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俺のスマホはドジっ娘かわいい  作者: きり抹茶
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その6 「利用規約に同意して下さい」

「えっと……ご主人様にずっと言いたかった事があるんですけど……」


 スマホ少女、リープは膝をもじもじと動かしながら恥ずかしそうに言った。


「そっか……何かな?」

「はい。…………私って他の子と比べると頭も悪いし要領も悪いし、いつもご主人様の足を引っ張ってしまってて……出来の悪いスマホでごめんなさい……」

「いや、そんな事は……」

「謝らせてください。……私、知ってますから。アプリの起動に時間がかかったり、私がドジをするといつもご主人様は「ポンコツ」と言います。声に出せなかっただけで、全部しっかり聞いてますからね」


 なん……だと……。

 俺がスマホに放った文句や苛立ちは全て彼女が受け止めていたんだ。機械だから構わないと思って、時には乱暴に扱ってしまった事もあったけど、それは間違った行為だったんだ。


「こっちこそごめん、俺も言い過ぎた。それとリープは何も悪くないよ。悪いのはスマホの性能であって、それを動かしているリープは全力で頑張ってる訳だしさ」

「ありがとうございます。えへへ、こうしてご主人様と意思疎通できるようになって本当に嬉しいです!」


 リープの表情は段々と明るくなっていく。


 俺は彼女を傷付けていた。スマホの性能なんて調べずに値段だけを見て買ってしまった俺が悪いのに、動作が遅いとか使えないとか嘆いていた。こうして考えると俺は今までどれだけ傲慢な態度をとっていたのだろう。本当に申し訳ない事をしてしまったな……。


「リープ……本当にごめんな。許してくれないと思うけど、これからは大切にするからさ。ポンコツとか文句も言ったりしない。だから……俺のスマホとして、頑張ってくれないか?」


 今の本音を、言いたいことをリープに伝えた。今更綺麗事言うなと跳ね返されるかもしれない。それでも、過ちだけは謝罪したい……。



「ご主人様…………。大好きですっ!」


 なんとリープは嫌な顔をするどころか、こちらに飛びついてきた。

 全身に彼女の柔らかくて幼い体が包まれる。スマホの形状が変わっただけとはいえ、見た目は完全に小学生の女の子。暗に通報とかされてないよな……?


「えっと……私を大切に使ってくれるのであれば、こちらからご主人様に同意していただきたい事がありまして……」

「同意……?」

「はい! 私が壊れない間は他の子に浮気しないって約束してください! つまり、機種変しないでくださいって事です」


 抱きつかれたまま上目遣いで求められる……。ぐっ、こんなの不可抗力だろ……。


「駄目……ですかぁ……?」

「全然駄目じゃない! 他のスマホには手を出さない、約束するよ」

「……! ありがとうございます!」


 思わず目を細めてしまう程、まぶしい笑顔で喜ぶリープ。まあこの子なら動作に時間がかかっても可愛くみえるし、大切にしたくなっちゃうよね。


「それとご主人様……。不躾ながらもう一つ同意していただきたい事があるんですけど……」


 今度は顔を俯けて恥ずかしそうに話すリープ。何か言いづらい内容なのだろうか。


「その……私を使って、エ……エッチなサイトとか見るのは……やめてもらいたいかなぁ……なんて」

「あ、あぁぁぁ」


 聞いた瞬間、思考が停止する。

 声に出せなかっただけでリープは元の状態の時の記憶も残っているのだ。

 そして俺が深夜にスマホで見ていたものは……。


「ごめん! 流石に今の君で如何わしいヤツを見たりはしないよ。それは絶対に約束する」


 どんな風に画面が表示されるのか分からないが、純粋無垢な少女の目の前でエロサイトなんて見たら俺は即収監されるだろう。その前に人間として失格だ。


「良かったです。あれ……結構恥ずかしかったんですよ……?」

「ごめんなさいもう二度としません許してください」


 頬を膨らまして不貞腐れるリープに俺は何回も謝り続けるのだった……。

私のスマホが擬人化しても同じように説教されるでしょう(笑

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