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【第2巻発売中】引きこもりVTuberは伝えたい  作者: めぐすり
第二章 ーIt takes all the running you can doー 迷走コラボレーション
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第46話 三期生集合公式生配信⑦ー真宵アリスのネコミミ参戦ー

本日は第二章完結のため二話連続更新。

一話目。

 ネコミミ襲来まで残り一分。


七海ミサキ:「まともにやってアリスちゃんの守りを突破できない。だから追われる者の心理を利用したんです」


白詰ミワ:「追われる者の心理?」


七海ミサキ:「私は陸上部だったのでわかるんです。人間は後ろから追い駆けられると、余計なことを考えないんですよね」


竜胆スズカ:「わかる。追い駆けられたら、とにかく必死で走るよね」


七海ミサキ:「こっちが走っている途中から追われたら、そうでもないんです。でも同じタイミングで走り始めたら、競争している気になって走りで勝ちたくなるんです」


胡蝶ユイ:「あっ! だからセツナちゃんはあのタイミングで走り出したんだ」


七海ミサキ:「はい。追ってくるのは年下の同期生セツナちゃん。走りで負ける。このままではタッチされるとわかっている。でも避けたり、防いだりするのは追われる者の立場だとできないんですよね。競争で負けたのに見苦しく抵抗するの? と考えてしまいます。だから最後はアリスちゃんもセツナちゃんの手を避けなかった」


竜胆スズカ:「ほへぇー。あのデッドヒートにそんな高度な心理戦が」


胡蝶ユイ:「……実況席で解説を名乗っていたのに全然わからなかった」


白詰ミワ:「一期生の二人が始めた謎の競技に無双するアリスちゃん。それに作戦勝ちを決めるミサキさんとセツナちゃん。……わけがわからないけど三期生凄いわね」


リズベット:「同じ三期生なのに運動音痴でごめんなさい」


:ぽかーん

:純粋な短距離走の勝負に持ち込んだわけか

:高度な駆け引きでアリスが破れたのはわかった

:まともにやったら勝てないと断言されるアリスがヤバい

:三期生の参謀七海ミサキ

:最終的にセツにゃんしか勝たん

:ドジっ子リズ姉……アリだな


竜胆スズカ:「あっ! ちょうど今連絡が来たよ。アリスちゃんの誤解が解けてこれからスタジオ入りみたい!」


白詰ミワ:「ついに本日大活躍の三期生真宵アリスちゃんと桜色セツナちゃんの登場です。これで告知通り一期生三期生全員集合オフコラボのたっせ……い……え? アリスちゃん!? その姿は一体!?」


花薄雪レナ:「おぉぉっっーーーーー! 我が妹! 黒猫メイドロボ伝説がついに黒猫のベールを脱いで白ネコミミメイドロボ伝説に!」


 真宵アリスの登場に備えて公式生配信の映像が切り替わる。

 先ほどまで六分割された窓でスタジオ入りしている六人を映し出していた。今は誰もいない真っ白でバーチャルな天井が流れている。カメラが上を向いている演出だ。

 映像の下から見切れているのはモフモフフサフサした白い二つの突起。ネコミミだ。


真宵アリス:「えーとカメラをゆっくりと下に向けて、と。セツにゃんこれでいい?」


桜色セツナ:「はいバッチリです。画面一杯にアリスさんの可愛さが広がっていて私は幸せです。『羞恥』『反省』『やけっぱち』とネコミミ感情センサーによるステータス表示も完璧ですね! ちなみにもう公式生配信の映像が切り替わっていてアリスさんがチャンネル独占してます」


真宵アリス:「え……嘘だよね? 打ち合わせと違う! スタッフさんにはまずカメラのセッティングして準備してくださいって言われたよ?」


桜色セツナ:「……アリスさん。公式配信の映像スタッフさんですよ? すごくいい笑顔で映像の切り替え操作して、今もサムズアップしています。それよりもアリスさんは私ではなく前を向いてください。ずっと配信で流れてます」


真宵アリス:「にゃ!?」


 公式生配信の映像にアップで映し出されたのは真宵アリスのアバターの顔だった。

 ピコピコ動く妙にリアルなネコミミ。その横に数値を表す横バーと感情解析結果と表示されている『羞恥』『反省』『驚愕』の文字。『やけっぱち』は『驚愕』に塗り替えられたようだ。


:ふぁーーー! かわええ

:これはガチ恋距離

:意図していない感じがマジいい

:おめめ大きい

:あわあわあわあわ(語彙力喪失)

:登場するだけでいきなり全部持って行った

:ネコミミアリス

:謎の感情解析システムいいな


真宵アリス:「み、皆様本日は大変お日柄もよく失礼しかまつりました。盛大な遅刻をしてしまい誠に申し訳ございませぬ。再発防止を心に刻みーー」


桜色セツナ:「アリスさん。ニャですニャ。固いです! 猫語が重要です! 鹿を祀っている場合じゃありません。猫で祭るのです。できるだけ柔らかく萌え萌えな感じでやり直してください。全国のリスナーさんが待ってます。配信に遅刻したこと。ドッキリと勘違いして暴走してしまったこと。今日迷惑かけてしまったことを謝罪したいんですよね」


真宵アリス:「にゃ、にゃるほど! 鹿ではなく猫。柔らかく萌え萌えに。よし! 『みにゃさん。ごめんにゃさいなのニャ。遅刻したのにドッキリだと勘違いして暴走してしまったニャ。反省しているニャ』……これでいい? ってセツにゃん!? 身悶えしてどうしたの!?」


桜色セツナ:「だ……大丈夫ニャ。至近距離で可愛さと尊さの過剰攻撃に晒されて致命傷を負っただけニャ。致命傷で済んで御の字ニャ」


真宵アリス:「致命傷はもう駄目なのニャ!」


:…………

:……………………

:………………………………ふぅ生き残った奴いるか?

:…………ああ三途の川に行列ができていて渡れなかった

:…………俺も昇天する途中で渋滞に巻き込まれて引き返してきた

:……萌えの飽和攻撃か

:糞! 尊さの暴力かよ! ありがとうございます!

:メディック! メディーーーック! 録音に成功したメディックはいるか! このあと大量の依存症患者が出現すると思う! 残念ながら救うすべはない。至急録音した音声を拡散するんだ! じゃないと大惨事になる!

:拡散したら犠牲者がもっと増えるだろ! 拡散お願いします!

お読みいただきありがとうございます。

締めの二話目は昼頃に投稿します。

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[一言] セツにゃんの欲望まみれの要求がリスナーの需要を満たしているので誰も止められない
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