嘘つきな悪魔と少女の『契約』 改
アルファポリスで掲載している短編集の一つを少し改変してこっちで載せました。by漣 紫苑
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昔々の、そのまた昔、一人の悪魔がおりました。
悪魔は人とは異なる見た目と、人を騙して煙に巻くため人々からは恐れられておりました。
真実を嘘に変え、寄る人全てに嘘をつくので、ずっと一人で生きていた彼は誰とも一緒にいることはありませんでした。
悪魔の青年は誰と一緒になることもなく、束縛を嫌い、自由気ままに生きていた。縛られて生きるなどゴメンだと常に飄々と自由に世界を見て回り、何時しか時が経ち面白いものもなくつまらなくなってなっていきました。
何時しか何年、何十年もの年月が過ぎさっていったころ一つの村に女の子が生まれました。両親は生まれてからしばらく経った頃に亡くなってしまいましたが、それでもすくすくと育った少女は或る日の夜、森の泉の傍にいる悪魔を見つけました。
「ねえ、そこで何をしているの?」
「何も。」
「村の人ではないわよね?一人でここにいるの?」
「俺は悪魔さ。人ではない。」
「帰らないの?」
「・・煩い小娘だ。早く去らねば不幸にするぞ。」
悪魔をじっと見ていた娘は、ふと思いついたように持っていたバックから首輪を取り出して差し出した。今持っている中で、食べ物でもなく花でもない一番きれいに作られている物はこれだけだったから。
「ねえ、私と一緒に来てくれない。両親もいないし一人は寂しいの。これ、綺麗でしょう。今持っているもので奇麗なものはこれだけなの。私にあげられるものはこんなものしかないのだけど・・・」
「お前は悪魔と契約したいのか・・?しかも銀とは。愚かなのか・・」
「気に入らないなら、これからあなたが欲しいものを言ってくれたら出来る限り手に入れる。あなたに一緒にいてほしいのよ。」
少女の瞳には、悪魔の姿は寂しそうにも見えた。自分が与えた首輪と悪魔の言った契約というものの意味も知らずに、娘はただ静かに微笑んだ。
娘から感じるのはただ純粋な暖かさ。悪魔はその心に触れて、不思議な感覚に戸惑いながら嫌そうに自身の首にそれを付けた。
「俺を下僕とするとは哀れで愚かな娘。契約の意味すら知らず俺などと契約しおって。一生呪って不幸にするぞ。」
本音を言えない一人の悪魔は、紅い瞳を歪ませて自ら娘にかしずいた・・・
一人で暮らすことが寂しかった娘は、そんな悪魔を見て嬉しそうに飛びついた・・・
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悪魔 200歳以上
見た目 灰色の長い髪を後ろで縛り、紅い瞳の長身痩躯の美貌の青年。額には黒くて細い角が二本。黒いコートに暗器を仕込んでいる。
種族 吸血鬼と悪魔のハーフ 属性 闇・火
少女 17歳
見た目 亜麻色の長いウェーブのかかった髪の毛にエルブ色の瞳。両親は9の時に死去。
属性 水・風 特技 料理 弓