僕から見た彼女の幼少期
人が亡くなった描写が出ます。苦手な方はご注意ください。
僕も先程語っていた俺と同じく物心が着いた時から彼女の中にいました。僕達は三人で一つ。記憶も知識も全て共有しています。違う点は感情の出し方だけです。
さて、彼女が物心が着いた時の遊び相手は母親が幼い頃拾ってきたおばあちゃん猫か、幽霊でした。大人になった彼女にはもう幽霊なんて視ることができませんが、7歳までは神の子と言われているように彼女は7歳まで幽霊が見えていたと周りの人が話していました。
彼女の母親は彼女を育てるお金を貯える為に朝から晩までずっと働いていました。そのせいか、休みの日に彼女が遊んでとねだっても疲れてるから無理と言われ、彼女は母親と遊んだ記憶はありません。
昼間は外で猫と家の裏にある川までいき、靴を脱ぎ、足だけを水に浸け遊んでいました。
本来なら幼い子供一人で川なんて行っては行けませんが、周りの大人達はそれを止めることもせず、ただ、猫だけが彼女が危ない目にあわないかと見守っていました。
猫は車庫と倉が繋がっている建物内で飼われており、彼女はその猫の事がとっても大好きで、家の外に出るとすぐ、その猫の元へ行ってました。当時、倉で曾祖父が何かのお店を開いており、その店の中で猫と遊んでいたりもしました。
そして夜になるとお風呂場で祖母とお風呂に入り、その時に幽霊と遊んでいたと周囲から聞きました。
何でもその幽霊は彼女が東京に連れて行かれた時の帰り道にあった大きな川から連れてきた幽霊で彼女よりは少し歳上の女の子の幽霊だったそうです。彼女が7歳を過ぎるとその幽霊の話をしなくなったからその幽霊は成仏してると言われましたが、僕はそうは思いませんでした。幽霊の話をしなくなったのは彼女が幽霊を視ることが出来なくなり、記憶も無くなっていたから話すことはないだけで、今でもたまに彼女の具合が悪い時に彼女を心配する小さな女の子の声がするのです。
そして眠る時間になると彼女は寝つくまでベッドの上で祖母に色んな話を聞かせてもらっていました。こうして、母親の顔を見ることもなく、眠りにつき彼女の一日は終わるそれが日常でした。
そんな日常が壊れたのは彼女が五歳の時でした。彼女の曾祖父が肺がんで倒れたのです。彼女は度々曾祖父の元へ行っては彼女と話そうとして、酸素マスクを取ろうとする曾祖父の姿を見て時間が経過したら家に帰る、そんな日々を送り一年も経たない内に曾祖父は亡くなりました。
彼女は死と言うものが分からず、葬式中に当時、彼女の母親と付き合っていた彼氏にあそこの棺桶に曾祖父がいるんだよと言われても、骨を見ても理解が出来ませんでした。
その次の日からでしょうか?彼女は曾祖父の幽霊を視ることがあったそうです。
本来なら嘘だと思われる話しかもしれませんが、彼女が産まれた時は曾祖父はもう階段を登れなくなるくらい元気がなかったのですが、まだ元気だった曾祖父がよくいた部屋の電気やドアを閉めようとすると新聞を読んでいるから電気を消しちゃ駄目!ドア閉めないで!とお願いしていたこともあり、周りの大人達は彼女は幽霊が視えるということを信じていたそうです。
これが彼女がまだ小学生になる前までのお話です。
次のページも文章が長いです…