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【第2巻発売中】引きこもりVTuberは伝えたい  作者: めぐすり
第六章ーThis is my life, This is my story.ー
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【閑話】聖アリスさんデー記念配信(おまけの呑み)

バレンタインデー閑話も終話

 虹色ボイス全員集合のディナー回も無事(?)に終わった。

 手作り以外にも各人が持ち寄ったチョコレートも並べられて、和気あいあいとしたバレンタイン配信……にはならなかった。


 雲行きが怪しくなったのは本日二回目のゲーム大会が始まってから。

 友情破壊の鉄道ゲームなどはしていない。

 近年、格闘ゲームの有名シリーズの新作が続々と発売されているのはご存知だろうか。

 今の時代にあわせたシステムに進化し、にわかに熱くなっている格闘ゲーム大会。

 そこで惨劇の真宵アリス劇場が繰り広げられてしまった。

 経験者でそれなりに自信のあった翠仙キツネと花薄雪レナをノーダメで粉砕し、連勝を重ねる姿はまさに圧巻の一言。


『素人の大会に一人だけガチのランカーを入れたらダメだろ』


 とさえコメントに書かれるほどの圧倒的な強さという新たな一面を見せて、未成年組は退出した。

 そして大人だけの呑み配信になだれ込んだ。


翠仙キツネ:「…………」


花薄雪レナ:「……………………」


白詰ミワ:「これ、どうするのよ」


竜胆スズカ:「勝負の世界は無情」


胡蝶ユイ:「敗者にかける言葉はない」


黄楓ヴァニラ:「そういう意味だと私達全員敗者だけどね。初心者だから最初から戦わなかっただけで」


碧衣リン:「二人共始まる前は互いをライバルだと思って煽りあっていたのに、ノーマークだったアリスちゃんにまさかの煽りなしの魅せプで完封負けだもんね」


翠仙キツネ:「うぐっ」


花薄雪レナ:「グサッ」


七海ミサキ:「り、リン先輩。もう少し言葉を選んで」


碧衣リン:「ん?」


胡蝶ユイ:「ははは……リアルファイトならともかく、いやリアルファイトで一番強いのもおかしいんだけど、どうしてアリスちゃんあんなに強いの?」


竜胆スズカ:「そうそう。本当にそれ。世代的にも未成年組が一番格闘ゲームと縁遠いでしょ。ステージから落とすやつでも強かったし」


リズ姉:「それですけど、実はアリスちゃんはよくマネージャーさんのスパーリングの相手をしているらしいです。色々なランカーのスタイルを真似ながら。で、アリスちゃんのマネージャーさんは格闘ゲームのセミプロレベルで強いらしくて。アリスちゃん本人はランクマッチとかやらないので、自分がどれくらい強いのかもわかってないみたいですけど」


翠仙キツネ:「……セミプロって格闘ゲームは魔窟やん。やりこむ時間がなくてプロゲーマーとして大会には出てないけど、トッププロにも勝つことがある腕前の人が名乗る称号やで」


花薄雪レナ:「他にもプレイ時間が減った元トップランカーとか」


花薄雪レナ・翠仙キツネ:「……勝てるわけない」


:空気がお通夜

:手も足も出てなかったな

:次の行動が全て読まれていたというか……ああいうの後の先っていうんだっけ?

:今宵また新たな真宵アリス最強説が生まれてしまった

:草

:いや……ゲーム配信とかよく見るけど誇張抜きにトップランカーレベルだろ

:まさかのマネージャーwww

:格ゲーでセミだろうがプロ名乗るやつは大体やばい

:リズ姉の言い方だとアリスよりもマネージャーのほうが強い?

:マネージャー最強説w


紅カレン:「二人とも。ここからは大人の時間。これでも呑んでつらい記憶を忘れよ」


翠仙キツネ:「カレン……お前」


花薄雪レナ:「これはチョコレートのお酒?」


翠仙キツネ:「まさかついにカクテルにまで手を出したんか! あんなに『缶チューハイならともかく混ぜものはちょっと』とか言っていたのに!?」


紅カレン:「うん……瓶詰めされたお酒はそれだけで至高の完成品。色々なものを混ぜるのは邪道と思っていたんだけどね。最近考え方を変えてね。カクテルはお菓子作りと一緒。カクテルには名前がついていて、ちゃんとレシピに従い、分量を計って作る。そうして古強者の酒豪たちが好んだ味を再現するのがカクテルだと考え直した」


黄楓ヴァニラ:「バレンタイン特製のチョコレートリカーです。材料は生クリーム、ビターとホワイトのチョコレート、そこに砂糖とエスプレッソで味を調整して最後にブランデーを加える。ドイツで流行ったカクテルらしいです」


花薄雪レナ:「トロッとして甘くて……苦い。好きかも」


翠仙キツネ:「チョコレートの味が濃いなこれ。でも苦みもあって呑みやすいわ」


竜胆スズカ:「いいなそれ! 私も一杯くれる?」


胡蝶ユイ:「でも作るの大変じゃない? なんか複雑そうだし」


黄楓ヴァニラ:「それがそうでもないんですよね。チョコレート作りのときの、ビターチョコとホワイトチョコレートと生クリームをあわせたガナッシュを流用しているので。はい全員の分を用意してますよ」


七海ミサキ:「用意周到ですね。卒がないというか」


黄楓ヴァニラ:「卒がないついでにもう一つ。このチョコレートリカーのおつまみに一期生をイメージしたパンダとシーサーのブラウニーを食べませんか? ドライフルーツ入りで、スパイスのきいたカレー粉入りとビターな味ですから甘いお酒にもあいますよ。同じチョコレートですから反発することもないですし」


白詰ミワ:「……まさかこのお酒のためにブラウニー用意していたの?」


リズ姉:「そういう打ち合わせはなかったですね。でもアリスちゃんは元々お酒と合わせやすいブラウニーとして用意していたみたいです。甘いチョコばかりでは飽きてしまうので」


紅カレン:「わかる。甘いチョコレートはお酒とあわせにくいからね。ビターチョコの欠片をつまんでウイスキーやブランデーと飲むのはあるけど。カレー粉みたいなスパイス入りのほうが、お酒との相性よさそう」


竜胆スズカ:「ははは……そこまでされたら今食べるしかないね。それじゃあパンダの方をいただきます。本当に後味がカレーだ。でも美味しいよこれ。ドライフルーツの甘味と酸味もあるし」


胡蝶ユイ:「うん。カレーの風味がそんなに辛い感じじゃないし、スパイスの香りで甘いチョコレートリカ―に誘われる」


花薄雪レナ:「ビターなシーサーも美味しいし、これは普通に度数の高いお酒とあうかも」


:カレン……ついにカクテルまで

:カクテルはお菓子作りと一緒

:古強者の酒豪たちが好んだ味を再現するのがカクテルか

:って結局作っているのはヴァニラかい!

:材料見てややこしいと思ったけど……なるほどガナッシュを流用か

:一期生用のブラウニーはお酒とあわせるためか

:スパイスの香りか

:レナ様は泡盛と一緒に食べていそうw


白詰ミワ:「はぁ……それにしてもまさかバレンタインデーを皆で騒ごうぐらいの企画だったのに、こんなふうにもてなされるとね。しっとりとしたカレー風味のブラウニー。これだけでも私は好きだけど、まさかお酒を一緒に呑めるなんて」


胡蝶ユイ:「今回一期生はゲームして食べただけだからね。配信の盛り上げとかも後輩達に全部お任せだし」


竜胆スズカ:「私達一期生ももっと頑張らないと! という気になったね」


碧衣リン:「二期生も頑張る」


翠仙キツネ:「やな。一期生にも三期生にも負けてられへん」


リズ姉:「それを言ったら私達も未成年組に負けないようにちゃんとお姉さんしないとね」


七海ミサキ:「だね。アリスちゃんもセツナちゃんも天才肌は天才肌なんだろうけど、それ以上にすごく努力家で色々と考えて活動しているし」


リズ姉:「わかる。配信では簡単そうに料理の紹介しているけど、ミサキさんは前から色々とアリスちゃんから相談を受けていたよね」


七海ミサキ:「うん」


竜胆スズカ:「えっ? なになに? 実はミサキチがアリスちゃんレベルで料理が得意とか?」


七海ミサキ:「まさか。私はレクチャー動画とかもやっているじゃないですか」


胡蝶ユイ:「うん。それでそれで」


七海ミサキ:「アリスちゃんって料理回だとそのノウハウを取り入れてレシピを考えているんですよね。誰にでもわかりやすく。材料は揃えやすいもので。再現性があって。でも興味を持ってもらうための意外性のあるワンポイントの工夫を忘れない。そのための相談を受けていたことがあって」


白詰ミワ:「そんなことも考えてやっていたの!?」


リズ姉:「セツナちゃんも配信でははしゃいでいるように見えて、本番前に段取りを入念に確認してから本番に臨みますからね。今日のチョコレート作りだって本番で失敗しないように、何日も前からアリスちゃんに弟子入していたり」


花薄雪レナ:「セツにゃんはある意味アリスちゃん以上になんでもできるイメージあったけど、何事にも真剣に取り組んでいるからなんだ」


:最近は二期生と三期生主導の企画も多いからな

:頑張らないとな

:料理に関してアリスがミサキチに相談?

:ほへぇ~

:料理回のためにレクチャー動画のノウハウを学ぶ

:色々と考えているんだな……未成年?

:セツにゃんも!?

:天才に見える人ほど普段から努力は欠かさないからな

:何事も事前の準備が大事と


明日の更新で『引きこもりVTuberは伝えたい』のWEB版更新も最後です。

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― 新着の感想 ―
チョコレート、食べたい(ストレートな欲望感想) お酒飲みたい(同上) こう、飯テロというか、旨味テロの破壊力が酷くて素敵です。 楽しいです、良い物語をありがとうございます。
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