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マジック×ウィング ~魔法少女 対 装翼勇者~   作者: マキザキ
第三章

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第31話:台湾編10 テラーゼルロイドの脅威




「女狐レーザー!!」


「桃破連撃砲!」



 紅琳の放った光線と桃色魔法少女のガトリング砲が敵に叩き込まれる。

 既に他の魔法少女とオペレーションチームの攻撃を受けてオーラを喪失していた大ガマ、蟾蜍精テラーゼルロイドはその猛攻をしばらくは耐えていたが、やがて背に腹に風穴を穿たれ、地鳴りのような断末魔を上げながら倒れた。

 その巨体は毒沼に溶けるように沈み、紫色のガスになって霧散していく。



「やった……! やりました!! 私達の勝利です!!」



 紅琳が両腕を振り上げ、ピョンピョンと跳ねて叫ぶ。

 そのまま膝をついて倒れそうになる彼女を、駆け付けてきた魔法少女達が支えた。

 SST直属メンバーが急いで彼女の元へ走り、Xプラズマコアエネルギーを彼女の胸に輝くXクリスタルへ照射する。


 御崎はその姿をしばらく見つめた後、オペレーションチームに向き直り、不慣れな中で健闘した彼らを讃えた。

 無事に戦闘を終えた旨を蒼達へ伝えようとした瞬間。



「先生!! すぐにそこから離脱してください!!」



 蒼の叫び声がインカムに響く。

 その直後、展開していたネオ・シャイニングフィールドが消滅したかと思うと、都市の天井がバキバキと音を立てて崩落してきた。




////////////////////




「これは……!?」



 遡ること数十秒。

 蒼のデバイスに異常なデータが流れ込んできた。

 それは上空を哨戒するドリルコンドルから送られてきたもので、国営都市中…いや、周辺地域中から濃密なカオスエネルギー流が飛来し始めていることを示しており、その向かう先は、テラーゼルロイドと魔法少女達の戦いが展開されていたあの国営都市N-13棟。


 何か、敵を利する現象が発生している。

 蒼は咄嗟にデバイスを操作し、御崎へ緊急コールを発した。

 それが繋がるのが早いか否か、N-13棟の上空に巨大なカエル型の影が出現し、棟の上に降り立とうとする姿が4人の瞳に映る。



「行くぞ!」



 蒼の声と同時に4つの影が光り輝き、黒雲立ち込める空へ飛び立った。



////////////////////




「大丈夫ですか!?」



 ドーム状に展開されたシールドが瓦礫を押しのけ、その下から魔法少女達とオペレーションチーム、そして蒼が現れた。

 地中から現れた蒼の超電磁レーザーシールドである。



「高瀬くん! この状況は一体……!?」


「アレを見れば分かります!」



 蒼が指さした先には、崩落した都市の天井から見える黒煙の空、そして、先ほど倒れ伏したはずの蟾蜍精テラーゼルロイドが空気を震わせて咆哮している姿があった。



「なんて大きさなの……!」



 御崎が息を飲んだ。

 その体高は優に50mを超え、周囲におどろおどろしい赤紫色の力場を纏っている。

 そこへ赤い閃光が激突し、巨体が宙を舞った。

 シャイニングエクストリーム化した響の拳の一撃だ。

 廃ビルに叩きつけられ、地鳴りを上げながら倒れる巨大蟾蜍精テラーゼルロイド。


 長大な舌を伸ばし、響を捕獲しようとするが、その舌は詩織の斬撃で瞬く間に細切れに切り刻まれてしまう。

 ならば、とばかりに強靭な足で跳躍し、響と詩織を押しつぶそうとするが、詩織、響と同じくシャイニングエクストリームの力を纏う香子の放った巨大光線流が直撃し、テラーゼルロイドは爆散した。



「すごい……」



 X化とは次元の違う戦闘力を目の当たりにした紅琳達が感嘆の声を上げる。

 だが、蒼は険しい表情を崩さない。



「いや、まだだ」



 テラーゼルロイドを覆っていた妖しげな力場が激しく輝き、再び巨大なガマの姿が形成されていく。

 蒼はオペレーションチームと魔法少女達を守りながら、国営都市N-13棟を脱出する。

 外にはエネルギータンク車と連結したネオ・ガンスプリンターと中華民国陸軍の対ゼルロイド砲撃舞台が待機していた。

 御崎は彼らに斉射を指示し、再び巨大ガマの姿を得たテラーゼルロイド目がけ、猛烈な砲撃が開始される。

 スプリンターキャノンが、対ゼルロイド徹甲榴弾が、敵の巨体に次々命中し、激しい爆炎が上がった。

 だが、巨大化したテラーゼルロイドが纏う強固なオーラはそれらの大部分を無力化してしまう。


その爆煙に紛れて響が飛びかかり、燃える拳を敵の腹部へ叩き込んだ。

だが、今度は先ほどのように吹き飛びはしない。

 テラーゼルロイドは大口を開け、毒酸の濁流を響めがけて噴射する。

 直撃を受ける響だが、頑強な彼女には毒も酸も病原体も通じない。



「おっらあああああ!!」



 毒酸の飛沫を蒸発させながら、今度は強烈なアッパーを叩き込む響。

 再び宙に浮くテラーゼルロイド。



「はあっ!!」



 宙に浮かぶ敵めがけ、香子が光線を放つ。

 テラーゼルロイドの体表で激しいエネルギーのスパークが起きた。

 敵は先ほどよりわずかな時間持ちこたえたが、やがて爆散、消滅する。

 だが、またしても力場は消滅せず、再び巨大ガマが姿を現した。

 今度は間髪入れずに香子が光線を放つが、敵の体表を覆うオーラは強度を増し、ついにその体の大部分を焼き尽くされながらも、爆散することなく耐えきってしまう。



「蒼! あの力場を破壊しないと埒が開かない!」


「暴れられたら厄介だぜ! さっさと倒さねぇと!」


「久々にアレやりましょう! アレならきっと!」



 蒼の元に降り立つシャイニングエクストリームの魔法少女達。

 蒼は詩織の言葉に素早く頷き、腕のデバイスを構えて叫ぶ。



「サポートバード合体! ドリルコンドル・バズーカフォーメーション!!」



 飛来したサポートバードがドリルコンドルと合体し、バズーカ形態となった。

 蒼達がそれぞれのポジションにつき、こちらを睨む巨大なテラーゼルロイドと、その背後に漂う力場の中心部を一直線上に捕らえる。



「「「「クァドラブルブラスターエクストリーム!! シュート!!」」」」



 放たれた4色の光線は渦を巻いて直進し、巨大蟾蜍精テラーゼルロイドに直撃した。

 さらに強力なオーラを纏ったテラーゼルロイドは、その強力すぎるエネルギー流をまともに受けて尚、原型を保ちつつ耐える仕草を見せる。



「「「「はあああああああああああ!!」」」」



 4つの声が共鳴し、放たれる閃光が輝きを増した。

 そしてついに、巨大蟾蜍精テラーゼルロイドのオーラを完全に粉砕し、その巨体を三度爆散せしめる。

 クァドラブルブラスターの奔流は敵を焼き尽くして尚突き進み、ついに力の根源と思われる力場のコアに直撃した。

 だが、壊れない。

 力場を形成しているコアは、並のゼルロイドどころか、街一つを滅ぼす強さを持った大型カオスゼルロイドをも容易に粉砕せしめる光線を全く寄せ付けず、暗黒の力場をますます強く輝かせている。

 蒼は予想を遥かに上回る強度に驚愕しつつ、即座に次の手を導き出す。



「みんな! 力を……」



「蒼さん!! 私達の力も使って下さい!!」



 蒼が紅琳達に振り返るより早く、彼女達が蒼の肩を掴み、支えていた。

 台湾の魔法少女達のエンブレムクリスタルから、蒼の胸に輝くXクリスタルへとエネルギーが流れ込み、光線の奔流に彼女達の色が加わっていく。

 するとどうだ。

 先ほどまでは効果が全く見受けられなかった力場のコアが激しいスパークに包まれ、ついにはパリンと音を立てて砕け、消滅した。

 それとほぼ同時に、ブレードホークとレイズイーグルの主要パーツが爆発し、弾け飛んだ。

 あまりの高圧エネルギーに耐えられなかったのだ、


 コアの消滅に伴って、暗黒の力場も消滅していく……。

 かに思えたが、まるで最後の抵抗のように、力場全てのエネルギーが集結し、4度目の巨大蟾蜍精テラーゼルロイドとなって結実した。


 香子が咄嗟に光線を放ったが、今度はシャイニングエクストリームの光線を以てしてもオーラすら突破できない。

 危害を加え得る敵がいないと見たか、巨大蟾蜍精テラーゼルロイドは腹を勢いよく膨らませ始めた。



「高瀬くん! まずいわ! あんな巨体で汚泥を噴射されたら、N-13棟だけじゃ済まない!」



 御崎の声が蒼を急かす。

 蒼が決死のドリルアタックを仕掛けるしかないと覚悟を決めた時、「ヴォオオオオオオオオオ!!」という、巨大な獣の咆哮とも、重厚な汽笛ともとれる重低音が台湾の空を揺らした。

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