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妹の皮をかぶったドラゴン  作者: パシフィック0
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妹の皮をかぶったドラゴン

妹は死んだ。

ただそこら辺に転がっている石ころと同じようにぬくもりのない姿になって死んだ。どうして死んだのか、よくわかっている。目の前で天をかけてきたドラゴンに胸を貫かれたからだ。だが、死んでほしいなどとはやはりひとかけらも思ってなどいない。しかし現実として目の前にある冷たさは象徴するのだ。


妹は死んだ。

これは確かなことだ。銀行に行けばそこにいるだけで信頼され金を貸し付けることが可能な男が言うのだから間違いない。きっと彼を葬儀屋に連れて行くだけで誰かの死にかかるお金を後払いでいいと言われるような男だ。実際そのとおり死んだ。


妹は死んだ。

誰に取り繕ってもこの亡骸を見たら必ず信じるだろう。胸にぽっかりと大きくあいた穴が言葉の必要性を否定している。プールに沈めたならきっと紅い海の完成だ。乾かして空に投げたなら世界の空気をサビはてた赤い大地のかんせいだ。


これは紛れもない確かなことだから何度でも書き残そう。


“妹は死んだ。”


「……おに―、……ちゃん…。」

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