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マジック×ウィング ~魔法少女 対 装翼勇者~   作者: マキザキ
第三章

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第32話:台湾編11 巨神吠える


挿絵(By みてみん)



「ヴォオオオオオオオオオ!!」



 それは、咆哮とも、汽笛ともとれる重低音を響かせて飛来した。

 その姿を見た人々は叫んだ。

 龍だ、龍が来た。

と。



「ヴォオオオオオオオオオ!!」



 飛来した鋼の龍は、今まさに攻撃を仕掛けようとしていた巨大蟾蜍精テラーゼルロイドに勢いよく体当たりを仕掛け、そのまま廃寺院に突っ込んで停止した。



「そんな!? あれは動かすこともままならないはずじゃ!?」



 御崎が叫んだ。



「先生!? 何ですかアレは!?」



 蒼が彼女の言葉に食いつく。

 「あれは……」と言いかけた御崎の言葉に重なるように、聞き覚えのある声が大音量で響いた。



『皆さん!! 助太刀に参りました!!』


「ティナ!?」



『超龍機動装甲列車ドラゴンライナーです! すみません! 私だけでは上手く動かすことができないので、乗り込んで操縦していただけますか!?』



 『あれ!? これじゃない!? これ!?』などというティナの慌てた声と共に、龍のような姿をした巨大列車の様々なパーツがバタバタと動いた後、ようやく搭乗用ハッチが開いた。

 突然の出来事に、呆気にとられながらも、蒼達4人は視線を交わして頷き合い、そのハッチへ飛び込んだ。



「うわ! 凄い! 完全にヒーローロボのコクピットじゃないですか!」



 いち早くコクピットに乗り込んだ詩織が声を上げた。

 彼女の言う通り、ドラゴンライナーのコクピットは、チームヒーローもののそれで出てきても不思議ではない内観をしている。



『皆さん! 早く準備をお願いします! 敵がもう起き上がって来てるので!』


「うおっ!? 君はどういう状況なんだ!?」



 コクピットの背面にある水槽のような空間に、四肢を機械に埋め込まれたティナが沈んでいるという特異な光景に驚く蒼。

 『只今生体制御ユニットを務めています! 私のことより早く操縦席についてください!』とティナに促され、彼はコクピット内を見回す。

 コクピット内に配置された4つの席に据えられた操作パネルに、銀、黄、青、赤の光が灯っているのが見えた。



「アタシはここみたいね」


「ウチはココみたいだが……もう何が何やらなんだが……」


「うおおおおおおお!! めっちゃ燃えますねぇ!」



 魔法少女達がそれぞれ異なった反応を示しながらそれぞれの操縦席につき、筒のような形状をした操縦桿に手を差し入れる。

 すると、コンバータースーツが起動し、彼女達のSX変身が解除された。

 3人は一瞬驚きの表情を浮かべたが、電子マニュアルを一瞬で読み込んだ蒼が「大丈夫だ。エネルギーを機体側で集中制御するための構造らしい」と、イマイチよく分からないものの、大丈夫らしいと言ったのでとりあえずは納得することにした。



『さあ皆さん! 戦いますよ! メイン操縦者蒼さん! 格闘戦形態への変形を!』



 ティナの声と共に、皆の眼前にあるディスプレイに機体の変形シーケンスが表示された。

 詩織が「おおおおおおお!!」とまた吠える。

 期待を込めて見つめてくる詩織に笑みを返し、蒼が変形機構のロック解除シーケンスを実施して操縦桿を格闘戦モードに切り替え、レバーを勢いよく手前に引いた。



「超龍機動装甲列車ドラゴンライナー、ライズアップ!」



 蒼のコールに応えるように、ドラゴンライナーが吠える。

 崩壊した廃寺院の瓦礫を押し上げながら、列車が立ち上がっていく。

 龍の顔をした先頭車両が頭部から肩のボディに変形。

 連結されている2列目、3列目が胴、足、尾を形成し、やがてそれは直立した怪獣型の巨大ロボットとなった。

 「グギャアアアアアアン!!」という、怪獣の咆哮を思わせる駆動音が大気を揺らす。


挿絵(By みてみん)



「行くぞ!! 超龍機動戦闘巨神リュウキ!! 戦闘開始!!」


「ドラゴンキャノン! シュート!!」



 変形完了と同時に、香子がリュウキの肩に装着されたキャノン砲を操作し、先制攻撃を開始した。

 青白く光る光線が放たれ、巨大テラーゼルロイドに直撃する。

 その一撃だけで、クァドラブルブラスターの直撃にも耐えたオーラが吹き飛び、分厚い表皮に守られた肉体がゼリーのように弾け飛んだ。



「っしゃぁ!! 次はウチにやらせろ!」



 リュウキのコクピット内精神リンク機能により、響の意図を理解した蒼が、リュウキを前進させる。

 巨体からは想像も出来ない機動性で、地響きを上げながら大地を駆けるリュウキ。



「グラビティクロー!!」



 テラーゼルロイドにリュウキの爪が振り下ろされる。

 敵はその剛腕で受け止めようとしたが、滅亡世界のオーバーテクノロジー、超電磁グラビティチタニウム製の爪はそれを苦も無く切り落とし、敵の胴体に深々と裂創を刻んだ。



「まだまだぁ!! ドラゴンファンガー!!」



 リュウキの大顎が敵の頭蓋に食らいつく。

 響は「オラァ! オラァ!」と叫びながら操縦桿を乱暴に操作して敵を振り回す。

 しかし、敵も激しい抵抗を始めた。

 強靭な後ろ脚の蹴りが連続で炸裂し、リュウキの巨体が衝撃に揺れる。



「ぐあぁ!! 響! 近づきすぎだ!!」



 蒼がリュウキを後退させようとするが、敵は残った前足の吸盤でリュウキをガッチリと掴み、離れることを許そうとしない。



「任せてください! ゲキリンバズソー!!」



 詩織がリュウキの胸部に備えられた3つのバズソーから切断光輪を連射する。

 意志を持つかのように飛ぶそれは、敵の前足を的確に切り刻んだ。

 蒼はリュウキの脚部ホイールとキャタピラを全速後退させ、敵を振り払う。



「よくもやりやがったなぁ! クラッシャーテール!!」



 テラーゼルロイドが怯んだ隙に、響が機体を回転させ、尾を敵に叩きつけた。

 その一撃で敵の重厚な巨体が吹き飛び、叩きつけられた数キロ先の小山にクレーターを穿つ。



「よし! トドメだ!」



 今度は機体を勢いよく前進させる蒼。

 それに呼応して、リュウキの両腕の爪が眩い光を帯びていく。



「行くぜええええええ!! グラビティクロー・クロスドラゴンスマッシャー!!」



 響の叫びと共に振り下ろされた剛爪が敵をX字に切り裂いた。

 リュウキの内部で共振、増幅された4つのXクリスタルエネルギーの輝きが辺りを包んだかと思うと、巨大蟾蜍精テラーゼルロイドは轟音と共に大爆発を起こし、跡形もなく消滅したのだった。



「敵の消滅を確認。リュウキ、バトルオーバー!」


「やった――――――!! 最っ高――――――!!」


 蒼の戦闘終了コールと共に、詩織がピョンピョンと跳ねまわる。

 燃えるような夕日を背に、戦闘巨神の咆哮が響き渡った。


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