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マジック×ウィング ~魔法少女 対 装翼勇者~   作者: マキザキ
第一章:魔法少女部 対 カライン 編

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第24話:たまには部活らしく




「よし!ブレイブウィングとサポートバードのパーツ更新完了っと!」


 放課後、魔法少女部部室に蒼の雄叫びが響き渡る。

 侵生対本部での事件から3日。黒の魔法少女、「ウニョウニョとしたクラゲみたいなもの」(詩織談)との戦いから得た教訓や、これまでの戦いのデータを元に、ウィングのアップデートを実施することとなった。

 特にウニョウニョクラゲに関しては、ゼルロイドとカラインの複合した生体反応が出ている、魔法少女のエネルギーが殆ど効かない等、カライン以上に魔法少女の脅威となる恐れがあることから、蒼の戦力向上を急ぐ必要があったのだ。


「あれ、案外早く終わりましたね。1週間くらいはかかると思ってたんですが」

「流石にこの状況でモタモタしてられないだろ。いつまた変なのが出て来るかも分からんし」


 ブレイブウィング、サポートバードに同じくアップデートされた新型高効率炉心を差し入れると、所々に設けられたクリアパーツから白い光が激しく吹き出し、ハード面、ソフト面両方でのアップデートが完了した。


「ブレイブウィングは炉心の出力向上と、ブースターの増設、それと分離機構の改良を行った。こんなふうにな」


 蒼が腕のデバイスを弄ると、ウィングが蒼の背中に合体した。


「何か変わったようには見えないけど」


魔法少女部の公式サイトを更新していた香子が訝しげに見る。


「いや、ここからが重要なんだよ。テリトリアルフォーム!!」


 突然叫ぶ蒼にビクッとする魔法少女二人。

 その叫びに呼応してデバイスが光り、ブレイブウィングが変形を始めた。

蒼の背中にアタッチメント基部、キャノン、サブブースターを残し、ウィングパーツが分離する。


「この間の保管庫の戦いで、狭くて動きづらかったり、挟み撃ちにされてウィングと分離した時、俺はほぼ生身で突進するしかなかったりと不便が多かったからさ、地上戦専用モード作ったんだよね」


 その他、ブレイブウィング、サポートバードそれぞれの細々とした更新点、改良点を指さしながら解説していく蒼。

 ただ残念ながら、その殆どが蒼にしか理解できないレベルで些細なものばかりであった。


「これで君らをガンガン支援するから、これからも頑張ろう!」

「あーはいはい……」

「はーい、お願いしまーす」


 改善点を全て挙げ終わり、蒼が総括コメントを出す頃には、二人はすっかり関心を失ってしまっていた。




■ ■ ■ ■ ■




「それじゃあ行きましょうか!」

「おう!」

「お~……」


 所変わって光風高校校庭。やや傾き始めた夕日を背に、並び立つ3つの影。

あの戦いから、ウィングの更新以外に、もう一つ変わったことがある。


「まずは校庭10周、腕立て50回、腹筋50回を3セットから始めましょう!」

「え! 昨日から倍に増えてないか!?」


 全員で行う基礎トレーニングである。

 黒の魔法少女戦では蒼、香子の身体能力、基礎体力の低さが浮き彫りとなり、二人ともが防御や逃げに徹してしまい、全く有効打を与えられないまま敵を逃がし、剰え保管庫のある階層へウニョウニョクラゲを侵入させる時間を作ってしまった。

 その反省と、蒼に地上戦フォームが追加されることも相成り、三人で仲良くトレーニングという運びになったのだ。

 今日は二日目なのだが、早くも内容が2倍以上に増えている。


「ハイ!イッチニ!イッチニ!」

「「はぁ……はぁ……」」


 テンポよく走る詩織と、校庭5周目にして既にバテバテの二人。

 詩織は「基礎」と言ってはいるが、ウィングや魔法少女の能力に頼り切っていた蒼と香子にはキャパシティを大幅に上回る運動であった。

 

「先輩! ペースが遅くなってますよ! リズム崩れたらもっとしんどくなりますよ!」


 詩織の激が飛び、蒼が慌ててペースを上げる。

香子も反応はしているが、どんどんペースが落ちていく。既に再加速する体力は残っていないようだ。

 ランニングが終わるころには、蒼と詩織は溶けたナメクジのようにドロドロになっていた。


「それでは腕立ていきますよ! ハイ!1・2・3・4……」


 小休止を挟んだ後、即次のトレーニングが始まる。


「無理……新里さん……アタシ筋肉痛でもう無理……」

「ぬぬぬぬ……! 10……!」


 普段運動しない二人は昨日の腕立て20回で筋肉痛になってしまい、早くも音を上げている。

 どうやら変身していない状態で受けた身体ダメージは回復しないらしく、香子はもはや限界だ。


「次は腹筋ですよ! 押さえてますんで50回行きましょう!」

「ぬおおおおおおお!!」


 鬼コーチ詩織のトレーニングは完全下校時刻寸前まで続いた。




■ ■ ■ ■ ■




「うおおおお……腕と腹が痛てぇ……」

「……」


 完全下校後のカラオケボックス。唸る蒼と突っ伏す香子。


「これくらい序の口ですよ! これからも三人で一緒に頑張りましょうね!」


 そして一人、爽やかな笑みを浮かべながら、プロテインゼリーをグビグビと流し込む詩織。

 ちなみにプロテインはカラオケ代共々蒼のグルメチケットで支払われている。


「俺も飲も……。うーん……あんまり旨くないなこれ……」

「ウプッ……」


 プロテインは筋肉が傷ついてる時に飲むと、それが筋肉の修復を助けるとともに、増加を助けて云々と詩織が蘊蓄を垂れ流しているが、蒼にはどうにも頭に入ってこなかった。

 ここに至り、蒼は自分の講釈に詩織や香子が乗ってこない理由を何となく理解したのだった。


「では景気づけに一曲歌います!」


 何が彼女をそこまで盛り上げるのか分からないが、今日の詩織は異様なまでにハイテンションだった。


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