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ウワサ

なあ、なあ。あの学級委員長になった波月楓(はづきかえで)って子どう思う?」

突然隣にいた旋理が唐突にきてきた。

「いきなりなんだよ、旋理(せんり)。」

「だって、まだ高校生になって2日とたっていないのに、推薦じゃなくて立候補で委員長になるなんて、フツウじゃ考えられないぜ?」

「まあ・・・そうだと思うけど・・・」

「だろ」と自慢げにうなずいたコイツは、俺の幼馴染である天城旋理(あまぎせんり)

家も隣同士で小学生のときから毎日のように遊んでいた。まあもう一人いたけど。

高校も俺が行くといった高校に「勇気が行くなら」といって志望校を変えた。

コイツは成績も見た目も結構よく、運動もそこそこできる。

これだけ聞けばハイポテンシャルのイケメン男子だが・・・・・・・

「おーい。旋理、勇気!」

と後ろから女子の声が聞こえた。

すると次の瞬間、俺と話をしていた旋理がものすごい勢いで体を半回転させた。

そして、「ヒスイすぁーーーーーーーん!!!!!」

と言って話しかけてきた女子の抱きつきにいった。

だがその女子はそのことにまったく動揺せずに抱きつきにいった旋理をかわして、

全力で膝蹴りを旋理のみぞおちに入れた。

「ひでぶ!?」といって旋理は宙を舞った。

・・・・そう、コイツは、この女子、生天目(なばため)ヒスイに異常なほどホレているのだ。周りからみてもそれはまるわかりで、ひとめぼれした女子が旋理のヒスイに抱きつきにいって

ボコボコにされるというお約束の光景をみて、減滅したという話は幾度となく聞いた。

「見た目も顔もいいんだからもっとちゃんとアピールすれば?」とアドバイスしたら

「これがオレ流恋愛術だ!」とかいってまったくきかない。

なぜ抱きつきにいくのが1番いいと思っているのかは、俺の永遠のナゾである。

「よっ。勇気。」

旋理流(?)のアピールをなにもなかったかのようにスルーしてヒスイは言った。

「あっ、ああ。おっす ヒスイ・・・。」

「なに、そのミジンコみたいな顔。」

「なんですか、いきなり!? しかもミジンコって!」

「べつに何も。」

といって不適にわらった。

この俺をミジンコ扱いしたヒスイだが、コイツも旋理と同じ俺の幼馴染だ。

旋理、ヒスイ、俺の3人で小学生のころから毎日遊んでいた。

外見はかなりかわいいんだが、かなり毒舌。

被害者は基本的に俺。毎日のようにボロクソ言われている。

さらに、さっきのように身のこなしの良さがハンパない。

それを生かして中学では空手部の主将をしていた。ようするに最強。

旋理もコイツのどこがいいんだか・・・

「でさ、さっきの委員長の話なんだけどさ。」

「うお! 回復はやっ!」

さっきあんなに強烈な膝蹴りをくらったというのに、旋理はもう復活していた。

(コイツ・・・なんかヒスイにやられるたびに復活が早くなっている気がする・・・)

「で、なんだっけ?」

「委員長だよ委員長。あのひとなんか変なウワサがあるんだよ。

 ヒスイさん、知ってますか?」

と、こりずにさりげなくヒスイに近づいた。

それに気づいたヒスイは、近づいてきた旋理の足をすかさずグリグりと踏んだ。

しかし旋理は、痛みに耐えつつも逆の足を出してヒスイに近づこうとする。

(・・・旋理・・・その根性に敬意をはらって助けてやる・・・)

俺は攻防戦を繰り広げている二人の間に割ってはいる。

「二人とも、どうどう。で、ヒスイ 変なうわさって?」

「ああ、それね。なんか極度の家族嫌いなんだって。」

「家族嫌い?」

俺は首をかしげた。

「そう、委員長と同じクラスだった私の友達の話だと、なんか休日に家族と出かけたみたいな話をしていたんだって。そのとき近くに居た委員長にも「波月さんも最近家族と出かけたりした?」って話をふったんだ。でも委員長は無視してそこから離れようとしたから、なにかあると思っていろいろ聞こうとしたら、あの委員長が烈火のごとく怒ったんだって! 「家族の話なんかしないで!」って。」

「へえー」

あのおとなしそうな委員長がね・・・

「二人とも。なんか理由しってんの?」

と一応聞いてみるとと二人は首を横にふった。

なんでも、聞こうとするとまた怒り出すらしい。

「まあ、べつに家族の話さえ言わなければ、ただのマジメな女の子なんだからさ、

 きにしなくていいよ。」

「うんうん、そうそう、ヒスイさんの言うとおり」

と足ふみから開放されたらしい旋理がいう。

(なんでそこまで家族が嫌いなんだろ やっぱ気になるなぁ・・・)

三人での帰り道。 たわいのない会話をしながらも、

俺はずっとそのことが頭から離れなかった。

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