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マジック×ウィング ~魔法少女 対 装翼勇者~   作者: マキザキ
第三章

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第12話:恐怖の白い檻




「こちら瑞希。氷華さんの道場付近に到着しました」



 SST特殊戦闘部隊、AZOT専用のバトルスーツに身を包んだ少女が、インカムに話しかける。

 彼女こそ、以前カラインによって魔法少女の力を奪われた、元・藍色の魔法少女である。

 人類の為、戦いに身を投じ続けることを望んだ彼女は、内部秘の隊員としてAZOTに所属しているのだ。


 彼女の目の前にあるのは、荘厳な雰囲気の森と、長大な石段。

 天色の魔法少女、小宮山 氷華の自宅兼剣道場へ続く道である。

 巨大な杉が並んでいて、まるで神社仏閣のようだ。


 氷華がマジフォンによる定時報告を絶って早1週間。

 機械音痴であり、時折思い立ったように山籠もりを始める彼女のことなので、初めは皆「またか……」と思っていたものの、流石に無連絡で1週間ともなれば、心配にもなる。

 加えて、彼女が見回っていたエリアにおけるゼルロイド目撃情報が多発したことから、彼女の身に何かが起きた恐れがあるということで、SSTは大事をとって瑞希を派遣したのだった。



「……!? カオススモッグが出てる……?」



 石段を登るにつれ、彼女の腕に装着されたマルチデバイスのセンサーに、カオススモッグの警告が出た。

 極めて薄い濃度だが、そこにカオスゼルロイドが存在することを示している。



「氷華さん!」



 瑞希はG-トリニティランチャーを構え、石段を勢いよく駆け上がる。

 彼女が今、カオスゼルロイドに襲われているかもしれないのだ。

 一刻の猶予もない。

『瑞希さん! どうしたの!?』という御崎の声に「カオスゼルロイド出現です! 氷華さんが危ない!」と応えながら、彼女は石段を登り切った。



「ひっ!? 何これ!?」



 異様な光景が広がっていた。

 木造建築の建物を覆うように広がる、白い網状の物体。

 そして、広がるカオススモッグと、それに混じる白い霧。



「氷華さん!!」



 その網に手をかけるが、まるで鋼鉄のように固く、ビクともしない。

 瑞希はG-トリニティランチャーをバルカンモードにし、その網を攻撃する。

 G-プラズマコアエネルギーの掃射を与えると、それは柔らかい布のように断ち切れた。

 瑞希は開いた穴に身を滑り込ませ、網に覆われた道場の玄関をエナジーランチャーモードで吹き飛ばす。



「あ……ああ……」



 道場の中は、酷い有様になっていた。

 床から天井へ突き立つ、柱状の物体が乱立し、それらの間を無数の網が走ってる。

 低濃度のカオススモッグと共に、謎の白い霧が充満し、視界は1mもない。

 だがその奥に、見覚えのある美しい、天色の輝きがあるのを彼女は見た。



「氷華さん!」


『瑞希さん! どうしたの!? 瑞希さん!』



 御崎の問いかけにも応えず、瑞希は必死になって網を破壊し、その光の下へと向かう。

 瑞希と氷華とは何度も共に戦った仲だ。

 何度も魔法少女の死を見せられた瑞希は、彼女の危機を前に、冷静を保つことは出来なかった。



「ひょ……氷華……さん……?」



 檻のように広がっていた網の森を抜け、光の下へ辿り着いた瑞希が見たのは、全身を網で覆われ、胸の宝玉の周辺を残し、コスチュームを完全に分解された氷華の姿だった。

 その美しい四肢には、至る所に裂創が走り、そこから気味の悪い棒状の物体が生え、三角錐の網を発生させていた。



「み……ず……き……」



 その恐ろしい姿に、呆気に取られていた瑞希だが、氷華の声に我を取り戻し。

 その網を外しにかかった。

 マジフォンは彼女が手を伸ばした先で、網に飲み込まれている。

 連絡がつかないわけだ。



「わたしの……ことは……いい……。はやく……皆に……」


「良くないです!! 今助けます!!」


「山を……封鎖するんだ……。手遅れに……なる……!!」



 瑞希が彼女を覆っていた網を破り、彼女の身体を肩に担ごうとすると、氷華はビクともしない。

 床の畳をバルカンで撃ち抜くと、彼女の身体から生えた枝状の物体が、彼女を畳にガッチリと固定していた。



「う……うわああああああ!!」



 瑞希は半狂乱になりながら、その床下一面に広がる枝へ、エナジーランチャーを連射した。

 ランチャーのエネルギーを使い切った頃、ようやく氷華の身体が畳から持ち上がる。

 瑞希は必死になって氷華を背負い、早くも閉じ始めた白い網の群れを抜け、何とか石段まで辿り着く。


 その頃になってようやく、インカムが激しい声を発しているのに気が付いた。



『瑞希さん! どうしたの!?』


「氷華さんが重傷です! 早く救護車を!! それと……氷華さんが山を封鎖しろって……!」


『山を……。分かった。一先ず救護車をそっちに回すわ!』


「お願いします!」



 この間にも、氷華は「山が……山が……」と、うわ言のように呟いていた。


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