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マジック×ウィング ~魔法少女 対 装翼勇者~   作者: マキザキ
第二章:魔法少女 対 異次元軍ウボーム 編

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第67話:因縁! 蒼 対 オピス




「ダメだ……ティナ!! 我々は捨て、奴を倒せ!!」


「嫌です! 巫女長や皆を助けに来たんですから!」


「馬鹿者! 我らの為に天使様や神を継ぐお方を危険に晒してどうするつもりだ!」



 ザルドの胸に埋め込まれた戦巫女たちの中で、唯一意識を保っていた巫女長が、ティナを責める。

 だが、ティナは攻撃を仕掛けようとしない。

 魔法少女達も同じだ。



「諦めないでください! 必ず助けます!」


「ウチらはそのために来たんだ!」



 詩織がザルドの周りを高速で飛行して注意を引き、響はザルドの拳を受け止め、弾き、疲弊を狙う。

 ティナによると「自律を保ったまま融合させられた」戦巫女たちは、ザルドと肉体を共有している状態だ。

 ザルドを傷つければ、そのショックで死んでしまうかもしれない。

 分離術式を描き、彼女達をそこから引き剥がす準備が整うまで、時間を稼ぐ必要があるのだ


 ザルドの動きは怠慢で、ティナの言っていた無敵要素も、武人要素もまるで感じられない。

 顔はずっと呆けたように虚空を見つめ、何かをブツブツと呟いている。



「ザルド……! 貴様も世界を制した一党の首領なら……! 抗って見せろ!! オピ……ぐぁぁあ!!」



 ザルドを見上げ、叫んでいた巫女長が突然苦しみ始めた。

 「お前たちも……抗うんだ! 奴の……リンクに……!」そう叫んだのを最後に、彼女はがっくりと項垂れ、意識を失った。



「ワレガ……ザルド……!!」


「ぐっ! この野郎っ!!」


「ウ……アァ……」



 巫女長が意識を失うと同時に、ザルドの動きが突然素早くなり、響に拳が叩き込まれた。

 だが、響はそれを受け止め、そのまま押し返した。

 ドン! と音を立てて倒れるザルド。



「なんだなんだ~!? こんなんでウボーム最強とか笑わせるぜ!」


「響先輩煽らないでください! 人質がいるんですよ!?」


「おっと……悪い。いつもの癖が出た」



 のっそりと起き上がるザルドに、二人は再び攪乱戦をしかけ始めた。




////////////////




「ようやく会えたわね。蒼くん」




 一方、オピスと対峙するは蒼と香子。

 やけに馴れ馴れしく、蒼に話しかけるオピス。



「アンタの知り合い!?」


「いや、知らないぞこんなヤツ」


「えー!? ウッソでしょ!? あんなに楽しいことしてあげたのに!?」



 蒼の言葉に、妙に驚いた素振りを見せるオピス。

 香子は「楽しいこと……?」と、蒼をムッと睨むが、「俺と誰か間違えてんじゃねぇかな?」などと素知らぬ素振りの彼を見て、元カノ、浮気相手の類ではないと確信したようだ。



「はぁ~……私が直々に相手すれば、手っ取り早いかと思ったんだけどなぁ……ま、仕方ないか!」



 パン!と手を叩いて立ち上がるオピスに、二人は身構える。



「もう一回タップリ教えてあげる♡」



 耳元で囁かれた声に蒼が振り向こうとした時、既にオピスは元の位置から消え、彼の真横に迫っていた。

 直後、激しい衝撃と浮遊感に見舞われる蒼。

 何をされたのか理解する暇もなく、彼は固い石畳に全身を叩きつけられていた。

 鋭い痛みが彼の関節を貫く。



「さーて……まずは何をしてあげようかしらね……」


「ぐっ……な……何が……!」



 痛みにチカチカと点滅する視界が晴れると、蒼は自分が石柱に磔られていることに気が付く。

 全く反応出来ない間に、彼は元の大聖堂とは異なる石室に捕えられてしまったらしい。

 手足に複数撃ち込まれた黒い杭のようなものは、彼の四肢を石柱に縫い付け、動きを完全に封じている。


 彼はエネルギー爆破で脱出しようとしたが、杭の作用だろうか、上手く手足にエネルギーを流すことができない。

 何とか動かせる肩を動かし、手を切断して脱出を試みる蒼だが、その眼前にオピスの邪悪な笑顔が迫る。



「私の名前は何でしょう?」


「知らないな……ぐっ!! がはぁ!」


「オーピースー!」



 オピスは蒼の腹に大剣を突き刺しながら、名を名乗る。

 「分かった?」というオピスの問いに、蒼が「オピスか……初めて聞く名前だが……」と応えると、彼女はさらにもう一本、剣を彼の胸に突き刺した。



「ぐああ!!」


「本当に覚えてないの?」


「覚えてないもなにも……誰だお前……! ぐぅっ!!」



 突き刺した剣をグリグリと捻り、不服そうな顔をするオピス。

 蒼が苦しむ顔を一通り楽しんだ後、彼女は思い出したようにガサゴソと自身の服をまさぐり始めた。



「じゃん! 一番最近の記憶じゃない!? これ!」



 そう言って取り出したのは3つの宝石。

 赤、青、黄色のそれは、魔法少女のエネルギー中枢である、宝玉であった。

 何かから荒々しくむしり取ったかのように、布やリボンの切れ端が残されており、そこに付着しているのは、黒く変色した、血。



「響、香子……詩織……?」


「そうそうそう!! 思い出した!?」



 見慣れた3人の宝玉を前に、呆気にとられる蒼と、その様子を見て嬉しそうなオピス。

 「ほらほら! 前の最終決戦でほら! これこれ!」と、異様に高いテンションで、それらを蒼の眼前に突き出してくる。



「……?」



 だが、蒼はサッパリ意味が分からなかった。

 彼女達のデバイスから一定時間ごとに送ってくる生体情報は至って健康な数値を示しているので、彼女達がこの短い間に敗北し、それらを奪われたわけでもなさそうだ。

 

 以前、コスモスから受け取った情報に含まれていた、自分達が敗北した世界のものかもしれないが、なぜそれを自分に見せて喜んでいるのかが分からない。

 ただ、とりあえず言えることは、オピスと名乗る女は、今とは別の、自分達が敗北し、滅亡した世界からやってきた可能性が高いということだ。



「俺達が負けたっていう世界から持って来たのか、それ。悪いが、俺は前の世界の記憶とかは持ってないんだ、夢で断片的に見てたらしいけどな」


「なっ!?」



 蒼の言葉に、オピスはまず驚き、次第にその表情を、失望や怒りに変化させていった。

 「なによ……クッソつまんない! せっかく貴方が弱っちいから、世界滅ぼしがてらもう一回絶望顔見ようと思ってたのに!!」


「ぐっくぅぁああ!! 何を……訳の分からないこと言ってんだ!!」



 ザク、ザク、と、手近に転がっていた剣を、槍を、蒼の身体に次々突き立てていくオピス。

 蒼の身体が、刺さった武器でハリネズミのようになった頃、彼女は諦めに似た表情で、もう一つ宝玉を取り出した。

 それは、見たこともない、白い宝玉。

 ボロボロで欠けキズだらけだが、X字の、かなり大きなものだ。



「はぁ~……コレとか意味ないわよねぇ? うわっ!?」



 蒼の目の前で、まるで催眠術のようにユラユラと振られていたそれが、突然弱々しい光を放ち、蒼の身体に吸い込まれていったのだ。

 「あっ! ヤバっ! ミスったかも!」と慌てるオピス。

 蒼の身体の、宝玉が吸い込まれていった位置にナイフを突き刺し、掘り返そうとする。

 思わぬ現象に驚いたためか、オピスは全く気付いていなかった。

 身を抉られ、骨を削られても尚、微塵の声も発しない蒼に。




////////////////




 見上げた空に浮かぶ、気味の悪い巨大な影。

 空を覆い、太陽を隠し、世界を闇に包み込む。

 光すら通さない黒い霧の向こう、気味の悪い、何か動物の頭蓋骨のようなものがじっとこちらを覗き込んでいる。

 蒼は、いつか見た景色を、再び眺めていた。

 体は、何かに固定されているかのように、全く動かすことができない。



「……て……」



 自分の声が聞こえた。

 どうやら、これは自分の視界らしい。

 だが、意識は別のところにあるのか、行動を制御することは出来ないようだ。



「蒼! 蒼―――!!」



 蒼の耳に届いた、聞き覚えのある声。

 青い閃光が、蒼の名を叫びながら、闇を切り裂いて飛来する。

 いや、それだけではない、黄色い光、赤い光が、大地に蠢く闇たちを蹴散らして突っ込んでくる。

 だが……。



「ぐあぁ!」


「きゃっ!」



 その前に立ちはだかった少女達によって叩き伏せられ、群がってきた闇の中に飲み込まれていく。



「詩織さん! 響さん! ……蒼! 絶対助けるわ!!」



 その隙を突き、蒼の目の前に着地したのは、香子だった。

 コスチュームはかなり異なっているが、間違いない、魔法少女の姿である。



「これを……壊せば……!!」



 視界が少し横に動いた。

 見えたのは、蒼の手足を縛める黒い枷。

 自分はどこか高台で、拘束台に磔にされているようだと、蒼は冷静にそれを眺めている。

 それを懸命に破壊しようとする香子。



「……たす……け……」


「当たり前よ! 絶対に助けてあげる……! こんなになるまで頑張ったアンタを……絶対一人で死なせたりはしない!!」



 弱々しい声で助けを求める自分と、泣きながら、必死で枷に光線を放つ香子。

 だが、枷も、拘束台も、ビクともしなかった。



「くそがぁ!! 蒼を……蒼を放しやがれ!!」


「先輩……! まだ……まだ終わってません……!!」



 纏わりつく闇を振り払いながら、ズタボロの身体で高台に這い上がってくる響と詩織。

 その後から、ヘラヘラと笑う女たちが5人ついてくる。

 中には、オピスもいた。

 そして、いつか見た、黒い魔法少女も、並んでいる。



「ち……近づかないで!! 蒼には指一本触れさせ……」



 弱々しい光弾を放ちながら、迫りくる闇目がけて叫んでいた香子だったが、その体が宙を舞った。



「残念でした! もうすぐ傍にいるのよねー!」



 オピスの腕から伸びた黒い無数の触手が、香子の全身を刺し貫く。

 穴だらけにされた彼女の胸から、ブローチが落下し、変身が解けた彼女はそのまま、物言わぬ肉塊と化した。


 詩織は、蒼の腕の枷目がけて、ライトニングアンカーを叩き込んだが、枷にはヒビ一つ入れることも叶わず、後から這い寄ってきた女に、口から体内へ侵入され、頭を粉みじんに砕かれて散った。


 片腕を捥がれながらも、懸命に蒼の足枷をはぎ取ろうとしていた響は、突然現れた巨大な口に下半身を丸ごと食いちぎられ、「蒼……今助……」の言葉を遺して絶命した。

 その口は、響の宝玉をゴミのように吐き出し、それが蒼の足元でカラカラと転がり、やがて止まった。



「はーい。じゃあコレも貰っちゃうから」



「ぐぁあ……」



 オピスに胸を抉られ、苦悶の声を上げる、視界の中の蒼。

 その手にあったのは、ボロボロに欠けたX字の宝玉。



「さぁ! カオス様の勝利を……!」



 5人のリーダーらしき女が、天に浮かぶ骸骨目がけ叫ぼうとした瞬間、黒の魔法少女が蒼の胸元に飛び込んできた。



「蒼くん……! 私に力を……最期の力を貸して……!!」



 その場にいる全員が呆気にとられるなか、その少女の身体から激しい光が噴き出し、辺りを包む。



「き……貴様……!! これが目的で……!!」



 リーダー格の女の叫び声が遥か遠くで聞こえた。



「蒼くん……。次は……次は絶対に……勝って……!」



 突然、大地が、天が白い光を発しながら裂け始め、灰燼が宙へ舞い上がる。

 あとは白い、白い、光の中。

 蒼は自由になった足で白い地平を駆け抜け、自分を呼ぶ声の元へ走った。




////////////////




「蒼!」


「先輩! 無事ですか!」


「助けに来たぞ!」


「うっわ! マジ!? タイミング悪ぅ……!」



 そんな声が聞こえた。

 蒼はその声の先へ……手を伸ばした!



「てめぇ絶対許さねぇ!!!」



 凄まじい圧で噴射されたエネルギーが杭をみるみる内に蒸発させ、突き刺さった武器を吹き飛ばす。

 穴だらけだった彼の身体は瞬く間に修復され、バトルスーツに火が灯る。



「うそっ!? えげぇっ!?」



 飛びかかられたオピスは全く反応出来ず、その掌に顔面を掴まれる。

 そのまま、石壁にオピスを叩きつける蒼。



「タップリ見せてもらったよ……お前の言う前の記憶をね……!!」


「くっ……! 何で……吸収できな……おぶぇぇえ!!」



 オピスが何かに戸惑っている隙に、蒼の拳が彼女の腹に叩き込まれた。



「ちょっ! タンマタンマ! ミスったの! うっ!」



 一瞬でワープし、蒼の背後に逃げたはずのオピスめがけ、エナジーキャノンが叩き込まれた。

 その一撃でオピスの胴体が断裂し、サラサラと黒い粒子をまき散らしながら落下していく。



「消え去れ……!! エナジーストーム!!」


「ぐぎゃああああああ!!!」



 尚も飛んで逃れようとしていたオピスだが、部屋全体を包み込む光の突風に巻き込まれ、虚空へ消え去った。



「蒼! 大丈夫だった!?」


「先輩……すごいです!!」


「お前……本当にどこまでも強く……むっ!?」



 自分の元に駆け付けた3人を、蒼は抱きしめた。

 強く。強く。



「ありがとう……。助けに来てくれて……ありがとう……!」



 異様なまでに熱い口調の蒼に衝撃を受けつつも、3人はその抱擁を受け入れ、そっと抱き返す。



「お……おい蒼! お前それ!?」



 ある異変に気が付いた響が、驚いて指を指した。

 その指が指すのは、蒼の胸。



「ああ……これか」



 蒼の胸には、光り輝くXの宝玉が出現していた。


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