天然時々危険(輝が)
美神と家の前で別れいつも通りに駅に向かっている。
輝は心の中でこれからのことを考えるがどんどん自分の求めていたものがかけ離れているのが目に見えてわかる。
「はぁ、どうしよう」
「なにをどうするのー?」
「うわぁ!」
後ろを振り向くと栗色の髪が綺麗に舞っている可憐な少女が居た。
輝はなんとも言えない顔で
「というかいつまで待ってたのです?」
「家だって近いしその敬語読みやめてよー」
「・・・じゃあ敬語読み・・・辞めますね」
輝はなんやかんやありながらもミリヤとの付き合いは長くここで引かないと永遠に言ってくるのは目に見えていることだ。
そのため早くに諦めが着いた。
敬語卒業宣言を輝がするとミリヤの顔は目に見えるくらい明るくそして輝いていた。
「やったー!これで元の関係ですわね」
「はぁ・・・というかなんで俺を待っていたんだ?」
だいぶ話が脱線したが遂に輝の考えたことが言える。
ミリヤは少し考えているような素振りを見せるとすぐに話し出した。
「久しぶりに帰りたかったの」
「久しぶり・・・か」
「私たち小学生の時は毎日一緒に登校していたじゃない」
輝とミリヤは家が近いのでもちろん小学校も同じだ。
そのため輝とミリヤは何かと居る時が長かった。
「変わってないな、少し安心した」
「私は変わってないよー」
輝が今まで見てきたミリヤが一気に変わることは不可能に近いがやはり心の底は少し不安だった。
だが変わってないとなるとただただ安心しかない。
「まぁ変わらないと思ってはいたが」
「むー、それって私のことをバカにしているのー」
ミリヤが愛らしい顔でムスッとしている。
輝はミリヤの性格等であまりそうは見えないが傍から見るととてつもないほどの美人だという事実は揺るがない。
輝はその顔を見た時改めて実感した。
「その顔はやめろ・・・周りの視線が痛い、というか俺を見る視線の方が・・・」
「そうなのですかー」
ミリヤは本当に何もわかっていないらしく顔がマジの疑問顔だ。
頭は良いがとてつもないほどの天然なため本当に雄一にも注意してもらわないと行けないくらいだ。
きっとそれは自分の容姿を客観的に見れていないのが問題なのかもしれない。
「輝ちゃんー、もうそろそろ行きましょう」
「あぁわかってる・・・」
そう言うとミリヤはキャッキャと改札の方へと走ってしまった。
このときで既に疲れがMAXまで溜まってはいるがまだ油断出来ないのがミリヤという少女。
「・・・疲れた」
そう呟きながら改札を通った。
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電車は運良く人がほとんど居なく快適であった。
「輝ちゃん・・・」
「ちゃん付けはやめてくれ・・・恥ずかしい」
「うふふ・・・輝ちゃん」
「あぁ〜、もういいや」
ミリヤの顔はおもちゃを買ってもらった子供のような笑みを浮かべている。
笑みはいつたっても変わっていないのが少し安心できてしまった。
「というかなんでここに戻ってきたんだ?」
これは完全な疑問だ。
いきなりだよなぁと付け加えるとミリヤはまたもや可愛らしい笑みで答えてきた。
この大人っぽさは明らかに前見た時には無い雰囲気だ。
「お父様の仕事が終わったの、だからここに戻ってきたの、輝ちゃんとも会えたし最高よー」
「・・・そういうことか」
少しの疑問を言っただけなのに変にミリヤの調子を勝手にのらしたのは輝的にはかなり後悔している。
(というか近くない?これなんなの海外パワー?)
海外で慣れたせいかどうにもミリヤの距離が近い。
ミリヤの大きな胸が輝の腕にぶつかり続け徐々に精神を削りに来ている。
「な、なぁミリヤ・・・近い」
やっとの思いで声を振り出したがミリヤはすっとぼけた顔をしている。
完全に海外で長くすごしたせいか日本での距離感を忘れているようだ。
少し時間が経つとミリヤはなにかに気づいたらしくにやにやした顔で近づいてきた。
「あれれ?輝ちゃん、まさか意識しちゃっている?」
ふわふわとした言いようだが明らか煽っているのは言うまでもない。
「いやだって視線が痛いからに決まってるだろ!」
「うふふ本当に昔から可愛いわねー」
「っ・・・うるさい」
このからかい能力も海外仕込みだろう。
(何だこの少しマイルドなメスガキ感は!)
少しマイルドなメスガキ感に心奪われそうになるが平常心で耐え抜くしかできない。
それが今の輝の最適解なのだ。
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ミリヤの猛攻を耐え抜き遂に目的の駅に着いた。
だが普段ここまで理性と戦わないためいつもより疲れてしまった。
「懐かしいですねー、よくここに来たりしましたねー」
理性との勝負で疲れ果てた輝と対極的に久しぶりの街の光景に目の輝きが留まることを知らないミリヤ。
今度はさっきみたいないたずらっ子な目はしていなく純粋な喜びの目だ。
もう輝は曲がらないと家に帰れないところまでに来てしまった。
「とりあえず俺こっち曲がらないといけないから、また明日」
そう言い残し体の方向を右に変えるとミリヤがとたとたと走ってきた。
輝のあやふやな記憶だとミリヤの家は左側なので右側に行くことは無いと思う。
「ミリヤって家あっち側じゃなかったけ?」
輝が左側を指さすがミリヤは静かに頭を横へ振った。
「私の家輝ちゃんの家のカフェの隣になったの」
「・・・え、すまんもう1回」
脳が追いつかない。
たった一言だが脳が上手く処理できない。
「私の家が輝ちゃんの家の隣になったってことー」
「・・・は?」
災難は続きそうだ。
ブックマーク、ポイントして欲しいな|ω・`)