プロローグ:魔法少女 対 異次元少女
(ここが……アマトの地……!)
大城市駅前スクランブル交差点のど真ん中。奇妙な姿をした少女が呆然と立ち尽くしている。
翡翠の如き、透き通るような翠の髪。
獣を思わせる大きな目、細い瞳。
民族衣装のような、ゆったりとした麻の服。
そして、何より特徴的なのが頭部から伸びる一対の角である。
辺りはちょっとしたハプニング状態だ。
ゼルロイドか、魔法少女か、それとも以前話題になった悪の魔法少女の一派か。
逃げる者、写真を撮る者、通報する者。
加えて、進路を塞がれた車列が長く伸び、クラクションの騒音が市の中心街に響き渡る。
(う……うるさい……!! 何なの……! 怖い……! 逃げなきゃ!)
自らに向けられる視線と騒音に怯み、思わずその場から逃げ去る角の少女。
少女の走り去った先、街の空がグニャリと歪んだ。
■ ■ ■ ■ ■
「ザルド様。この異空転移陣はアマトの地に繋がりました。恐らくティナもそこにいるかと」
黒いツタ植物に覆われた、怪しげな祭壇。
銀の仮面を被った男が、玉座に腰掛けるザルドと呼ばれたいかにも偉そうな男に向かい、跪きながら話す。
「そうか」
ザルドは満足そうに笑うと、玉座を立ち、祭壇の中心部へと歩いて行く。
祭壇に置かれた紫色の水晶に手をかざすと、唸り声を上げながら、力を込めていく。
「征服獣、ドルドラスよ! 彼の地を焼き払え! そしてティナを捕らえてくるのだ!」
その叫びに応えるように、紫水晶が妖しく光り輝き、祭壇の遥か奥地、黒いツタが絡まり合った獣の檻に向かって一筋の閃光を発する。
その閃光が檻の中に閉じ込められた獣の一体。「ドルドラス」と呼ばれた個体に照射されたかと思うと、その獣は忽然と姿を消した。
「アマトの地を滅した時、我らが悲願は達成される……ククク……」
魔法陣に映し出されたアマトの地。それすなわち大城市を眺め、不敵に笑うザルド。
大城市はまたしても、厄介な事態に巻き込まれてしまったようである。





