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NEXTSTEP

輝には美神と今話す勇気が全くなかった。


またあの時みたいに心が壊されたらどうしようと心の底ではまだ怖がっていたのだ。


結局は自己的な意志のせいで美神を傷つけその挙句謝罪の言葉すら出せないような人間になってしまっていたのだ。


過去の恐怖が今の自分を止めている。


(動かさなきゃ始まらない!動け!)


心の中でそういうがまだ足は前に進まない。


しかし輝の中にあるひとつの言葉が思い出された。


(進んでする後悔よりも進まない方の後悔の方が大きい)


輝の中に恐怖心が生まれた時に沙也希が輝に言った言葉だ。


この言葉が心の中で反響している。


(進んだ方が後悔は少ない・・・ならば!)


この言葉をバネについに輝は口が開けたのだ。


「美神!俺だ輝だ!ドアを開けてくれ!」


「・・・」


「自分勝手なのはわかる、俺が今回は全て悪い!美神にはとても考えれないほどの負担をかけてしまったのも理解している!だから・・・開けてくれ、一言でも謝罪したいんだ、美神の前で」


どんどん言葉が小さくなっていく。


言葉が小さくなるのと同じで輝も勢いが小さくなっていった。


言うことを言い切った、あとは美神が来るか来ないかで全て決まる。


そう覚悟を決め美神の家の前で待機した。


よく耳をすますと奥の方から物音が聞こえる。


(近づいてきているのか)


輝は大きく深呼吸をして真剣な顔で美神の家のドアを見つめた。


ガチャ


ついに目の前でドアは開かれた。


「美神・・・」


顔を見ると目が腫れている美神がいた。


ソラの言っていた話は全て本当だったみたいだ。


「輝・・・なんの用」


「美神、俺は言いたいことが沢山ある、謝罪しかないが・・・」


「輝、頭を上げて、とりあえず私の部屋に入って」


「あぁ」


美神は変に取り繕った表情はせずいつもの顔で輝を部屋に入れた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


部屋に入ると美神は輝にお茶を用意した。


輝は前お泊まりした時に使った席に腰をゆっくりとかける。


「わざわざそこまでしなくても」


「私がしたいから・・・気にしないで」


「まぁ、それなら」


少し時間が経つと美神はティーポットとティーカップを輝に渡した。


短時間とはいえかなり雰囲気があるもので渡されたので少し緊張が強まってしまう。


美神の表情を見るといつもの表情だ。


輝は1度落ち着きを作るために深呼吸してもう一度美神を見つめた。


「美神、本当にごめん!」


「・・・輝が謝る程じゃ、結局私のワガママのせいで」


「いや!これは俺が悪い、俺の弱い心が原因だったんだ、ソラなら美神のことを任せれると思ってしまった、美神は俺の事を友達として見てるのか分からなかった、こんなしょうもないことを考えてたせいであんなことを・・・」


そう言うと美神はため息を吐き輝をもう一度見つめた。


「私は交友のある人にしか基本は話しかけません、だから輝は交友のある友人程度には見てるから・・・」


「ほ、本当なの・・・か?」


「バカなんじゃない!私はあなたの事を認めている!これは揺るぎもしない真実!だから胸を張って!」


「・・・俺は馬鹿だったんだな」


心の声がつい漏れてしまった。


結局輝の思っていたことはただの転ばぬ先の杖のようなものだ。


この保険が皮肉にもこのような結果を生み出してしまった。


輝としてはもうこのような間違いを犯さない。


そう心に強く決めれた。


「ごめん、ソラから聞いた、美神がずっと泣いていたって話!」


「聞いたのね・・・輝、私今まで生まれて友達として言える人ははっきりいっていなかった、でも輝だけは初めて友達として胸を張って言える人だった・・・」


「美神!これ以上は」


美神の目を見ると目の端から涙が溢れてきている。


これ以上話すと美神は確実に泣く。


きっと美神は輝にこんな姿は見せたくないだろう。


そう思い輝は止めた、しかし美神はまだ止まらない。


「だからあの時はショックだった・・・輝は私を友達として・・・見ていないんだなぁってことに」


「・・・美神」


「お願い、これから私は弱い所を見せる・・・その姿を認めて、私は輝の弱い所を全て認めるから」


その美神の声は弱々しく縋るような声だ。


輝はこのことには賛成以外あげれないのでもちろん返答はOKだ。


もう美神の顔を見ると今にも泣きそうな顔をしている。


このまま輝の目の前で泣くのはきっと美神は望まぬ事だ。


「わかっている・・・少し後ろを見るほらこれなら見えない、俺のせいだ、無理やり感情を抑えないで欲しいんだ、今の俺にはこんなことしか出来ないけど許してくれ」


輝は美神の反対の方に視界を変え静かに座った。


美神は輝の背中に素早くくっつきすすり泣き始めた。


その声は学校での孤独の姿とは真反対だ。


人並みに温かさを求め、誰よりも愛情に溺れたい儚げな少女の泣き声だ。


(・・・美神、本当にごめん)


美神が泣き止むのは中々早くはなかった。


10分くらい経った頃合に美神は声を止めた。


しかし美神のためを思うとむしろこれくらいで良いのかと悩むくらいだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「というか学校はどうしたの?」


美神が泣き止むと意外にも冷静なことを聞かれた。


輝は何も考えずにただ美神のことを考えて走ったのでどうすべきなどは全く考えていなかったのだ。


そのためあとから謎の後悔が押し寄せてきた。


「確かに・・・完全にスピードに任せたのが間違いだったよ」


「はぁ・・・まぁ私のために来てくれたから下手なことは言えないけど・・・」


だがこう言っておきながら美神の顔は少し喜びに満ちている顔だ。


「・・・そうだ、もうこのまま言っても何も良いことは無い!だから・・・どこか行くか?」


「どこに行く気なの?」


ごもっともな返答だ。


こうは言うものも何も予定などは考えていない。


完全に無計画丸見えな質問だ。


だがそんな質問に美神は少し笑みを浮かべると


「まぁ今日は無理でもまた・・・今度とか」


美神特有のデクレシェンド式はご健在だったようだ。


しかし全て輝に聞こえているため結局無駄になっている。


「まぁそうだな・・・どの道外行ったら補導されそうだし」


美神はともかく輝は制服なため外に出たら紛うことなく補導されるのは目に見えている。


そのため今日は諦めることにしたのだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


少しの気まずい沈黙が流れると美神は突如口を開いた。


「・・・輝・・・私って重い女なのかな」


「・・・急にどうした?体重か?」


「そ、そんなわけないでしょ!このバカ!」


顔をゆでダコのように真っ赤にすると立ち上がった。


女子にこのような話題は行けないのはわかっているが輝の悪い癖であるついに思ったことを口に出してしまう性格が裏目に出てしまったようだ。


立ち上がってすぐ瞬きする間もなく美神は輝の頬を思いっきりぶつ。


火力は高いが輝の表情的にまだ余裕そうな顔だ。


「いたたた、すまん、冗談だ、前保健室に運んだ時飯食べてるのか心配になったぐらいには軽い」


「それでいいのよ!」


美神の謎ドヤ顔を輝に向けた。


どやぁって疑問が周りから出るくらいの顔なのでよっぽど誇りなのだろう。


「少なくとも美神は重くは無い・・・そりゃ唯一の友達から絶交宣言は心にくる、やらかした本人が言うのはあれだが」


「・・・輝もそう思うの?」


「そりゃあ、本当にごめん」


この時の美神の顔はいつもの強気で自信のある顔では無い。


悩みを抱えている一少女の顔だ。


「だから気にしないで欲しい、ごめん。俺が余計なことを言ったあまり」


「・・・ありがとう、前言ったよね、青春を変えるって、輝のおかげでだいぶ変わってきているわ」


「そりゃ嬉しい限りよ、ありがとうな、これからは胸を張って美神の友達1号として歩けるよ」


美神の顔はさっきまでの不安の顔は消え去り今は喜びの顔に満ち溢れている。


この事件のおかげで輝はとても進化ができた。


精神面的にも進化ができたのだ。


もう過去のトラウマは切り捨てれた、前へ歩ける。


輝はついに過去を超えたのだ。

ブックマーク、ポイント等やって欲しいな|ω・`)

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