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桜 プロローグ
入学式と言っても、桜はだいたい散っている。しかし入学式はいろんな人の希望という名の芽が集まっている。
希望という名の芽が開く事は、芽を出すよりかは小さな奇跡に過ぎないないと誰かが言っていた。
そう俺は今日入学する!!
希望という名の芽を持たずに。
入学式への道は近いはずなのに遠く感じた。第1志望であった公立高校に落ち、塾の先生に勧められ何も考えずに選んだ、自転車で15分の私立高校じゃそういう気持ちになってもしょうがない。入学式だというのに親は二人とも仕事の為、俺は今一人で高校に向かっていた。