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お泊まり時々理性

「あの美神さんや、もう家の前だろ…はよ帰れよ、何ずっと背中にくっついてるんだ」


「うぅ…」


美神の住んでいるアパートに着いた。


アパートは小さく一人暮らしにはさほど不便では無いような感じがする。


だがこの時の輝はこの家に美神の親が居ると思っていたので少し小さくないかと思っていた。


アパートに着いたのはいいがずっと美神が輝の背中から離れようとしない。


美神を触ろうとすると華奢な体がほんの一瞬ピクっと動いてしまう。


多分まだ怖いのだろうと輝は考えた。


「…あの…良ければ今日一緒に寝てくれない?」


「え?」


輝の脳が1度ショートした感覚だ。


いきなりの衝撃の告白は脳が一気にショートしてしまう。


この時の輝の脳内ではどうすれば良いか脳内の2人に聞くが


(入っちゃいなよ!いい事あるかもよ)


という悪魔の声、もうひとつの声は


(やめとけ…捕まるぞ)


という天使の声が聞こえる。


「あ、あの…」


「何度も言わせないでよ!」


「す、すみません」


頭を高速で下げるのはもはやサラリーマン感がある。


少し理不尽な気がするが反射的に謝ってしまった。


美神の顔をよく見るとすごく真っ赤だ。


太陽より赤いと言えば嘘になるが本当にそれくらい赤い。


視線に気づいたのか美神は顔を手で隠した。


その行動さえも愛らしく感じる。


「な、何見てるのよ!」


「い、いやなんで恥ずかしいのに言うんだって思っただ…」


「もうこれ以上喋らないで!」


美神が輝の口を手で物理的に伏せがした。


これ以上言われると自分の痴態が永遠に語られそうだからだ。


「でもな、俺家帰らないといけないし…」


「私をここまで怖がらせておいて?」


「うっ」


美神を誘ったのは輝自身なためあまり言えない。


そのためこの言葉を言われるとどうしても言葉が詰まってしまう。


「で、でもな親とかには…」


「親は…居ない」


その時の美神の顔はさっきまでの照れの顔が一気に曇った。


(親なんて…私のことをどうせ)


顔を俯かせている様子は可哀想だと同情してしまいそうになる。


「ごめん…嫌なこと聞いてしまって」


「大丈夫よ、とりあえず入って…」


美神は気分を変えたのかまた笑顔で接してくれた。


少し輝には罪悪感が湧き出てくる。


これ以降絶対に親のことは言わないと固く決意した出来事だ。


「はぁ、わかったよ…とりあえず連絡するから先に家入ってて」


輝はスマホを取り出し妹にメッセージを送っている。


だがその後ろでまだ制服が掴んでいる感覚がする。


軽く後ろを振り向くと美神はまだ居た。


「…うぅ、その怖いので少し居ても」


「そんなに怖いものか…」


美神はまだ離れない。


むしろ制服をさらに強く握ってくるぐらいだ。


ここまで怖がると少し演技と疑いそうになるがそんなこと言ってしまえば本気で殺される未来が見えるのでさすがに言葉を飲み込んだ。


「…お前本当に怖がりだな」


これは輝の唯一言えるレベルの本心だ。


美神は図星をつかれたのか一瞬ピクっと動いた。


一瞬動くとさらに強い力で制服を握ってくる。


もはや引っ張るくらいの威力だ。


「あなたのせいだからね!」


美神が声を上げて言った。


でもこれに関してはほとんど輝に責任等はあるので何も言えない。


「それを言われると…すみません」


やはり今美神の反論はだいたい輝に刺さってしまう。


「とりあえず連絡しておいたよ、俺本当に行かないといけない感じ?」


「そうよ、責任取ってよね」


美神はやっと輝の背中から離れて美神の自宅であるアパートに向かった。


(責任取ってよね、か)


その一言が永遠に脳に反響する。


まさか生きてて本当にこういうことを言われるとは思っていなかったため嬉しさや照れを感じる。


体は正直なのか顔が赤くなっていたらしい。


「何照れてるの!」


「ま、マジで?」


「うぅ、もう!」


プイッと音がなりそうな感じで首を振り向いた。


その様子すら可愛らしさをまとっているのは本当に魅力だ。


他人には絶対に見せないであろうこの姿を輝に見せているのが何か興奮するものがある。


「悪かった…とりあえず上がらせてもらうよ」


「やっとね…じゃあ後ろについてきて」


「あいよ」


何故か知らないが泊まる前でもう既に体力が限界を超えそうになっていた。


まだまだ泊まりは始まりのスタートラインすら切っていないのに。


後先が輝自身がもう不安で仕方ない。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「おじゃしまーす」


「別にそこまで改まることでは無いけど…とりあえずそこの椅子に座っておいて」


「あ、はい」


美神は家に入るとカバンを置き手洗いなどを済まし台所に立ちなにやら用意をしている。


美神に招待されて家に入るととても綺麗な内装なため呆然とした。


部屋の匂いもなんか良い。


そのため明らかに挙動不審になってしまっている。


「輝、お茶置いておくね」


「えっ!はい!」


突如後ろから美神に話された。


変に高くなった声が出てとても恥ずかしい。


そんなに驚かないでよと言うとお茶を机に置いてくれた。


お茶菓子として饅頭もセットだ。


「なんか悪いな…じゃあいただくよ」


「まぁ元はと言えば私のわがままから生まれたわけだしさすがにこれくらいは当たり前よ」


「ははは、じゃあ有難くいただくよ」


そう言うと輝は饅頭を1口頬張った。


とても美味しい。


人類の中でも頭ひとつ抜けて馬鹿舌な輝にもその饅頭を食べて高級なやつというのは理解出来る。


「この饅頭、高いだろ」


「うーん、まぁ高いっちゃ高いけどそんなの気にしなくていいのよ」


「なんか本当に悪いな」


「別に私がやりたいからやってるだけ…輝は何も考えずにしてなさい」


少し美神の顔が険しくなった。


多分値段の話はご法度なのだろう。


さっきの自分の都合だと言うのはここでもなのだ。


「すまんな」


「分かればよろしい」


美神の顔が緩んだ。


やはり緩んだ顔の方が見ていて可愛いし落ち着く。


美神は今まで何度も頑固だと思ってたがやはり想像以上に頑固だ。


輝はもしやと思ってお茶も飲んでみたがやはり美味い。


またさっきの饅頭の件みたいに声に出そうになったが頑固な美神には失礼だと思い言葉を飲み込んだ。


(お茶飲んでる姿とか見てると、本当に気品があるなぁ)


改めて美神をよく見ると本当に気品に溢れている雰囲気がする。


一つ一つの動作が高貴なお嬢様のようだ。


「何ジロジロ見てるの、気持ち悪いのだけど」


「そんな、ははは!」


「喧嘩売ってるの?」


「売ってない売ってない」


美神のジト目が少し罪悪感にも感じるし愛しさすら感じる。


美神はその後またお茶を1杯飲んだがやはり気品がある。


「ねぇ?」


「なんだ?」


少し美神はモジモジとした顔だ。


何か疑問があるような顔なのは見て誰でもわかるくらいだ。


「あの、今日お泊まりするのに服とかは」


「あぁそんなことか、大丈夫、今日間違って持ってきてしまった体操服と結局使わなかったタオルがあるし」


「…なんというか…用意周到ね」


また美神のジト目が輝に刺さる。


確かに計画的なぐらい用意ができていたのは輝自身思う。


「うるさい…ただの奇跡が重なっただけだ」


「本当かな?」


可愛らしい笑みを零した美神の顔だ。


少しからかっているつもりか顔がニヤついている。


輝は恥ずかしいのか顔が少し赤い。


(こういうところほんとうに可愛いわね)


しかし輝は天然で右ストレート級のパンチを決めてくる。


「ははは、やっぱり美神は笑っていた方が可愛いな」


「っーーー!すぐまた!このバカ!」


顔を急速に真っ赤に変え輝を睨みつけた。


その姿も可愛く愛らしい。


(でも笑っていた方が可愛いのは本当なのですがね)


美神はその時油断はしないでおこうと心に固く誓った。


まだまだお泊まりは始まったばかりだが輝は


(これ自制心保てるかな!)


美神は


(本当に輝は可愛い反応するね、ドキドキするし…どうしよう)


2人はとにかく精神が保つかの方が大事になってきた。


正直この頃の美神はもう怖いくなんてなくなっていたのだ。


でもなぜここまでやるかと言うと


(輝を振り向かせたい、ここでグッと近づく!)


目標を立てると後は達成するだけだ。


果たしてどうなるお泊まり編!?

ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・)


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