない!この際だからはっきり言う!俺は・・・2人をあんたに渡さない!これは絶対だ!そのためにここに来た!」


本当に情けない、輝はそう思いながらも吐きたいことを全て吐き出した。


カフェというのを知っているがやはり抑えきれなく言ってしまった。


個室カフェとはいえこの言葉は響くだろう。


最初は理詰めで戦おうとしたがやはり我慢が効かなくなり結局感情的になってしまった。


このままだと自分の嫌な大人のようになってしまう。


だが一真は顔色一つも変えない。


「・・・わかりました・・・こちらも大事にしたくないですがそっちがその気なら遠慮なく行きますね」


「・・・わかりました・・・きっと俺は2人を守ります、例え高校生のこの身でも、本当に良いのですか?」


これが本当に最後の忠告だ。


一真の顔がそう語っている。


「俺はこの選択を間違いだと思ってない・・・ここで逃げてしまえば・・・一生後悔する・・・」


「なぜです?あなたは関係ない、俗に言う部外者・・・なぜあなたがここまでするのか考えれない、そしてこれは私の思想です、私の思想からすればあなたは悪なのですよ・・・」


「確かに俺の言っていることは悪かもしれない・・・でもな逆にあんたのこの思想も悪になるかもしれない、少なくとも俺は悪だと思う・・・正義の数は世の中の人間の数と一緒だ、だから俺は俺の正義を貫きたい!そのためならあんたの正義を否定するまでだ!」


覚悟が決まった。


これが開戦の狼煙だと自分でもわかった。


2人を守る決意が・・・


否定してみせる・・・一真の正義を・・・


自己中なのはわかっている、でも2人を守りたい、守れるなら悪になってでもいい。


輝は息をすっと吸い落ち着きを見せつけた。


この深呼吸が少し余裕にもなってきた。


「・・・ならこちらの強硬手段は高校卒業後に起こします・・・それまでは君の好きにさせてあげましょう」


「・・・」


突然の言葉だが輝は考えた。


(この条約に乗れば・・・いや・・・どうなんだ・・・俺は・・・)


「俺はこの条約を・・・」


喉が詰まる、何も食べていないのに。


冷や汗が止まらない、冷や汗が出ているせいか体が水分を欲している。


心做しかまだ口が震えている。


とにかく不規則にそして素早く震えている感覚だ。


寒さもない、あるものはどうしようもない怒りと決断の覚悟のみだ。


(俺は2人を・・・!)

ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)

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