《効率的に経験値を稼ぐには?》
まず、たくさんの量を書くことが前提です。
基本的には書けば書いただけ文章は上達します。
それに関しては私が前に書いたエッセイ『面白い小説がスラスラ書けるようになる方法』でも触れていますので、宜しければ目を通してみてください。
ですが、上記でも触れたようにある程度の段階に達した者は、次第にレベルアップの速度が落ちていってしまいます。ただガムシャラに書くだけでは効率的な上達は難しいでしょう。
そこで、自分が作家としてのどういう能力を伸ばしたいかを意識して下さい。
自分がどんな分野を得意にしていて、逆に何を苦手に思っているのか把握していれば伸ばすべき能力を絞りやすくなります。
ステータスの伸びる方向を決められるタイプのゲームに例えると、戦士タイプのキャラは元々強い腕力や防御力などの得意分野を伸ばした方が強いですよね。魔法の威力に関する魔力を伸ばしてもあまりメリットがありません。しかし元々は低い魔法防御にポイントを割り振れば事故死の可能性が減って防御役としての安定感がグンと高くなります。
こういうステータスの割り振りを小説に当てはめるとどうなるでしょうか?
戦闘シーンが得意だけれど恋愛描写が苦手だという作者なら、得意分野を活かした展開にする事で持ち味を活かせますし、逆に苦手な恋愛シーンに挑戦する事で引き出しの幅を広げる選択も出来ます。
こういう方針の選択はある程度無意識にやっている人は多そうですが、意識的に自分のスキルを把握しておくことで、より明確に今後の執筆方針を決めることが出来るのです。
いっその事、ゲーム的に自分のステータスを書き出してみるのも分かりやすくていいかもしれません。
あなたがファンタジー系の戦闘メインの作品を書いているとして、
レベル10の『ファンタジー』とレベル8の『戦闘描写』のスキルを持っている。
ただし『恋愛描写』のスキルはまだレベル2しかない。
しかし、広く応用が可能な『感情表現』のレベル7と『プロット作成』スキルを持っているので、書き方次第では面白く出来そうだ。
こんな具合に戦闘のプランを組み立てる事も出来ますね。
苦手分野というのはRPGで言えばレベルが低い状態ですから、苦手だからと避けずに挑戦すればある程度までは簡単にレベルを上げることができます。得意にまでならなくとも苦手意識を払拭することは出来るかもしれません。適正次第では苦手だったジャンルが得意になるまで成長できる可能性もあります。
得意分野というのは逆にすでに高レベルの状態です。すでに得意な分野を大きく伸ばす為にはかなりの努力が必要です。RPGでレベル1のキャラをレベル90まで育てるより、レベル90のキャラをレベル100にする方が難しいようなものです。しかし、得意分野に挑戦するのというは基本的に楽しい事ですし、どんどん書いて楽しみながら才能を伸ばしていってください。
作品ジャンル以外の事でも、
・執筆速度を上げるためにブラインドタッチを習得したり、使いやすい装備を購入してみる。
・ある分野の知識を増やすために専門書を読んだり、インターネットのサイトを巡回してみる。
・表現の引き出しを増やすために映画や舞台を見てみる。
……と、例を挙げていけばキリがありませんが、曖昧だった自分のステータスをちゃんと把握する事によって、ただガムシャラに書くよりも効率的なレベルアップが見込めるでしょう。
誰だって成果が同じならば、スライムを延々と千匹倒すような苦行よりも、メタルスライムを一匹倒すだけの方がいいですよね?