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黒いベールを被せられた私は、結婚式を挙げた直後に塔に幽閉されそうになりました。

掲載日:2026/04/24

美しい少年が、王城の一室にて睨み付けながら吐き捨てるように言い放つ。

「おまえなど妻などと断じて認めん!!帝国が、偉そうに!所詮は……我が国の豊富な資源が欲しいのだろ。」


ふんっと、鼻で笑い睨み付ける。


「この結婚は僕の父の遺言とお前の国が泣いて頼むから仕方なくすることになっただけのこと。

で、なければ誰が好き好んで帝国の女と結婚などするものか!」


豪華なウエディングドレスに身を包み、黒いベールを胸辺りまですっぽりと被った少女が一方的に罵声を浴びせられていた。

少女は、ベール越しに紫色の瞳で、金色の美しい瞳を見つめていた。

♢♢


ロピア王国の伝統ある教会で、父王が突然崩御し即位したばかりの若く美しき王エリックと、こちらも16歳の誕生日が過ぎたばかりのスカノア大帝国第2王女シルビアとの結婚式が執り行われた。


エリックはこの国の王族らしく金髪に金色の瞳。

王女シルビアは…………。

顔に黒く長いベールをすっぽりと被っており顔が見えなかったが、流れるような銀髪に王子より少し背が高かった。

しかし、ベール越しだが、気品が漂っていた。

神父による誓いの儀式が執り行われ、誓いのキスはベール越しにされたが、式は滞りなく終了した。


そして、冒頭に戻る。

憎しみのこもった目でエリックは、シルビアに一方的に暴言を吐いていた。

エリックの横にはエリックよりも背の低い金髪巻き髪の豊満な胸の女性エリザベスが、ニヤニヤと笑みを浮かべながら、エリックに胸を押し付けながら聞いていた。

エリックは時折激昂しすぎなのか、少し震え言葉に詰まることをあったが、その度にエリザベスがエリックに胸を擦り付けるなどボディタッチをしていた。

「おまえ達帝国は我が国が、資源豊富で貿易には欠かせない国の為、有効の証として、お前を寄越してきたわけだが…………。」

エリザベスはエリックにすり寄り豊かな胸を擦り付ける。


「…………しかし寄越してきたのは何の魅力もないデカ女……。

だが、帝国の王女なのには、変わりない。

はるばる帝国からきたのだ。僕はお前など見たくもないが最大限の温情をかけてあげようではないか。」

エリックは時折言葉に詰まりながらも大声で話す。

一瞬シルビアのベール越しの瞳とエリックの金色の瞳の先の視線が絡み合ったが、それらを絶ち切るようにエリザベスの大きな胸がエリックの上腕にぐいぐいと擦り付けられる。

一瞬エリックの瞳が揺れたが、「あそこをお前の部屋にしてやろう!」


ビシッとエリックが指差した先には、とても高く古い塔であった。

その塔には小さな窓が一つだけついており窓には鉄格子が嵌められていた。

恐らく貴族など大々的に処刑できないような罪を犯した者達を幽閉してきたであろう場所だった。

シルビアがコクンと頷く。


「何の抵抗もなく頷くとはな!…………ハハハッ

そうか、そうか!お前なりに部をわきまえているということか!どうやらお前は自らあそこの塔に閉じ籠りたいと願っていたようだ。他のものには本人が泣いて自ら塔に籠ったと伝えておこう!」

じっと押し黙っていると、シルビアに次から次へと酷い言葉を浴びせていく。


「この空間にお前などと一緒にいる事事態、虫唾が走るというのに!父上の遺言でお前との結婚が記してなければ……。何故父上はこやつとの結婚を勝手に決めていたのだろう!帝国に脅されていたのか?

先程の誓いのキスもベール越しとはいえ不快で不快でしょうがないわっ。」

あろうことか、ペッと唾をシルビアの方に向けてて飛ばす。

勢い足らず、全然シルビアには届いてなかったのだが…………。

エリザベスがクスクスと笑い出し、エリックにすり寄る。

「汚いものは、上書きしなくてはなりませんわ。」

エリザベスは熱い視線をエリックに注ぐ。

エリックは、一瞬片方の眉がぴくりとしたが、すぐにエリザベスを熱っぽい視線で見つめ返した。


そして、シルビアの目の前で…………。

エリザベスは、エリックにキスをした。

「ウフフフ。私の愛しい愛しいエリック様。」

エリザベスはうっとりとした眼差しをエリックに向けエリックのほどよく筋肉のついた胸の辺りをねっとりと触る。

そして、エリザベスは勝ち誇った目で、黒いベールを被ったシルビアをエリックの肩越しにギラリと見るのであった。



♢ 


あれから再びエリックとエリザベスから絶え間なく罵声を浴びせられていた。


だが、2人からどんなに酷いことを言われても、シルビアはただただ終始、コクンコクンと頷ずくのであった。

その様子を当然とばかりにエリザベスは蔑むかのように見ていた。

「エリック様~。そろそろシルビア様は塔に行って頂きましょうよ~。自らの足であの恐ろしい暗くて寂しげな塔に!」

エリザベスは、エリックの綺麗な金色の瞳をじっと見つめた。

「ハハハッ!そう、そうだな!流石はエリザベス!

もうこやつと話すこともないわ!自らの足であの塔に行くのだ!」



────今まで罵声に対して、ただただ頷いていたシルビアだったが、ベールの奥にある紫色の瞳で金色の瞳をじっと見つめ、突然落ち着きのある声を発した。


「それで? このベールは何故私に?」


シルビアの美しい声が部屋に響き渡る。


「!!」

一瞬エリックは怯んだが、すぐにその問いに答えた。

「それは決まっているだろう!お前みたいな穢らわしい醜い帝国の女の顔など見たくないからな!それを察しエリザベスが醜いお前にお似合いの黒い不気味なベールを用意してくれたのさ!」

「そう。」

シルビアはカツカツとヒールの音を響かせながら2人に近づき2人の目前でピタリと止まる。

そして、銀色の美しく長い髪を垂らし2人を見下ろした。

エリックはふんぞり返りながらも聞かれてもいないことをベラベラと得意気に話し出すのであった。

「エリザベスは、僕の父上がお亡くなりになり、僕が失意のどん底にいる時から、より親密になっていった。

元々、父上の専属侍女だったエリザベスたが、父上が亡くなってから絶望の中にいる僕に寄り添いずっとそばにいてくれたのだ。僕が若いからと良からぬことを企む貴族達群がってきたが全てエリザベスが対処し乗り越えてきたのだ…………。なのに、父上の遺言状に従ってこんな帝国の女と結婚することになるなんて……。」


シルビアはコクンと頷く。


「遅くなってごめんね。」と呟いた。


シルビアはサッとベールを外すとエリザベスの顔はサッと青くなった。

じっと美しいライラック色の瞳でエリザベスを見つめる。


「なっ!なっなー!!!」

驚きのあまり大きな声を出す。


「何故!何故なの?そのベールは私が強力な呪符を施したベールのはず!被ったものは何の意思もなくなりただの操り人形になってしまうというのに!

ハッ…………。ふっふぐぐ」

自分の意思とは関係なく、言ってはならないことを暴露してしまい咄嗟に自分の手で口を塞ぐ。

目だけをキョロキョロとさせていたが、いつの間にかエリザベスの前には、背の高い威厳のある男がいた。

銀色の髪の威厳のある男──スカノア大帝国の王。シルビアの父がエリザベスをジロリッと見下ろしながら威圧的に歩み寄る。


「…………で、、、こやつなんだなシルビア。」

シルビアはコクンと頷く。

「そうか。」返事するや否や片手でエリザベスの髪の毛ごと持ち上げる。「キャァ──何をするッッ。」


王の眼力は相手を射貫く。

「我が親友を殺した罪は大きいぞ。」


────!!!エリックの瞳が大きく見開かれた。


♢♢


────話の真相はこうだった。

エリザベスと呼ばれていた女は100年以上生きている黒魔女だった。

世の中の隙間から忍びより、狙った相手を外堀を埋めて逃げられないようにして仕留める。


今回はエリックが標的だった。


金色の髪と目を持つ美しい少年エリックが狙いだった。

正確には、黒魔女の若返りのためエリックの心臓が欲しかったのだ。

エリックの父は病床にてそれを知り、学生時代の友人。スカノア大帝国の王に助けを求めたのだった。

だが、相手は黒魔女だ。一筋縄ではいかなかったのだ。


エリックの父は遺言状で結婚という形で大帝国に介入してもらうことにした。

エリックもエリザベスに操られているとはいえ父の遺言を無視する事はできなかった。

無視することができないように遺言状の開示は工夫されていた。

遺言状は父王が死ぬまでは決して見ることができない特殊な魔方陣で守られていた。最後の力で父王が魔方陣を作りそこに遺言状を隠したのだ。

黒魔女には決して見られないように……。


暫くの間、エリックは呆然としていたが、シルビアが白く柔らかな手で背中を優しく撫でると、エリックは我にかえったかのように、天井を見上げ涙を流した。


シルビアは、そんなエリックの背中を優しく撫で続けたのであった。


エリックの父とシルビアの父は学生時代からの友人である。卒業してからも王に即位してからも結婚してからも子供がお互い産まれてからも定期的に会っていた。

故に子どもたちも何度も会っていたのだ。

銀色の髪の毛。フサフサの睫毛に紫色の綺麗な瞳。

非常に強い魔力を持つ美しい人。

黒魔女に操られていたとはいえ、そんなシルビアをすっかり忘れてしまい酷いことをしてしまったのだ。


「本当に酷い事をしてしまった。シルビア済まない。」

真っ直ぐにシルビアを見つめ、深々と頭を下げた。

「顔をおあげ下さい。」

優しげな声だ……。

エリックは顔を上げた。

「無事で良かったです。」エリックの手をそっと取る。

シルビアの手は温かかった。


久しぶりにエリックは人の温もりを感じた気がした。

…………こんな美しい人に汚い言葉を投げ掛け、唾までかけてしまったのだ。

…………罪悪感が押し寄せる。

エリックは下を向いた。


シルビアは重ねていた手でエリックの手を包み込んだ。


「一つだけ訂正したいことは、私はでか女ではありません。」

エリックに唾を吐かれたことよりも、塔に閉じ込められそうになったことよりも、気になっていたことだった。


「!!」

エリックは驚いて顔を上げ、首を横に振った。


「勿論だよ!むしろ僕の身長が低いだけさ。」

「フフッエリック様も低くありません。前にお会いした時より、私達の身長差は縮まってますよね。」

小さな頃、エリックの背は低く女の子のように可愛らしかった。対してシルビアはボーイッシュですらりと背も高かった。

シルビアは徐々に花開くように、美しく女性らしくなっていったのだ。

「シルビアは美しいよ。出会ったときから、ずっと……。」

シルビアはにこりと微笑んだ。その微笑みはとても可憐であった。


黒魔女に呪いをかけられ操られていたとしても、酷いことを言い、塔に閉じ込めようとした事には変わりないのだ。

エリックは、金色の瞳でシルビアを真っ直ぐに見つめた。

心の奥に閉じ込められていたシルビアに対する思いも溢れてきた。

「ごめんね。この償いは必ずするよ。シルビアが帝国に戻っても……必ず。」

この綺麗なライラック色の瞳の少女に、幼き頃から惹かれていた。…………大事な気持ちだったのに…………呪われ操られていたせいか忘れてしまっていたようだ。

今後は、絶対シルビアを傷つけることはしない。

今日の出来事は忘れない。

そして、自分がしてしまったことの償い……そして、黒魔女から助けてくれた事への恩……。

エリックは決意のこもった目でシルビアを見つめた。


シルビアは柔らかく、温かな手をそっとエリックに重ねた。そして、首を横に振った。

「帝国には戻りません。」


「エリック様がお嫌でなければ、これから先の生涯は、エリック様のお側にいさせて下さい。」

シルビアに見つめられる。

エリックの金色の瞳は揺らぎ少しの沈黙があった…………が、大きく頷き、「ありがとうシルビア。」


シルビアはエリックにキスをした。

「汚いものの、上書きです。」


エリックはシルビアを抱きしめ、先程よりも長く深いキスをしたのであった。


────その後のロピア王国は立派な王と王妃により、益々発展しより豊かな国へとなったのであった。


                



…………因みにエリックの心臓を手に入れる事の出来なかった黒魔女エリザベスは、程無くして体が砂のようになり消えてしまったのであった。


                おしまい






お読みいただきありがとうございます!

初めてざまあ系の短編を執筆いたしました。

お楽しみいただけましたでしょうか?

短編なので詳しい物語の背景は敢えて割愛しました。

私の持つ変態性を滑り込ませようとしましたが…………。難しかったです。 

少しでも気に入られましたら、評価、レビュー、ブックマーク感想などしていただきますと……!


喜びます!

ありがとうございました!

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