メイドな一日
ソラの1日。
「・・・美神様起きて・・・」
「起きるのはソラ、あなたの方よ」
ソラが目を擦り前を見上げるとそこには本当は尽くすべき人である美神の顔がある。
だがまだ寝ぼけているのか、それとも普通に眠たいのかもう1回布団に入った。
もちろんだがそんなことは美神が阻止する。
「起きなさい!もう10時よ!」
「ふぁぁ〜、眠たいです」
目も半開きで声もふにゃふにゃしているのでまだ眠たいのがわかりやすいとこだ。
だがここで寝かすなど美神がそんなに甘いわけもない。
「・・・もっと早く寝なさいよ・・・とりあえずご飯はできたわ」
「ありがとうございます、美神様」
よく見ると美神はエプロン姿なのでさっきまでご飯を作っていたのだ。
ソラは眠たすぎてそれすら美神のセリフがあるまで気づかなかったぐらい。
美神はソラにそれだけ言うとまた台所へ向かった。
(本当にこのままじゃ、私の立場無いですね)
冷静に考えればソラはメイド、だがメイドとしての仕事をココ最近全くしていない。
暇を出されても文句は言えない身分の人なのだ。
(そうなってしまえば・・・私・・・本当にやばい)
考えれば考えるほど怖く、そしてかなり考えなくてはいけないものになってきている。
「何しているのソラ?早く食べないと冷めるわよ!」
あまりにも来なかったソラを心配してか美神は声をかけてくれた。
「は、はい!」
ソラも集中しすぎていたためその言葉がなければずっと考えていただろう。
(とりあえずご飯食べてから考えますか)
腹が減っては戦ができぬ、ということでソラはご飯を食べに行った。
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「美神様、なにかするべきことはあるのでしょうか?」
「特にないわ・・・」
美神はソファに座りながら雑誌を読んでいる。
もちろんこの状態だと仕事がないのは分かるが少しの希望にかけて聞いてみた。
結果はなし。
「・・・今日は私が全ての家事をしますので・・・」
「いや、大丈夫だけ・・・」
「やらせてください!」
突然の宣誓に美神も驚いた様子で止めようとしたがソラの意思は硬い。
美神が少しでも手伝おうなんて言う隙を与えないくらい迫真の声で言い切った。
その様子に美神すら口答えできずこの戦いに勝った。
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「まずは掃除ですね・・・」
まずソラはこの家中を掃除し始めようとした。
手始めに掃除機を使うので押し入れから出そうとした。
だが何故か取れない。
(どうしてでしょう・・・中々取れないですね)
ソラもまさかここまで詰まるとは思ってもいない。
数分経っても平行線なのでソラはある行動に出た。
(私の全体重を使えば・・・)
ソラは唯一持てる掃除機の部分を両手で持ち、下に力をかけるような体勢になった。
こうなれば後は落ちるのを待つだけ。
(今回は私の頭脳勝ちですね・・・)
余裕の笑みを浮かべていると・・・
「うわ!」
ドーン!
部屋中になにか大きなものが落ちる音が響いた。
その音にビビったのか美神が雑誌を手持ちにソラのいた部屋まで駆け寄ってきてくれた。
顔を見るとかなり驚いた様子だ。
「・・・大丈夫?」
「だ、大丈夫です」
美神は少し冷静になったのか部屋中を見渡し
「・・・ソラ・・・掃除機は壊れているからあそこに入れてたの・・・言うの忘れてごめんなさいね」
「え?」
突然の告白でソラは目が点になってしまった。
よくよく思い返せば最近は掃除機を使わずずっと美神はほうきとちりとりでゴミを掃除していた。
「あ、す・・・すみません」
「大丈夫よ、でも片付けはしてもらうからね」
そうとだけ言うと美神は部屋を去っていった。
美神も反省しているソラには強く言えないらしい。
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「次はご飯!」
もう時間は晩御飯時だ。
今日は簡単で美味しいカレーライスだ。
そのためにたくさんの具材を買ってきた。
「とりあえず切るか」
この料理ならできるだろうとソラは見積もっていた。
美神も安心して見ている。
と思わせて内心はとてつもなく不安だ。
雑誌を読んでいるように見せかけ実際はずっと監視体制を取っている。
(・・・さっきら美神様ずっと何を見ているのでしょうか)
(ソラ・・・できるよね・・・)
美神は今すぐにでも横に立って教えてあげたいが今日はそういうこと禁止令のため言いに行けない。
それが何よりももどかしく、本を読む手が動かなくなる。
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「完成しました・・・」
できたカレーライスは見た目は普通だ。
しかし中身がどうか分からない。
ずっと見ていた美神は突っ込む点が多い気がしたが見た目はカレーライスをしている。
「ありがとう・・・じゃあいただくわ」
恐怖のあまりか声が震えでも震えている。
1口すくいあげその一口目を口に入れ込んだ。
食べる前に目をつぶっていたが、その目がガン開く程の衝撃だ。
(・・・これは!)
「どうです?」
ソラの不安な眼差しで聞いてきた。
声や行動は冷静だがその中にもまだ不安や恐怖などはあるらしい。
「・・・皮って剥いた?」
「そんなの剥きませんよ、皮も美味しい栄養素ですから」
この時美神は思った。
(この子本当のアホの子だわ)
「1回1口食べてみて・・・早く!」
半ば強引だがソラに自信の作ったカレーを食べさせた。
最初は普通な顔だが多分野菜を噛みだしたタイミングで明らかに顔が変わった。
「ま、まずい・・・」
「そう・・・」
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「・・・私ってここで必要なのですか?」
「え?」
2人はソファに腰掛けている状態だ。
お互いにやるべきことが特にないのでテレビをつけたりなどをして過ごしていた。
だがそんな時にソラはついに美神に聞いた。
もちろん美神は驚きの様子だ。
「・・・どうしてそんなこと聞いたの?」
美神はもしかすればソラは辛いことを考えているのかもしれない、そう思い聞いてみた。
ソラは顔を俯かせ
「・・・私は何も出来ないポンコツという名すら与えられないメイドです・・・それに比べ美神様は何でも出来る・・・これなら私がいる意味とは・・・」
「そんなことない!」
美神は声を上げた。
その様子にソラも驚いている。
だが驚いて目が点なソラを待つことなく美神は続ける。
「私は孤独だったの、その孤独を埋めてくれることがソラの何よりもの仕事なの・・・だから・・・居るだけでいい」
「そんなの・・・」
「私は・・・もう孤独は嫌・・・だからソラがここにいないと嫌」
初めてだ。
ここまで自身の弱い態度を見せることなど。
最近来たばっかだがこんな弱い美神様は初めてだ。
昔に見た時よりも弱い、繊細な少女としている。
「・・・わかりました・・・美神様のご命令とあれば」
美神様は大胆に見せかけて本当は何よりも繊細な人だ。
・・・そんな彼女を支えることが私の本当の仕事らしい。
ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)




