表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】元婚約者は可愛いだけの妹に、もう飽きたらしい  作者: 冬月光輝
第一章『美人は三日で飽きると言いますが』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/53

第二十話(リーンハルト視点)

 嘘だろ。どういうことだよ。おいっ!

 なんだ、なんだ、なんだ? 猿並みの頭って、そりゃあ言われるだろうよ。

 猿って言われて、「可愛い」って解釈するって……。僕の想像というか、理解を遥かに超えている。 

 

 こいつ、本当に同じエゼルスタ人か? 目の前の田舎者殿下の方が言語能力においても上じゃないか。

 

 アーゼル伯爵はどういう教育をしたんだ。シャルロットと比べて、どうしてこうなった……。



「リーンハルトくん。僕は君の下らん勘違い程度なら、笑って聞き流してやろうと思ったのだが……」


 やばいぞ。やばいなんてもんじゃない。

 僕はなんて失礼なことをしてしまったんだ。

 全く気のない女をこれみよがしに押し付けようとして……。

 全部ミリムが悪いのだ。僕はこの女のバカな発言に振り回されただけで……。

 

 とにかく、それを殿下にちゃんと伝えなきゃ……。

 そうだよ。僕は悪くないんだ。

 全部、このバカ女が僕に嘘を吹き込んだのだから。

 クールになれ、クールになるんだ、リーンハルトよ。


「は、はい! あ、ありがとうございます! いやー、ミリムのバカがすみません。殿下の言葉をそこまで歪曲して受け取るなんて――」


 とにかく、言い訳だ。

 男が言い訳を長々するのは見苦しいとか思われるだろうが、そんなことはどうでもいい。

 ここはアルフレート殿下の機嫌をこれ以上悪くしないことが肝心。

 まだ大丈夫だ。まだやり直せる。まだまだ、僕には誤解を解くチャンスがある。


 頑張って説明しろ〜〜。全部ミリムが悪いって、伝われ〜〜。


「いや、僕が言及しているのはその後だ。君、女性の顔を殴っただろ? それがエゼルスタ貴族の紳士がすることかい?」


「な、殴った? 僕が女性を……。――あっ!?」


 し、しまったーーーーーーーーーっ!!

 あまりにもムカついたから、ついミリムを平手打ちしてしまったーーーーー!!


 これは、まずい。このことが父上に知れたら、勘当モノだ……。

 弟が跡取りとか言い出しかねない。

 だって、普通は叩くじゃん。あんな風にバカなことを言って、僕に恥をかかせたらさぁ。


 だが、如何にバカな女でも叩いてはならなかったな。これは非常に印象が悪くなったぞ……。


 婚約者を殴った、というよりも……アルフレートの婚約者の妹を殴ってしまったのがいけない。

 

 我が家も交流はあるのだ。アルビニア王室と懇意にしている隣国の有力な貴族たちと。


 父上の名に傷が付けば、僕は、僕は――。


「い、い、痛いですわ~~~! ふぇぇぇぇぇぇん! リーンハルト様のバァカァァァァァァ!!」


 ええい! うるさい! うるさい! うるさい!

 そんなに強く殴ってないだろうが!

 そもそも、殴ってから痛がるまで時間がかかりすぎだろう!

 くそー! この女が全部悪いのに! くそう! こんな性格も頭の中身も残念な女だと知っていれば!


「とりあえず、君の父上には今日のことはしっかりと伝えておくよ。その方が公爵家の為になりそうだ」


「そ、そんなぁ! アルフレート殿下! どうか、どうか、お許しを! 僕は、いえ私は殿下のために良かれと!」


 父上に報告だけは避けなくては。

 それだけは避けなくては、僕は終わりだ……。

 アルフレート、早まるな。僕はお前の味方なんだ。


「良かれと、だって? 君は嫌になった婚約者を僕に押し付けようとしただけだろ? 調子の良いことを言うなよ。……それとも、僕のことをバカにしてるのかい?」


「い、いえ、決してそんなことは……。でも、僕は別に殿下に……」


「もういいよ。君の言い訳を聞くと虫唾が走る。今すぐ、僕の前から消えてくれないか? じゃないと、君の父上に報告する内容が増えるよ?」


「う、うううう、あうあ……、ぐぐぐぐぐ……!」


 嫌だ! 嫌だ! 嫌だ! 嫌だ~~~~!!

 このまま、だと。僕は終わりだ……。

 ど、どうしよう。ふ、震えが止まらない。

 そ、それに動悸と息切れも……。ああ、破滅だ……。もう、終わりだ……。

リーンハルトくん、廃嫡の危機……。彼に明るい未来はあるのか……。


↓の広告の下の☆☆☆☆☆からぜひ応援をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] どうにもミリムを嫌いになりきれない俺もニッコリの廃嫡待ったなし
[一言] お先真っ暗だなぁ
[一言] 明るい未来が待ってるさ!(農業で物理的に太陽の下)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ