第2話~新たな人生の始まり~
第2話です。怪しげな男に連れられた2人の運命はいかに!?
私たちはプランクトンという人に連れられ街中を歩いていた。「お姉ちゃん…ほんとにこの人信じれるのかな…?」レンが小声で私に話しかける。「じゃあレンはここでぼーっとしてるの?」そういうとレンは俯きながらう~と唸った。「わしが怖いかい?」大きな図体に長い髭、そして不気味な笑顔をしているその男は、そお大きな背中の奥で一言喋った。私とレンはお互いの顔を少し見た後に固唾を飲んで男の方を見た。「そんなことないよ!おじ様優しそうに見えるもん!」本当の感情か自分でもわからなかったが私は笑顔でそう答えた。隣でレンが引きつった顔をしているのが横目で少し見える。少しの間沈黙が続いた。
「そうか。」男の表情は見えなかったがきっとニヤついた表情をしているのだろうと感じた。周囲には多くの店が並んでいた。どれも見たことの無いものばかり売っている。それにとても賑やかだ。「おじ様!ここって商店街なの?見たことの無い食べ物ばかり売ってるわ!」重い空気が嫌なので何気ない質問を男にぶつけた。「あぁ。ここはこの惑星で最も盛んな地域でね。大規模な商店街さ。ほとんどのものはここで買うことができる。」「なんでもいいから食べてみたいわ!どんな味がするか気になるもん!」「そうじゃな。甘い果実でも買って行こう。」「わぁい!おじ様太っ腹~♪」
歩きながら世間話をしていると、大きな屋敷が見えてきた。見るからに怪しい建物。近代的な照明が所々にあり、この惑星のシンボルというような見た目をしていた。買い物を済ませたあと、私たちはその屋敷へと向かった。
「ようこそ。私のアジトへ。」中に入ると大きなホールへと続いていた。私たちが住んでいた家よりも遥かに大きい。
「ここが、おじ様の家…」私は唖然とした。この広さにたった1人で住んでいるのか。私が言うのもなんだが、すごく贅沢だ。「君たちに大事な話がある。着いてきたまえ。」私たちはさらに奥へと進み、大きなテーブルと椅子が沢山ある場所へ出た。とても広い。パーティで何千人も呼べるくらいの広さだ「そこの椅子にかけてくれ。」私たちは男の指示通り近くにあった椅子に座り、一息ついた。「君たちに大事なお願いがあるのじゃが…」男は深刻そうな顔をして私たちに話を始めた。「地球という惑星の破壊をしてきて欲しい。」「地球?」私は聞き覚えのない名前に首をかしげる。「地球だって!?」突然、今まで静かだったレンが大声をあげた。
どうやらレンは知っているようだ。頭の賢さと知識ならレンには叶わない。ここはレンに任せよう。「そうじゃ。この惑星のすぐ近くにある兄弟星じゃ。この惑星のように水や自然に恵まれているがあっちの方がより綺麗な星じゃ。」「じゃあなんで破壊なんか…」レンが疑問をぶつける。私もそう思った。「あの惑星はとても美しい。じゃがあの惑星の住民は非常に薄汚いのじゃ。それは汚れという意味ではなく、心の方でじゃがな。」男の表情は怒りを我慢しているように見える。話を聞くと、男は地球人に両親を殺害され、非人道的な扱いを受けてきたという。その復讐のために地球ごと壊すということのようだ。「そんなこと出来るわけないよ!」レンが反論する。「あぁ、勿論今の状態じゃ無理じゃ。」男はそのまま長々と話し始めた。
どうやらこの男は地球を破壊するために、様々な機械を開発しているらしい。でも限界を感じ始めていてそこで考えついたのが人間の半機械化。人間を改造して超人的な存在を作り出し、育成した改造人間たちでそのまま地球の破壊をさせるという魂胆らしい。私は話が飛躍しすぎてついていけなかった。「君たちはこれからわしに改造され、ある程度の力を扱えるまでここで育成する。よろしいかね?」珍しく真面目な顔で喋っている。「そんなの嫌に決まって──」「乗ったわ!!」レンがなにか言おうとしていたが、私は構わず賛同した。「お姉ちゃん本気!?」レンは驚いているようだ。確かに危険な香りがする。普通は承諾しないような内容だということは百も承知だ。でも私の好奇心の方が勝ってしまったのだ。改造されて超人的な能力を手に入れれる。別の惑星の破壊は置いといて、私はその超人的な能力にとても興味が湧いたのだ。「わかってくれると思っていた!わしの悲願もこれで達成される!」男は満面の笑みを浮かべて喜んでいた。乗り気じゃなかったレンも、断りきれなかったのか最後には承諾した。「ならば早速取り掛かろう!」男は興奮した様子で私たちを連れ出し研究室のような場所へ向かった。「さて、このカプセルに入るのじゃ。」私たちは言われた通り近くにある大きなカプセルの中へ入った。「では、始めるぞ。」その言葉と共に、私の意識はどこか遠くへといってしまった。
シュー…カシャ。私はふと目が覚めると。自分が長い眠りについていたことに気がついた。「私は…」そうだ。プランクトンに改造されたのだ。自分の手や体を確認する。何か視線が高くなったような…。すると、前にも同じ状態でレンが起き上がった。「…!」私は驚きを隠せなかった。レンが中学生くらいの身長になっていたのだ。「レン!その体どうしたの!?」「リンこそ!」え?私はまたもや驚きを隠せなかった。
目線がレンの目線とあっているのだ。ということは私も同じくらいの身長になっているということ。そして初めてレンが私を呼び捨ての名前で呼んだのだ。動揺しているところにおじ様がやってきた。「ようやく目が覚めたかい?」私は何から話せばいいのかわからず放心状態になってしまった。「おはよう。7年ぶりじゃな。」私はさらに混乱してしまった。頭を整理しよう。おかしいことだらけだ。「どういうことだよ!」聞いたことの無い男らしい声でレンが怒鳴る。「まぁ。落ち着いて話を聞くのじゃ。」私たちはおじ様の言う通りまずは話を聞くことにした。
どうやら私たちはまだ幼かったため成長プログラムを設定して7年間カプセルに保管されていたようだ。このプログラムは寝ているだけであたかも7年間普通に生活したように成長するものらしい。レンが私を名前で呼ぶようになったのも、身長が高くなったのも、声変わりしたのもその影響だそうだ。本来なら改造自体は数時間で終わるらしい。私たちは幼いこともあって、ゆっくり時間をかけて改造プログラムを脳に入れられたそうだ。はっきりいって恐ろしい。「さぁ君たちは遂に地球に向かうことになる。準備はこちらで済ませておいた。」おじ様はそういうと惑星移動用の透明な球体を2つ出し、同時に複数の道具を渡してきた。「1から順に説明するぞ。」私は半ば放心状態で聞いていたため全部は覚えれなかったが、大事なところだけをまとめると、既に複数の改造人間たちが地球へと送られており、その仲間を集めることから始めて欲しい。また、地球には1人だけ特殊な人間が存在していて、生まれは地球だが私たちの味方として共に行動させる人間がいる。仲間が全員集まるまで潜伏期間とし、あまり目立たないようにする。生活できる道具は揃えておいた。ということだそうだ。寝起きなのに忙しい。私たちは頭をリフレッシュさせるために顔を洗いに行った。
「では、健闘を祈るぞ。」全ての身支度を整え、私たちはおじ様にお別れの挨拶をした。おじ様と関わったのはほんの少しの間だけなのに、すごく思い出深い感情になる。「行ってきます!」私たちは元気よくロイドプラネットという星を後にした。
今回のお話までがプロローグとなります。次回からが本編ということになるので本格的に物語が展開されていきます。どうぞリンたちの冒険記録にお付き合い下さい。