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【第2巻発売中】引きこもりVTuberは伝えたい  作者: めぐすり
第六章ーThis is my life, This is my story.ー
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【閑話】聖アリスさんデー記念配信③

真宵アリス:「さて今回のバレンタイン企画。実はここからが本番です!」


黄楓ヴァニラ:「先ほど作った生チョコトリュフも事務所スタッフに配るためのもの。もちろん一切手抜きはありません。そちらも大事ですからね。けれど今年のバレンタインはそれだけじゃない! それじゃあ、せーの」


真宵アリス・黄楓ヴァニラ:「「バレンタインらしくお世話になっている一期生の先輩方に特別な手作りチョコレートを送ろう!」」


真宵アリス:「一期生の先輩方に日頃からお世話になっています」


黄楓ヴァニラ:「普通に感謝企画を立てても『別にそういうのはいいから』と一期生の先輩方が却下されてしまう」


真宵アリス:「そのため本日は一期生の先輩方に黙ってサプライズ企画とさせていただきました」


黄楓ヴァニラ:「今回のチョコ作りメンバーに一期生が含まれていないのもそのためです。他のメンバーは陽動ですね。一期生と一緒にゲーム企画の真っ最中。そちらの配信を見てくれている人もいるかな。実はそれ、一期生がこちらのチョコレート作りの手伝いやつまみ食いで来ないようにするための陽動企画です」


真宵アリス:「それでは早速一期生の先輩方のためのチョコレートを作っていきましょう」


:ここからが本番?

:サプライズか

:なにが起こるの

:……あかん

:今回まさかの感動系企画だった?

:一期生戦力外じゃなかったのか

:アッチも気づいたみたい

:二窓勢w

:一期生が見事に固まっているな


真宵アリス:「さてヴァニラ先輩は『モーレ・ポブラーノ』というメキシコ料理をご存知ですか?」


黄楓ヴァニラ:「残念だけど知らない。お菓子なら少しは詳しい自信はあるけど、メキシコ料理はさっぱりだから」


真宵アリス:「簡単に言うと煮込んだ鶏肉に特製のチョコレートソースをかけた料理です」


黄楓ヴァニラ:「なるほど。なんかそれだけ聞くとフランス料理とかにもありそう」


真宵アリス:「『モーレ』と呼ばれる特性チョコレートソースの作り方はダークチョコレート、トマトの水煮缶、にんにく、バター、チリペッパー、ゴマ、生姜、ナッツ、アーモンド、クルミ、ひよこ豆、チレ……メキシコ産の唐辛子のことです、その他にもオレガノ、クミン、シナモン、コリアンダー、カルダモン、ナツメグ、レ――」


黄楓ヴァニラ:「――アリスちゃんストップ! ちょっと待って、簡単そうに言ったチョコレートソースが複雑過ぎない!? トマトの水煮缶の時点で想定外というか、もしかして甘くない奴? 味も作り方も」


真宵アリス:「はい。甘みはありますけど、どちらかといえばチョコレートの苦みとコクを活かした料理です。しかもメキシコでお祝い事のときに振る舞われる祝祭料理。実はスパイスの組み合わせも地域によって異なる本格的なメキシコ料理です」


黄楓ヴァニラ:「そんな大変で本格的なものを今からこの場所で作るの?」


真宵アリス:「いえ作りません。今日はあくまで『モーレ』風。世界でチョコレートは料理の調味料、スパイスとして用いられることも多いという紹介です」


黄楓ヴァニラ:「そうなんだね。……世界は広い。そして、なぜそんな料理にまで手を出しているのアリスちゃん」


真宵アリス:「ん? レシピ本見ていたらあったので覚えてました」


黄楓ヴァニラ:「最近忘れかけていたけど、やっぱりアリスちゃんの記憶力って理不尽よね」


真宵アリス:「それよりもヴァニラ先輩。さっき私があげた『モーレ』の材料を聞いてピンと来ませんか?」


黄楓ヴァニラ:「さっきの材料? ごめん、わからない。覚えきれなかったし」


真宵アリス:「そうですか。私は思ったのです。これ少し前に流行ったトマトの水煮缶で作る無水スパイスカレーに似ている、と」


黄楓ヴァニラ:「あーっ! あったあった。どちらかといえば男の料理として流行ったよね。そっかチョコレート入りのスパイスカレーか」


真宵アリス:「そう考えるとイメージ湧きやすいですよね。欧風カレーでも隠し味にインスタントコーヒーやチョコレート入れます。様々な事例から導き出される答えとして、カレーとチョコレートはチョコレートをメインに作っても合う」


黄楓ヴァニラ:「確かに理屈のうえではそうね…そしてカレーといえばミワ先輩」


真宵アリス:「そんなわけで今日は複雑な工程をなくして市販のカレー粉頼み。カレー粉を混ぜたブラウニーを作ってみます。色々なスパイスを揃えるのは大変ですからね。市販のカレー粉は完成されたミックススパイス。色々と使えて便利ですよ」


黄楓ヴァニラ:「カレー粉入りのブラウニー……美味しいの?」


真宵アリス:「試食済みですけど、スパイスのおかげで食べやすくて美味しいですよ。でもカレー粉を入れないただのブラウニーも美味しいので、どっちが美味しいかは好みの問題かと」


黄楓ヴァニラ:「そういう変わり種系なんだ。チョコばかりでも飽きるし、味変にはいいかもね」


真宵アリス:「だから今日はカレー粉入りとカレー粉なしの二種類のブラウニーを焼こうかと思ってます」


:メキシコ料理か

:まさかアリス全部暗記しているのか!?

:そういや記憶力の怪物だったわ

:他の要素が強すぎてアレだけど理不尽な記憶力

:甘くないチョコレートソースか

:あっーー! 無水スパイスカレー!

:俺も作ってたわ

:一気にわかりやすくなったな

:カレーとチョコは確かに合う

:カレーといえばミワちゃんwww


黄楓ヴァニラ:「材料はチョコレート、無塩バター、卵、砂糖、インスタントコーヒー、リズ姉に切ってもらったドライフルーツ、薄力粉、そしてカレー粉を混ぜた薄力粉。……カレー粉以外は普通のブラウニーね」


真宵アリス:「はい。それを混ぜ合わせたら、この型にはめて一口大で焼きます」


黄楓ヴァニラ:「それはクマと……ライオン?」


真宵アリス:「クマとシーサーです。で、試食用に事前に焼き上げておいたカレー粉入りのクマ型ブラウニーがこちらです」


黄楓ヴァニラ:「見事にクマね。カレー粉入り……本当に美味しいのかな?」


真宵アリス:「最後の仕上げをするのでちょっと待ってください。こうやって湯煎したホワイトチョコレートをハケで塗って、完成!」


黄楓ヴァニラ:「おお! 可愛いパンダになった!」


真宵アリス:「シーサーはカレー粉入れずチョコ多めのビターな仕上がりに作ると、味にメリハリがあっていいと思います」


黄楓ヴァニラ:「まさに一期生のためのブラウニーの完成ね」


真宵アリス:「あとついでにローストビーフ用のモーレ風ショコラソースも作っておきますね」


黄楓ヴァニラ:「まだ作るの!?」


真宵アリス:「今日はバレンタインなのでチョコの甘さを活かした簡単なやつです。にんにくなどの薬味を入れません。フライパンで溶かしたバターにカレー粉を投入し、少し火を通して、スパイスの香りを蘇らせる。そこで火を止めて、焦がさないようにチョコレートを溶かして完成です」


黄楓ヴァニラ:「なんかサラッとオシャレなことをしてる。……そういえばメイン料理にローストビーフがあったわね」


:カレー味のブラウニーは食べたいような食べたくないような

:クマかと思ったらパンダか!

:パンダコンビw

:シーサーはレナ様か

:ローストビーフ用のショコラソース!?

:オシャレ

:チョコレートのソースにカレー粉か……なるほど

:ローストビーフの方は絶対に美味しい



お読みいただきありがとうございます。


毎日1話 朝7時頃更新です。

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