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マジック×ウィング ~魔法少女 対 装翼勇者~   作者: マキザキ
第二章:魔法少女 対 異次元軍ウボーム 編

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第1話:征服獣ドルドラス




『高瀬くん! 大城駅前付近に20mクラスの巨大生物が出現! 家屋を破壊してるわ! ゼルロイドの反応は無いけど、魔法少女らしい女の子が応戦してるって情報が来てる! 住民の避難支援と、その子の保護をお願い!』


 けたたましいアラームと共に、御崎からの通信が届く。

 蒼は丁度、土曜の朝の二度寝を愉しもうとしていたが、アラームに叩き起こされてしまった。

 寝起きの回らない頭で情報を整理しようとするが、どうにも意識も視界もぼやけてしまう。

 とりあえず寝覚めのコーヒーでも飲むか。と、ベッドから転がるように降り、冷蔵庫に冷やしてある水出しアイスコーヒーを一口飲む。

 キリリとした苦味と、ほんのりと感じる豆本来の甘味。窓を開ければ、初夏の温かな風が頬を撫でた。


「なに優雅な朝迎えてるのよ!! 行くわよ!」


 振り向けば香子が息を切らしながら立っていた。

 いつの間に合いカギを作ったのかと疑問を抱く間もなく、蒼の着替えが投げつけられる。

 慌てて着替えを終え、蒼は変身した香子と共に大城駅方面へ向かって飛び立った。




■ ■ ■ ■ ■




 大城駅前の繁華街は大パニックに陥っていた。

 西洋の竜を思わせる外見をした二足歩行の巨大生物が店を、家屋を蹴散らし、道行く人々に向けて火炎を噴射する。

 およそ怪獣映画のそれが蒼達の眼下に広がっていた。

 巨大生物の周辺にパトカーが多数並び、住民を慌ただしく避難させている。


「ゼルロイドじゃねえんだよな!? 何だあれ!?」


 珍しく素っ頓狂な声を上げる蒼。

 ゼルロイドでもなく、カライン関係でもない謎の巨大生物。蒼からすれば全くの専門外である。


「今はアレが何かより、避難の支援が先決でしょ! アタシとアンタで駅付近からあいつを遠ざけるのよ!」


 そう言うと、香子は急降下し、巨大生物の頭部目がけて光線を放つ。

 青い閃光が次々と命中し、巨大生物の意識が香子に向く……。

 かと思いきや、それは再び街へと視線を向け、火炎を吐き出す。


「エナジーキャノン!!」


 蒼も負けじと主砲で加勢。

 香子のエネルギー場を借りた光線が次々と着弾する。

攻撃に苦しむような素振りを見せるが、また同じように下を向き、執拗に街を破壊していく巨大生物。

二人の攻撃による傷は見る見るうちに再生を始めている。


「アイツは何がしたいんだ……。破壊が目的なのか?」


 街を巻き込まないように威力を絞ってあるとはいえ、巨大生物の皮膚を貫き、流血させる程度の威力はある。強力な再生能力があるとはいえ、無視できるはずはないのだ。

 その後も反復攻撃で次々と攻撃を加える蒼と香子だが、巨大生物は似たような場所に向けて火を吐き、尾を振り下ろし、爪を叩きつける。

 その様子に違和感を覚えた香子が、危険を承知で巨大生物の狙う地点へと降下する。

 幾度も攻撃を加えて来る敵が眼前に迫っているのに、巨大生物は全く反応する素振りはなかった。

 香子は目を凝らし、彼の生物が狙う一点をじっと見つめた。


「あいつの足元に誰かいる!!」


 ちょうど巨大生物の足元。走り回る小さな影が香子の瞳に映った。


「攻撃をいったん止めて! あの子巻き込んじゃう!」

「了解した! その子がさっき御崎先生の言ってた魔法少女らしき子ってやつだな……。俺が少しの間動きを止めるから、その間に救出してくれ!」


 そう言うと、蒼はデバイスでレイズイーグルを呼び出し、合体した。

 勢いよく降下し、巨大生物の背に両足で着地する蒼。


「レッグアンカー!!」


 それと同時に、両足に合体したアンカーを巨大生物の背に打ち込み、全ブースターを全開にして思い切り左右に揺さぶる。


「ついでに食らえ!! サイドバルカン!」


 巨大生物の背中。その丁度翼が生えている付け根目がけて連射される青撃。

 皮膚がえぐれ、砕けた肉がビシャビシャと飛び散る。


「グオオオオオオオオオ!!」


 至近距離から放たれた連撃には流石に耐えかねたのか、唸り声を上げながら身を捩る巨大生物。

 その揺れを振り子の如く逆に利用し、なお強く揺さぶりをかける蒼。

 やがて巨大生物はバランスを崩し、商店街のアーケードを破壊しながら倒れ込んだ。




■ ■ ■ ■ ■




「ちょっと! そこで何やってるの!? 早く避難しなさいよ!」


 蒼が巨大生物を翻弄している隙に、香子はその足元へ急降下し、走り回っている人影に駆け寄った。

 近くで見ると、その正体は自分と同じくらいの少女で、手の平から何か光るものを巨大生物めがけて必死に撃っていた。

 魔法少女らしき、とは言われていたが、エネルギー場もなく、奇妙な服に、頭から生えた角など、香子の知るそれとは随分異なる特徴を持った少女だった。


「ほら! よく分からないけど、早く逃げるわよ!」


 彼女の後ろから掴みかかり、何とか避難させようとする香子。

 しかし、謎の少女は攻撃をやめようとしない。

 それどころか、香子を突き飛ばし、言い放った。


「こいつは不死身の征服獣ドルドラス! この世界の人たちでは倒せない! 世界を焼かれたくなければ邪魔をしないで!」

「せいふく……? ドルドラス?」


 予想外の反応にキョトンとする香子。

 この世界の人では倒せないと言い切る割に、自身の攻撃も決して効いているようには見えないのだが、ずいぶん強気だ。

 というか、この世界のとは……?

 等の疑問がグルグルと香子の周りを回り出した時、ドルドラスを引き倒した蒼が血相を変えて飛んできた。


「周辺の避難完了したって! トマホークが来るぞ! 俺の近くに寄れ!!」


 大至急行われた避難。

 それは、決してドルドラスの脅威によるものではない。

 ゼルロイドではない巨大生物に対しては、自衛隊による兵器の使用が許可されており、侵生対もそれを許可している。

 自衛隊の攻撃による死者、けが人を出さないためにも、射線や、攻撃範囲を空けてやる必要があったのだ。


 遥か彼方。太平洋上から放たれた巡航ミサイルが、眩い光と共に大城市上空へ飛来する。

 対生物用に改造された、爆発エネルギー収束型トマホークが流星の如き帯を引きドルドラスに着弾する。


「レーザーシールド!!」


 蒼が二人を無理やり抱き伏せ、全周を覆う円形のシールドを展開した。

 刹那……。凄まじい轟音と共に衝撃波と熱風が吹き荒れる。

 レーザーシールドの中にあっても、ビリビリと空気が揺れる感覚に襲われる。

 エネルギー収束型なので、辺りを灰にするようなことはないが、その破壊力は20m程度の通常生物を焼き尽くすには十分な威力であった。

 ドルドラスの肉体が炎の中に崩れ去っていく。

 再生能力があるとはいえ、傷をすぐに塞ぐ程度。

 バラバラの肉片にされ、焼かれてはもう再生は出来ない。

 普段、対ゼルロイドで歯嚙みをしている自衛隊や警察の無念を晴らすかの如き活躍であった。


「よっしゃー! 自衛隊もたまには良いとこ見せるじゃんか!」


 激しい爆炎が去った後。レーザーシールドを解除する。

すると、謎の角少女はまだプスプスと燻るドルドラスだったものの傍まで歩いて行くと、膝から崩れ落ちた。


「これが……アマトの地の力……?」


 呆然としながら、焼け跡を眺める少女。

 蒼はそんな彼女の肩にそっと手を置き。


「怪しい奴確保――――――――!!」


 勢いよく羽交い絞めにすると、侵生対本部目がけて飛び立った。


「ちょ……! ちょっと蒼!」


 香子も慌てて後を追い、南の空へ飛び去って行った。


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