第85話 三期生オフコラボ配信④-ギリースーツの草収納問題-
『引きこもりVTuberは伝えたい』第二巻
2024/7/17
電撃の新文芸様から発売です。
現在KADOKAWAのサイトが落ちていて、公式サイトを案内することができません。
そのためアマゾンのサイトを記載させていただきます。
https://www.amazon.co.jp/%E5%BC%95%E3%81%8D%E3%81%93%E3%82%82%E3%82%8AVTuber%E3%81%AF%E4%BC%9D%E3%81%88%E3%81%9F%E3%81%842-%E9%9B%BB%E6%92%83%E3%81%AE%E6%96%B0%E6%96%87%E8%8A%B8-%E3%82%81%E3%81%90%E3%81%99%E3%82%8A/dp/4049158108
なにかのバグみたいに長くなっていますが、URLに日本語が含まれていたためこうなっています。
ISBN-10:4049158108
が『引きこもりVTuberは伝えたい』第2巻のコードなので正規のサイトです。ご安心ください。
内容としてはWeb版第2章を大幅加筆修正して、新規書き下ろしの話もあり、感動成分も多めになっています。
第二章も完全版と受け取ってもらえれば幸いです。
トラブルを避けるための早いランチタイム。
真宵アリスから渡されたカルツォーネを見て、七海ミサキは上機嫌でバーベキューの準備に向かった。
その間に他の面々はギリースーツの草を収納して、バーベキューの場に移動する予定なのだが。
真宵アリス:「軸の部分さえ上手く曲げて重ねたりしなければ収納できる。葉の部分はファスナーに引っかかることさえ気を付ければいい」
桜色セツナ:「なるほど。そうすれば綺麗に収納できるんですね」
リズベット:「……果たしてその知識が役立つ日がくるのかしら」
真宵アリス:「これで収納完了。裏返せばいつもの黒猫パーカー」
桜色セツナ:「メイド服姿も素晴らしいですが目立ちますからね。ギリースーツの草の収納にお役立ちできず申し訳ありません」
真宵アリス:「ううん。ギリースーツの草の収納は初見だと難しいのに頼んだ私が悪い」
桜色セツナ:「そんな! ギリースーツの草も収納できない私が悪いんです」
真宵アリス:「……それほどまでにセツにゃんが責任を感じてしまっているならば、別の任務を与えます」
桜色セツナ:「ぜひお願いします!」
真宵アリス:「んしょ。この四枚の板を四神の方角に設置してバーベキュー会場に結界を構築してほしい。そうしないと私はこのテントの外に出ることができない」
桜色セツナ:「これは! ……ゴクリ。責任重大ですね」
真宵アリス:「託したよセツにゃん」
桜色セツナ:「お任せください! 必ずやり遂げてみせます! では先に行きますね」
リズベット:「……どうしてこの娘達はギリースーツの草の収納や吊るし型の虫よけ設置でこんな盛り上がれるのかしら。今日のオフコラボに台本あったっけ?」
真宵アリス:「えっ! 今日の台本あったんですか? 私はもらってません」
リズベット:「ないわよね。あたしももらってないもの」
:ふむふむそう収納するのか
:割と雑でも要点さえ押さえればいんだな
:またこの世界に無駄な知識が誕生してしまった
:連呼されるギリースーツの草
:四神結界?
:って虫よけかい!
:人生は台本なきコント
:この二人って永遠に話していられるタイプだよな
:しっかり者なのに天然なアリスと全力で乗っかるセツにゃんの絶妙なバランス
:ツッコミが行方不明すぎるだろ
:リズ姉必須だな
桜色セツナ:「設置完了しました!」
真宵アリス:「早い!?」
桜色セツナ:「元々施設側の設備として吊るしていたのがあったので。一応四方の空いている部分を補強する形で追加してきました。余ったのは途中の通路に設置してます」
真宵アリス:「道中も安全だね。ありがとうセツにゃん。じゃあ行こうか。リズ姉も」
リズベット:「四神も結界も割と適当でいいのね。はぁ……行きましょうか」
真宵アリス:「テント外。この一歩は小さな一歩でも引きこもりには大きな一歩である」
桜色セツナ:「名言ですね」
リズベット:「場合によって本当に名言だから反応に困るわね。そう言えばセツナちゃん。ミサキさんは?」
桜色セツナ:「炭火の準備してました。丸い筒状の成型炭を敷いて。あと用意してもらった炭が少し大振りだったので小型の鉈のような刃物で砕いてましたね」
リズベット:「頼もしい。火の準備はミサキさんに任せておけば大丈夫そうね」
:グランピング場や有料のバーベキュー場だとたまに吊るしてあるな
:結界が割と適当だった件
:引きこもりには大きな一歩
:アリスは最近外に出ているよな
:たぶん「虫」嫌いとは言いたくなかっただけ
:ミサキチ頼もしい
:施設で用意された炭が不揃いなうえに大きくて使いにくいあるある
:さすがアウトドアのプロ
真宵アリス:「あっ! もう焼き始めてる」
七海ミサキ:「ついさっき施設の人がバーベキューセットを届けに来てくれてね。ここの野菜は丸ごと焼くタイプみたいだから。時間かかりそうだし、先に焼いていたの。お肉などはこっちの強火エリアね。カルツォーネはやっぱり強火で一気に焼くの?」
真宵アリス:「ピザなら窯に入れて一気に焼き上げますね。でもこのカルツォーネは家で一度火を通しています。アルミホイルに包んで弱火で中までじっくり温めて。最後にアルミホイルを剥がして軽く両面焼きをすれば焼き色がついて美味しく仕上がると思いますよ」
七海ミサキ:「やっぱりピザを焼く手間を考えれば楽だね」
真宵アリス:「ピザと違って生地の焼き具合と具材の火の通り方を調整しなくてもいいですから。サイズも小さくそんなに時間はかかりません。でも表面にオリーブオイルは塗って焼いた方が美味しいかも」
七海ミサキ:「了解。焼き方が雑でいいのはポイント高いね。やっぱり雑にできるのが一番いい。じゃあオリーブオイル塗って野菜の横に置いておくね。お肉や海鮮も焼き始めようか」
真宵アリス:「家でもレンチンして温めてオーブンやフライパンで表面をカリっとさせるぐらいですし雑ですよ。私は野菜とカルツォーネの焼き加減見てますね」
リズベット:「意外ね。ミサキさんはもっとキチッとしたのが好きだと思ってた。炭の敷き方だってこだわりあるんでしょ? はい飲み物と紙コップ。それに取皿とお箸ね」
七海ミサキ:「右は成型炭を多く敷き詰めた強火エリア。中央は少数の成型炭を中心に普通の炭を浅く敷いた弱火エリア。左は金網の下に炭がない保温退避エリアかな。今回はグループだから一応バーべキューの作法に則っている。でも普段は適当だよ。ソロでバーベキューなんてしないし、焚き火も燃え続けてくれればいいだけだから」
桜色セツナ:「ソロキャンプだとしないんですね。えーと……私の仕事がない」
七海ミサキ:「うちわで炭に風送ってくれる?」
桜色セツナ:「はい!」
:ミサキチの行動が早い
:イキイキしてる
:丸ごと野菜は美味いけど時間かかる
:強火だと黒焦げになるだけだしな
:アリス流カルツォーネはそう焼くのか
:雑でいいがポイント高いのは糞わかる
:こいつら段取りいいな
:そりゃあアウトドアのプロと家事のプロの駄メイドロボと配膳のプロの元呑み屋バイト店員だからな
:元呑み屋のバイト店員ワロタ
:バーベキューの炭ってそう置くのか
:悲報セツにゃん取り残される
:仕事あってよかった
七海ミサキ:「焼けるの待っている間に乾杯の挨拶でもするの? 『この度は』みたいな」
リズベット:「『三期生全員でのオフコラボにお集まりいただきありがとうございます』的な?」
真宵アリス:「『この開催まで幾多の困難に見舞われました。襲いかかる無垢なる幼き群れ。解き放たれる怪物。時には道を誤り、雷に打たれることもございました』と続いて」
桜色セツナ:「『それでも今こうして笑顔で集まれる今日このときに感謝して』せーの」
全員:『乾杯!』
リズベット:「ゴクゴク……って乾杯の音頭がこんなリレー方式いいの!?」
真宵アリス:「ん? リズ姉から振られたモノだとばかり」
桜色セツナ:「アリスさんが乗っかっていたのでつい」
七海ミサキ:「あまりに乾杯の流れがスムーズだったから」
リズベット:「……振ったつもりはなかった。別にいいけどね」
:乾杯だな
:俺も準備するか……って!?
:アリスw
:信じられないかもしれないが全て今日の午前中の出来事の羅列
:セツにゃんが締めた
:……こちらが準備する時間さえ与えない奇襲のようなリレー乾杯音頭
:マジで流れるように乾杯が終わった
:これで台本ないのか
:三期生の連携による速攻すげー
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