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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

既読無視

作者: AI子

「ごめん、忙しいから、今日は無理。」

「今忙しいから、連絡は後でするよ。」

「忙しくって、寝てないんだ。寝かせて。」


付き合って1ヶ月。デートの回数0回。顔を合わせたの4回。

付き合いたてのカップルって、もっと一緒にいるもんじゃないの?

何回目かも覚えてないドタキャンをされて、俺は怒っていた。

いつ雪が降ってもおかしくないこの寒さ。二人なら平気かもってなったかもしんないのに、今は1人。咳をしても、怒りでヤケ食いしても、1人。


ひとりぼっち。


絶対無理だって思った告白を受け入れてもらった事が遠い過去のようだ。あの時は、まだ紅葉していて景色が綺麗だった。幸せフィルターがかかっていたのかもしれないけれど。

付き合う前の方が会えてた。喋れた。

付き合ってからの方が会えなくなった。LINEの既読無視も当たり前になった。

俺だけが一方的に悲しいのかな。アイツも会えなくてサビシーとか思ってくれちゃったりしてんのかな。

食い過ぎで気持ち悪くなってベッドに横になる。俺ばっかり浮かれてる。勝手に浮いて勝手に沈んで。今はベッドに沈んでいる。

忙しい忙しい忙しいってなんだよ。俺ばっかり暇みたいじゃないか。確かに暇だけれども。

課題もちゃんとやってるし、ゼミの資料も揃えてある。いつでも会えるように準備しといてんのに。


会いたい。会って今日あったことを話したい。教授の話が長くて後輩が居眠りしたこと。学食のランチにちっさいプリンが付いてきたこと。初めて霜柱を踏んで面白かったこと。

まだまだいっぱいあるんだ。


「もしかして、会いたくない言い訳とか?」

やっぱり男同士はダメだった?他に好きな子がいた?俺のこと嫌いになっちゃった?

考えれば考えるだけ凹んだ。凹みすぎて原型留められなくなっていく。沈んで、凹んで、俺はそのまま眠りについた。


ピコン

LINEのメッセージで目が覚めた。時計を確認すると、2時間は寝ていたようだ。送り主はアイツだった。


「今日の打ち合わせ、キャンセルになった。今からそっち向かう。」

眠気が吹っ飛んだ。急いで返事を打った。

「今までのドタキャン分ぜーんぶ埋め合わせろよ。ケーキとプリンとポテチとえっーと」

と、打っている途中でインターホンがなった。

カメラに映る人物は、エコバックを何個も下げていた。好きなスイーツ店の紙袋も持っている。


忙しいって言っていたのに。

そのお店、行列つかないと買えないやつじゃん。


あー、やっぱり好きだ。好きな負い目もあるけれど、やっぱり好きだなぁ。

俺は、寝癖のついたままドアを開けた。




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