第34話:次なる地へ
ヴルペースの攻撃により崩壊した蒼の実家地下の秘密研究施設。
その遥か下層に落下した瓦礫がゴソゴソと崩れ、二つの光り輝く角が出現する。
圧し掛かる瓦礫を振り払いながらゆっくりと上体を起こすティナ。
そして彼女の翼下から砂まみれの宮野が咳き込みながら起き上がった。
「はぁ……はぁ……彰さん……大丈夫ですか……?」
「ええ……何とか……」
高瀬家地下にはさらなる下層があった。
施設崩壊の最中、蒼から貰った試作品の体内マイクロシャイニングフィールド発生装置を使って竜人形態に変身したティナが宮野を守り、2人はなんとか助かったのだ。
流石に無傷とはいかず、宮野は体の各部から流血している。
「ここは一体……」
「SSTの格納庫に雰囲気が似ていますね……」
ティナが予備のライトを点灯させ、周囲を照らす。
そこに映ったのは、無数の骸……人間のものではない。
巨大なロボットの残骸が無数に転がっているのだ。
「これは……!? 高瀬くんのお父さんは一体何のためにこんなものを……!?」
困惑する宮野。
まるでその声を待っていたかのように、格納庫脇の小部屋に電気が灯る。
ティナと宮野は顔を見合わせ、その部屋へ向かった。
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「で、超大型ロボットのコンバットシステムを入手し、リュウキの起動に成功したと……なるほどねぇ……」
エーテルネスト機内。
蒼がタブレットを片手に、宮野から送付されたデータを閲覧している。
その口元には不敵な笑みが浮かんでいた。
「まーた何か変なこと考えてるでしょ。ていうかちょっと怒ってる?」
そう言いながら、カップ緑茶を両手に蒼の隣に腰かける香子。
蒼は口元をにやけさせながら、「少しね」と応えた。
「こんな面白いデータを俺に隠していたとは……しかもウチの地下にあったものを……フフフフフ……」
「割と怒ってるわよね?」
「まあ冗談はさておきだ、リュウキの機体設計全てと、親父の作ったメカ全ての試作データ。これを俺に渡してきたということは、宮野さんも色々と期待してるんだろう」
「それって、蒼にも巨大ロボを作ってもらおうって魂胆? 直接頼めばいいのに……というかそんなことできるわけ?」
「出来なくはないさ。まあ、任されたことをこなしながらになるけどね。あと、あくまでも俺達はトップシークレットの部外協力者だ。今回の件もだけど、俺達の自主的な行動の結果じゃないと、国家機関としてはマズいんだろう。色々としがらみがあるだろうしな」
「人類のためとはいえ、蒼の善意に付け込んで面倒ごと押し付けて……蒼も断る時は断りなさいよね」
「ははは……まあ俺は悪い気分じゃないよ。何よりあまり関与したくないことを宮野さん達に任せて魔法少女のためのメカ開発に専念できるわけだからね」
蒼はそう言って微笑んだ。
香子も一瞬呆れたような表情を浮かべつつ、微笑みを返したのだった。
「先輩~! 次の目的地はタイらしいですよタイ! 微笑みの国ですよ! どんな料理が食べられるのか楽しみですねぇ!!」
と、突然コクピットから戻ってきた詩織が2人の間に挟まるように圧し掛かった。
その言葉に、蒼は「なにぃ!?」と叫んで立ち上がる。
詩織はぴょんと身軽にバックステップを決めて着地した。
「先輩? どうしたんです?」
蒼は何も言わずにタブレットを操作し、表示された画面を詩織の眼前に差し出した。
詩織はその画面を上から下までサッと流し見すると、「うえぇ~」と嫌そうな表情を浮かべる。
「これ……全部モノノ怪の類なんですか……?」
その画面には、タイで信仰されている妖精、妖怪、怪物の名前がズラズラと並んでいた。
タイ王国はモノノ怪王国だったのである。
「新型ロボの開発……急いだほうがいいかもしれないな……。間に合うかは分からないが……」
蒼が小さく呟いた。





