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マジック×ウィング ~魔法少女 対 装翼勇者~   作者: マキザキ
第三章

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第42話:タイ編8 雷光の機神鳥! ライトニングアエロー




「スライサーレーザー!」



 目にも止まらぬ超高速レーザーがキングナーガの顔面を深々と切り裂く。

 再生こそしないものの、生体とは異なるメカニズムで動くテラーゼルロイドはその程度で致命傷には至らない。

 しかし、本能的なものか、キングナーガは必死でライトニングアエローを追いかけている。



「そこっ! ドラゴンキャノン!!」



 すかさず香子が光線を叩き込み、敵は大きくのけ反って海面へ倒れた。



「しゃあ!! 今度こそ一発ぶち込んでやる!」



 響がリュウキを勢いよく前進させる。

 しかし、敵はその動きを呼んでいたかのように、海中から青角側の頭部を突き出すと、蒼白に光る光線を放った。

 その光線はリュウキを掠め、海面に巨大な氷塊を出現させる。

 恐るべき冷凍光線だ。



「ちぃっ!」



 再び光線を放とうとする敵の動きを察知し、響はリュウキの姿勢を下げ、回避行動をとろうとする。

 しかし、その動きはガタンという衝撃と共に止まった。



「駄目だ響!! この射角で避けたら!」


「危ない!!」



 蒼が緊急操作でリュウキの姿勢を上げた瞬間、コクピットを眩い閃光が襲う。

 ティナがシンクロ操縦で両腕を構え、それを受け止めた。



「「「うあああああああ!!」」」



 リュウキの両腕から首に及ぶ大部分が氷の塊に覆われ、巨体がバランスを崩して倒れる。



「おい蒼!! どういうつもりだ!?」


「避けてたら対岸の街に直撃してたぞ!! 避難が完了してない人口密集地にこんなものが撃ち込まれたらどうなる!?」


「くっ! なんつーめんどくせぇとこに出てきやがった!」


「モメてる場合じゃないでしょ!! 早く何とかしないと!」


「任せてください! スライサーレーザー!」



 ライトニングアエローが放った切断光線が器用にリュウキを覆った氷塊を切り崩す。

 何とか立ち上がったリュウキだが、今度は地獄の業火が襲って来た。

 赤角側の首が放つ火炎放射だ。

 一瞬にして超高温に熱されるリュウキのコクピット。



「くあああああ!! ゲキリン…バズソー!!」



 数百度に達する高温に焼かれながら、蒼が遮二無二放った斬撃弾はキングナーガの顔面に深々と裂創を穿ったが、敵もこの好機を逃すまいと、今度は冷凍光線を浴びせにかかる。

 超高温から超低温へ叩き落とされる蒼達。

 香子がドラゴンキャノンで応戦するが、今度は業火が襲って来た。

 高温、低温、高温、低温。

 次々繰り出される二面攻撃。

 その異常な温度差に、リュウキのコクピット内に火花が走り、4人が苦悶の声を上げる。



「先輩!!ティナちゃん! どうすれば…!」



 詩織はキングナーガの首めがけてスライサーレーザーを放つが、敵は大物を仕留めるべく、多少の傷はいとわない気迫でリュウキに肉薄していく。

 焦る詩織の眼下に、白銀の機体がチラリと見えた。



「あれは!」



 見ると、ブレイブブースターを構えた4人の魔法少女と1人の少年が、キングナーガに最も近いビルの屋上に陣取り、狙いを定めている。



「そんな!? 危ない!」



 詩織の心配をよそに、5人はキングナーガの青角側の頭部目がけ、ブレイブボンバーを叩き込んだ。



「シュラアアアアアアア!!」



 その光弾は敵の頭部に輝く青角に命中。

 キングナーガの青角側の首が激しい咆哮と共に倒れ伏した。

 角から漏れ出した冷気がその頭部を凍結させ、苦しみからか激しくのたうち回るキングナーガ。

 怒り狂った赤角側の頭部が、魔法少女達目がけて飛びかかる。



「させるかああああああ!! ウィングブレード!!」



 あわや業火が魔法少女達目がけ噴射される瞬間、詩織がライトニングアエローの両翼を輝かせながらキングナーガ目がけて突っ込んだ。

 エネルギーブレードと化した翼は敵の赤角をバターの如く切り裂き、一撃のもとに斬り落とした。



「グワシャアアアアアアアア!!」



 今度は角からマグマを噴き出して悶え苦しむキングナーガ。



「ありがとう!! みんな!!」



 ライトニングアエローの翼のバンクに、魔法少女達は思い思いの決めポーズで応えた。

 キングナーガはライトニングアエロー目がけて光線を放とうとするが、角からエネルギーが激しく漏れ出し、頭部で冷気と熱気の爆発が起きる。

 光線は使用不能の様相だ。



「先輩!! 寝てる場合じゃないですよ! 今こそトドメの時です!!」


「んなこたぁ分かってる!! 今度こそ行くぜえええ!!」


「響! ストップ!」



 再び蒼が緊急制御で必殺技の踏み込みに入っていたリュウキを横滑りさせる。

 その横合いを長大な尾が通り過ぎて行った。



「光線が使えなくなっても、速度は向こうが上だ! 今のリュウキじゃ捉えきれずにジリ貧だぞ!」


「じゃあどうしろってんだ!」



 響の怒声に、蒼はニヤリと笑みを浮かべた。

 そして、鍵状のUSBメモリをリュウキのメンテナンス端子に勢いよく挿入した。



「新里! 分かるな!?」


「やっぱりあるんですね!? 合体機能!」


「もちろんだ! いくぞ! リュウキ!アサルトフォーメーション!!」



 蒼の叫びと共にリュウキの背面装甲が弾け飛び、戦闘中本来露出するはずのない給電装置が露わになる。

 ライトニングアエローが自動操縦で分離、変形を始め、リュウキの給電装置、追加ウェポンラックを中心に次々と組み付いていく。


 異変を察知したキングナーガはリュウキめがけて攻撃を加えようと尾を振りかぶったが、香子がドラゴンキャノンを、蒼がゲキリンバズソーを放ち、叩き伏せた。



「システムリンク完了! リュウキアサルト! 戦闘開始!!」



 ライトニングアエローが分離変形した高速機動用ウィングとブースターを身に纏ったリュウキが咆哮する。

 起き上がったキングナーガも首元の襟を大きく広げ、威嚇するように吠えた。



「うわ! 凄い! ちゃんと繋がってるんですね!」



 緊迫する状況の中、詩織がメンテナンスハッチから滑り出てきた。



「新里! リュウキアサルトのメイン操縦はキミだ! 頼んだぞ!」


「了解です!」



 詩織がそう言いながらスロットルを全開にすると、コクピットに凄まじいGが襲い掛かった。

 70mを超えるリュウキの巨体が、一瞬にして時速数百kmまで加速したのだ。

 キングナーガは凄まじい勢いで突撃してきたリュウキに食らいつこうとしたが、身構えるよりも早く巨爪の一撃に赤角側の首元を深々と抉り取られていた。

 苦し気な方向を上げるキングナーガ。

 しかし、それでもなお戦意を喪失することなく青角側の頭部がリュウキめがけて襲い掛かる。



「遅い遅い!!」



 詩織が操作レバーを荒々しく捻った。

 リュウキの両肩に組み付いたブースターが素早く駆動し、敵の一撃を易々と回避。

 勢いあまって前のめりになった青角の頭部へ背中のブレードウィングの一撃を叩き込み、見事に切り落とした。

 頭部が海面に落下するより早く、リュウキの爪が勢いよく振り抜かれ、残る赤角の頭部に叩きつけられた。

 勢いよく倒れるキングナーガ。



「さあ! いきますよ!! トドメです!」


「詩織オメェ……随分荒っぽい操縦するじゃねぇか」


「このメカ…改良の余地多数よ……!」



 猛烈なGに振り回され、響が悪態をつきながらエネルギー出力レバーを引き、香子がなぜか動作しなくなったドラゴンキャノン発射レバーを手放しつつ、自身のコクピットに据えられたエネルギー開放ボタンを押下した。

 蒼は顔じゅうの穴から血液を噴出しつつ、無言で姿勢制御支援を始めた。



「あっスミマセン…でもいきます!! はあああああ!! ライトニング・ドラゴンインパルス!!」



 一瞬にして超高速に加速したリュウキの爪が閃き、キングナーガががむしゃらに振り回す尾を軽々と潜り抜けつつ、頭部から尾部に至るまで、一太刀の元に切り裂いた。

 長大なボディがまるで三枚おろしのように分解し、大質量の超重Xクリスタルエネルギーを受けて光り輝く粒子となって消滅していった。


 同時に、リュウキの全関節が損傷度70%以上のアラートを発し、列車形態への緊急変形を始めた。

 見れば、ティナはコントロール装置の中で失神している。

 脱出装置によってコクピットから吐き出された蒼達4人を尻目に、ドラゴンライナーはエーテルネストのシャイニングゲートを通って帰っていった。



「参った……リュウキ側の負荷が思ったよりデカかった…」



 蒼がポツリと呟いた。


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