第8話 〜正義のヒーロー、ライトアライズ!! 前編 〜
私は人間との関係について悩んでいた。「どうすれば多くの人たちが私たちを見てめてくれるのかしら…」私は独り言を呟いた。少し返事を期待しながらまーくんの方を見る。「しゃー!勝ったー!」「おぉー!」まーくんとレンはパソコンのゲームに夢中でなんも話を聞いていなかった。期待した私が馬鹿だったとため息をつきながら1階へ向かった。昔ここは病院だったらしい。なぜ今はこんなにボロボロに…それにまーくんの家族は一体どうしたのだろうか。よく考えてみれば気になることが沢山あった。でも、それは今聞いては行けないような気がして忘れることにした。「外の空気でも吸ってこよ。」私は玄関の扉を開け、清々しい青い空が見渡せる世界へ出た。いつも通りの風景。ここに来てもう2ヶ月も経ったが仲間はまだまーくんしか見つけられてない。どうしたものか。そもそもまーくんはレーダーがあったから見つけることが出来たのだ。他のみんなはなんのヒントもなく見つけなくてはならない。途方にくれていると、後ろから声をかけられた。「ねぇ。ちょっといいかしら?」「え?」振り向くとそこに居たのは、エメラルドグリーンのツインテールをした私と同い年か1つ上くらいの少女が立っていた。地球人とは違うような雰囲気だ。「あの…どちら様で?」「話は後!ついてきて!」私はわけもわからずその少女について行った。
ガシャン!「いたっ!」私は路地裏に連れていかれ、乱暴に壁に押し付けられた。新手のヤンキーだろうか?人は見かけによらないものだ。「単刀直入に聞くわ!貴方、Dr.プランクトンの部下でしょう?」「えっ」私は思わず呼吸が止まる。「なんで…おじ様の名前を?」もしかしたら新しい仲間かもしれない。やっと見つけた!と思ったがどうやら様子がおかしい。「おじ様…?やっぱり関わりがあるのね!なら話が早いわ!」そういうと右手を私の首元に添えた。「貴方を今ここで始末するわ!」「は?」私は理解が間に合わなかった。ただ殺されるという危険信号が反射的に体を動かした。「いやっ!」ビリビリビリビリ!「うっ…」少女は私の電撃に怯み、手を離した。「電気…ショックか…」私は少女が立ち上がろうとしているのを見て咄嗟に逃げ出した。逃げなきゃ殺される。私は街中を猛ダッシュで駆け抜ける。一体なんで私は命を狙われているのか。おじ様を知っているということは少なくとも一般人ではない。味方ではない?おじ様の敵?改造された人間?地球人?色んな情報が頭を暴れ回る。とにかく私は家に向かって走り続けた。
ガチャン!「ハァ…ハァ…」めちゃくちゃ疲れた。なんでこんな目に…。「どうしたの?そんなに息荒くして。」「こ、殺されるーー!」私はレンに飛びついた。「なんだなんだー?」まーくんも何事だというような様子で階段を駆け下りてきた。「じ、実は…。」私はさっき起こったことを順に説明した。レンもまーくんも謎めいたような表情をしていた。まぁそうだろう。私も理解出来ていない。「と、とにかく鍵閉めましょ!」私は急いで玄関の鍵を閉めた。「大丈夫?とりあえず上で休もう。」まーくんの言葉の通りに、重い足取りで2階へと上がった。「それで?その女はちゃんと振り切ったのか?」まーくんの質問に私ははっとした。ドンドンドンドン!下が何やら騒がしい。「おいおい。例のやつが来たんじゃないか?」「どうしよう…」「とりあえず出てみるか?」私たちは少し緊張しながら階段を降りていった。「開けなさい!中にいるのはわかってるわ!」やっぱりさっきの少女の声だ。どうしたものか…。「ねぇまーくん。私とレンは隠れるからさ、何とか追い返してちょうだい!」私はまーくんに小声でそう伝え、レンと一緒に1階の病室へ隠れた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「何とか追い返してって言われても…」突然リンに頼まれて俺は動揺していた。ダンダンダンダン!「早く開けないとこの扉吹っ飛ばすわよ!」俺が反応するまもなく大きな音が目の前で鳴った。ドゴォォォォン!少女が俺の家の玄関の扉を足で吹っ飛ばしたのだ。「あ、は、???俺の玄関…」「あら?あんた地球人ね?この家の所有者かしら?まぁどうでもいいわ。この家に女の子が来ていると思うのだけど?」俺は少女の重圧に押されて上手く反応が出来なかった。「あんたまさかとは思うけど匿ってるわけじゃないでしょうね?」「いやぁ別にそ、そんなことはぁ〜」「どきなさい!自分で探すわ!」そういうと少女は俺の事を押しのけて家の中へ侵入した。「あのっ、不法侵━━━━」「うるさい!」えぇ。そんなことあるのか。なんで俺が怒られないといけないんだ…。ってそういう場合じゃない。リン達が見つかったら大変だ。俺はすぐ少女の後をつけた。ガサガサ。「どこにいったー?」ゴソゴソ。「早く出てこない家ごと吹き飛ばすわよー?」「待て待て、俺の家を勝手に壊そうとしないでよ!」「あぁ?悪党を匿っている家に平和など訪れるわけないでしょー?」イラついた顔で少女が顔を近ずける。「す、すいません…」ズゴォン「!!」突然少女が電撃を放った。リンのような技だ。「あんたの技はコピーさせてもらってるわ!」「どういうこと!?」リンがそれに反応して顔を突き出してしまった。馬鹿か。「アホね。」「あっ…」「覚悟なさい!」「待て待て待て待て!」俺は咄嗟に少女の腕を念力で止めた。「は…?」沈黙が続いた。どうやら色々なことが起こりすぎて理解が追いついていないようだ。「とりあえずさ、話し合おう?」俺が力を抜くと、少女はふんっというような顔で階段へ向かった。「さっさと来なさい!グズグズしないで!」「ここ俺ん家なのに…」俺たちは少女の強引な性格に威圧されるようについて行った。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2階へ行き、4人がテーブルの席に着いたあと、一呼吸おいてからまーくんが口を開いた。「とりあえずー自己紹介から…」「私は心嬢リン。」「俺は弟のレン。」「僕は地球人の小原聖尊って言います。」3人で自己紹介をすると、少女は不機嫌そうに口を開いた。「私は星野ミク。Dr.プランクトンの野望を阻止すべく、この地球に降り立ったの。」「ってことは…ミクも私たちと同じ地球外の人間ってことか…」「あんたたちと一緒にされるのは嫌なんだけど。まぁそういう事ね。」「なんで私を殺そうとしたの?」「そんなの決まってるでしょ?あんたたちはプランクトンに改造された人間。私にとっては敵対勢力なの!実際あんたたちは地球を破壊しに来た。悪さをする前に始末するのは当然のことよ!」「確かに私たちは地球破壊が目的で来たけど…」「だったら今ここで消す!!」「待って待って!話を聞いてよ!」「ジュースでも飲んで落ち着きましょうぜ。」まーくんが気を利かせてオレンジジュースを出してくれた。「あらありがとう。」ゴクッゴクッ。ミクは勢いよくコップ一杯のオレンジジュースを飲み干した。「さぁ、あなた達の言い分は?」ミクが少し落ち着いた様子で尋ねる。「地球破壊の目的でここには来たけど、ここに来てから地球の美しさに惚れてしまったの。だから地球を守ることにしたわ!」それを聞いてミクは変な顔をした。「は?」意味がわからないという様子だ。「一応おじ様にはまだ言ってないんだけど、仲間を全員集めてから言うつもりよ。」「あんたちそんなんでいいわけぇ?」そう言いながらミクは脱力してテーブルに顎を乗せた。「あんたたちは悪の組織のメンバー。そして私率いるライトアライズのメンバーは正義の組織なの。」「ライトアライズ?」「えぇ。私たちはDr.プランクトンの人間改造計画を事前に知っていた。そして地球に飛ばすこともね。だから私と仲間たちはいち早く地球へと向かったの。」「なんで自分の星じゃないのに守ろうと?」「地球が美しい星だって知ってたからよ!壊すだなんて論外。住みたいとも思っていたからちょうど良かったわ。」「そうなんだ…」その後も話を聞くと、色々なことがわかった。どうやらライトアライズという組織は5人いるらしい。地球を守る活動をしているが、特に平和だったので暇を持て余してたそうだ。そんな中に私たちが来てようやく活動できると思って観察してたら、今の状況らしい。私たちに地球を壊す気がないことがわかって、少し拍子抜けしたそうだ。「まぁいいわ。嘘はついていないみたいだからね。仲間のところに戻らないと。」「ねぇ!私達も連れてって!」「はぁぁ?」私は他にも地球人じゃない存在が居ると知ってワクワクしていた。「レンもまーくんも来るでしょ?」「お、おう。」「そうと決まれば行くわよーー!」「ちょっと何勝手に決めてんのよーーー!!」何やら面白くなってきた。正義と悪の組織。いかにも何かが起こる展開だった。