とあるVtuberの転生空騒ぎ
本作初投稿作品であり、本作はある配信者の二次創作に当たるものです。一応名前とかは変えてあります。
見直しはしていますが誤字脱字はもちろん文脈がおかしなところがあると思いますが面白おかしく読んでいただけたら幸いです。
~おそらく転生?1日目~
「(うぅ、もう朝かな?)」
そう言って、私はいつも寝てる時に癖で頭まで被ってしまう布団をどかそうと腕を動かす。
しかし布団は動かず、むしろ動かそうとした腕の感触すらなかった。
「(あれ?おかしいな?)」
そう言って私は再度布団を動かそうと腕を動かした。けれどいくらやっても動かしてるはずの腕の感触が無い。
さらにこの時になってあることに気づいた。
「(ちょっと待ってちょっと待って、なんで?なんで腕の感触が無いの?あれ?そう言えば目開けてるのになんで暗いの?え、どうして?)」
そう、私はさっきから目を開けてるはずなのに目の前がずっと真っ暗なので何も見えないのだった。
そうして、パニックに陥っていたがしばらくするとどうしようもない事態であるがために逆に落ち着いてきて事態の把握に努めることが出来た。
「(ふぅ~、ひとまず落ち着こう……まず私は昨日、配信が終わってからやることやってベットに入って寝た。うん、これは間違いない。いつもの事だから無意識でもできる事だからあってる)」
そう、私はしがない個人勢Vtuberの1人で“スいカ”という名前で活動しており、運営はマネージャーの“堆肥”ちゃんに協力してもらっているのだ。
「(次に、視界がどうやっても見えないと、これはもうどうしようもないから置いておくとして、次は腕ね。と言うかよくよく自分の今の状態体感だけで調べてみると、腕だけでなく足も感覚が無いね。
他に変わりはないから、トータルで見ると視界が無くて腕と足の感覚が無いっと………え?待って、さっきから声出してるつもりなのに声出てる気がしないんだけど、まさか口も無いの!?
………うん、いったん落ち着こう、今の私の状況に当てはまる事を考えよう……これはもしかして……異世界転生?もしくは普通に転生かな?)」
そうして、そんな私は考え、早々に結論を出して考えるのをやめた。
もともとそこまで考えるのが得意って言うほどではなかったから、これは正常運転。
よくリスナーに「今の漢字読めないの!」とか「さっき教えた事もう忘れてるー
w」など言われており、マネージャーの堆肥ちゃんにももうちょい漢字読めるようになれと言われるほどだ。一応漢検は持ってるんだけど……
なので、結論から言うと、私は考えないで行動する人だと宣言できる!
まぁ、そんな私が考えられる限り考えた結果が転生(異世界か現実かは不明)と言う結果だった。
「(まさかまさか、これって転生!私の好きなタイプじゃないですか!やったー)」
そうして一人身動きできない状態で喜んでいた。もし体が動かせたならジャンプしながらその場で回りその後に謎の踊りをしてからの決めのポーズをしていたに違いない。
うん、傍から見たら絶対に恥ずかしい奴だ。誰にも見せられない奴だ。
間違ってもマネージャーの堆肥ちゃんには見せられない。
なんせ、鬼畜企画を毎回やる人だ、踊りを見られようものなら絶対にショートに上げましょうとか言われて、無理にでも撮られるはず。いや絶対に撮られるし、上げられる!
なのでこの誰にも見られず、なおかつ動けなかったことに感謝して、さらに謎の感謝をあったこともない神にささげた。
そうしてしばらくしてさらに自分がどうなっているのかを考えた。
「(こうして動けないで何も見えないって事はおそらく、胎児って事かな。だとしたらこれから誕生するって事だから、異世界なら無双したいし、現実なら今度こそ勉強頑張って頭のいい子になりたいな)」
そうして、動けないのでやる事が無く何もしないまま眠りにつき一日が過ぎていった。
~おそらく転生?二日目~
「(はっ、あまりにもやる事なくって考えてたら寝てた。てか胎児でも寝ることできるのね。むしろそれしかできないのか)」
そう、私は考えていたらいつの間にか寝ていたらしい。
なんとも私らしいとしか言えない。
そうして寝るまで考えてる中で最後に思ったことはリスナーの事とマネージャーの堆肥ちゃんの事だった。
まずはリスナー、こんな個人勢の登録者も千人ちょっとのVtuberにもちゃんとリスナーがいる。それも毎回配信に来てくれる人たちだ。
そして、私の配信に来てくれるリスナーはみんな良い人で、配信しているゲームで参加型でいつもやっていると参加が途切れる事が無くみんなで楽しく遊んでいる。
そして、私に配信中でいろんなことを教えてくれる。
特に昔のアニメやゲームの事などのサブカルチャーはみんなよく知っていて、誰かが話題に出すとそれ知ってると言って大きな話題になり、知ってる人が私や知らない人にわかりやすく説明してその説明に誰かが補足したりしていつも賑やかで、ゲームで楽しみ会話で楽しみと配信中はいつも二重の楽しみがあって私は配信をいつも楽しみにしていた。
そんな配信を昨日か何日たったかは分かんないけど、そんな楽しみの配信を何のお知らせもなくぶっちしてしまったことが心苦しいところだった。
そして、マネージャーの堆肥ちゃん。
いつも私は“ヒーちゃん”と呼んでいた。何故かリスナーに大人気でリスナーからは“堆肥様”と言われて崇められる存在でちょっと嫉妬しているのはリスナーのみんなが知っていることだ。
だからと言って、ヒーちゃんの事が嫌いかと言うとそんなことは無くむしろいつも頼りになる大切な人だ。なにせ、いろんな企画を毎回考えてくれたり、何かあるとすぐ駆けつけてくれるすごい人だ。おそらく昨日か何日たったかわかんないけど配信もうまくやってくれてるに違いない。本当にヒーちゃんには感謝しかない。
けど、そんなヒーちゃんにももう会えなくなるという事が悲しい。
こんなことになるならもっと日ごろから感謝の言葉を言っておけばよかったな。
そんなことを言葉に出すことも出来ないので心の中で思っていると突然ガチャガチャ、ガチャン!と音が聞こえた。
「(え?なになに?何の音?なんか聞いたことあるような音だけどなになに?)」
そう私が動かすことも出来ず喋る事も出来ない身体であたふたしていると、聞きなれた声が聞こえてきた。
「まったく、あのお馬鹿さんはどこに行ったのかしら。電話しても出ないしSNSアプリ全部で連絡しても全部未読とか無いわー」
そう私に聞こえてきた声はマネージャーのヒーちゃんの声だった。
「(あっ、さっきのは玄関のかぎを開ける音か)」
とても聞きたいと思って居た人物の声に私は涙を流すことが出来ないけど心の中で泣いていた。すると我が家の短い廊下をすたすたすたと歩きガチャと部屋の扉を開ける音が聞こえた。
「寝込んでるかと思ってたけど、ベッドはもぬけの殻ね。ベッドの中も冷たいから今すぐいなくなったわけではないと。
まったくあの子はどこに行ったのかしら。ん?……あっ、携帯こんなとこにある。
携帯も持たずにどこ行ったのかしら。とりあえず、近場を探してみて今日一日探してみてそれでもだめならあの子の親御さんにもう一度連絡して探してみて、それで見つからないようなら警察に行って捜索願出してみるしかないか。動いてくれるといいけど。
はぁー、昨日の配信と朝の配信は急遽ボイスチェンジャー使って何とかしてみたけど、さすがに夜の配信は中止と言う旨の告知出しておくか……理由は…スいカの体調不良のためお休みってことにするか……先の二つの配信は枠をすでにとっていた為代理でやりましたが、貧乳スいカの体調不良のため本日の夜の配信は誠に勝手ながら中止とさせていただきます。楽しみにされていたリスナーの皆様には申し訳ございません。っとこれで告知に流して工作完了っと。
さて、あのお馬鹿を探しに行くか」
そう言ってるヒーちゃんの声を聞き私はある文言を除いて感謝した。ただ改めて言おう、「(私は貧乳じゃない!ちゃんとあるもん!むしろ貧乳はヒーちゃんじゃないか!まったくもう、そこはちゃんとしてほしいものだ)」……ってあいた!
私がひーちゃんに対して文句を言う事が出来ないから心の中で思って居ると何か衝撃を受けた。それも何度も。
まるで何かに蹴られて転がって行く物みたいに何度も。
「ん?なんでこんなところにピーマンが転がってるの?野菜なんだからちゃんとチルドに入れておかないと駄目じゃない。
にしても、さっき何か不快なこと言われてたような気がしたけどすぐにすっきりもしたな。なんだっただろう?」
その声が聞こえた時私は急な浮遊感を感じその後すぐにひんやりとしたところに入れられたのか、何故か涼しく感じた。そうして、バタンという音がした後かすかにヒーちゃんのすたすたすたと歩いて離れていく音が聞こえ、しばらくしてガチャガチャガチャと言う鍵を閉める音が聞こえた。
そうして、また何も見えず声も出せない状況になり、なおかつ誰かの声が聞こえると言う訳でもない状況になりあることに気づいた。
「(……あれ?そう言えばヒーちゃんが居るって事は異世界転生じゃないよね?そしてあの感じからしてここは私の住んでる部屋。
つまり、転生ではないって事だよね。……けど私は何かになってる。
たしかヒーちゃんはピーマンがどうとか言ってたけど……もしかして私、ピーマンになってるの!?うそうそうそうそうそ、そんな人でもなんでもなくピーマンってなんでどうして!
あっ、そう言えばこの前の配信の直前に買い物行ってピーマン買ってきたけど冷蔵庫に入れるの忘れてた!え?けどそれだけでまさかピーマンになったの!
やだやだやだやだ、なんでこうなったのぉーーーーーー)」
私は誰にも聞こえるはずの無い声を上げて絶叫し、その後もしばらくなぜこうなったか考えていたけど気づいたら寝ていた。
~転生未遂3日目~
目覚めた私は相変わらず暗くひんやりした冷蔵庫のチルド室に居た。
いや、動くことできないから抜け出すことできないんだけど。
「(はぁ~、そう言えばヒーちゃんの機能の言ってたことから推測すると今日で3日目かな。
どうやら配信の方はヒーちゃんがどうにかしてくれたみたいだけどこれからどうなるんだろう。また配信してみんなと笑いながらゲームしたいなぁ~)」
動くことも出来ないためそんなことを考えているとかすかに玄関の方から昨日と同じ音が聞こえてきた。
しばらくして、誰かが廊下を歩く音が聞こえそうして声が聞こえた。
「やっぱり居ないか。
部屋の様子も変わりないし、ポストに入れておいた手紙もそのままだったしどこに行ったんだか」
そう言うヒーちゃんの声はどこか悲しげでありそれを聞いていて私はとても心が苦しくなった。
「(ごめんねヒーちゃん、なぜか私は今ピーマンになってヒーちゃんによってチルド室に入れられてます)」
声が出せない状況で当然ながらヒーちゃんには聞こえていないだろうけど、謝らずにいられず自然と私は謝罪の言葉を口にしていた。
「にしても汚い部屋ね。少し掃除してから親御さんに連絡とって今日も捜索しますか」
その言葉が聞こえた後、ガサゴソバサバサウィーンと言う掃除をしているであろう音がしばらく響き渡り合間にヒーちゃんは何かブツブツ言っていたが聞こえなかった、その後玄関の方から鍵が閉まる音が聞こえた。
「(わぁー、ヒーちゃんわざわざ掃除してくれたんだ。本当にありがとう。
はぁー、どうにかして人に戻れないかな?いるかどうかわかんないけど居るならどうか戻してください。神様お願いします)」
何もできる事が無く私はただ元に戻してくださいと居るかもわからない神様に祈って一日を過ごした。
そうして意識が薄れていく時幻聴を聞いた。
「うん、いーよー元の体に戻してあげる―ってか、まさか異世界に転移させるつもりがミスってまさかピーマンになってるなんて思いもしなかったよ(爆笑)
道理でいくら転移先探しても見つからないわけだし、いやー、参った参った。
それによくよく見たら勇者適正低いし、他に適正高い人見つかったからこれで元に戻して何もなかったことにしないと他の連中になんて言われるやら。
そんなわけで、ほいっとはいこれで元通り。時間に関してはいじるといろいろ不都合起きるから勘弁してね。
と、そんなこんなでやってたら勇者候補が来たみたいだから、がんばってねー「ウホッ、なんか知らんがいい男がいるじゃないか」…え?「ぜひとも、や・ら・な・い・か?♡」…は?いやちょま、僕神なんだけど、なんで、あっ、ま」
うん、なんか聞こえたし途切れるように何か聞こえなくなったけど知らない。意識覚醒しそうだけど私は関係ない、私は寝る!
そう意気込んで私は寝た。
~転生未遂4日目~
う~ん、なんかまぶしい。もう朝?
まだ頭が覚醒しきっていないが妙にまぶしく感じ、そして妙に寒く感じ目が徐々に覚めた、そうして違和感を感じた。
まず初めに寒いから布団をかぶりなおそうとして腕を動かすと昨日までなかった腕が動くのを感じた。次に昨日までまぶしいと感じる事が無かったのに今はまぶしく感じるので目を開けてみた。
そうして目に移った光景は見慣れた天井であり、次に動く腕だった。
それを見て私は飛び上がった。
「うそ、腕がある、目が見える…声が…声が出てる~」
今までできて当たり前だったことが出来なくなり、そうしてまた出来るようになったことに私は感動してしまい泣き出してしまった。
ひとしきり泣いた後は体がちゃんと動くか確かめる様に、その場で屈伸したり腕立てしたりジャンプしたりと一通りの動きをやり動くことを確かめた後はその場で踊りだした。
それはもう踊った。踊り方なんて知らない。ただ適当に踊った。腕を上げて片足になって飛んだりぐるぐるその場で回ったりとめちゃくちゃだけど嬉しさのあまり踊った。自分の今の格好など一切気にすることなく。
当然踊ったりしていると音が出る。一応防音されているので隣の部屋や下の部屋などには騒音が行くことは無いので(以前上の部屋に住んでたカップルが夜遅くに盛大なケンカをして警察が来ることになったらしいが下の部屋の私はそれに気づかず配信していた)気にしてないでいたが、その音のせいで玄関が開いたことに気づかなかった。
そうしてしばらく踊っていると突然声がかけられた。
「おいそこの変態お馬鹿、今すぐその変な踊りやめろ」
その声は女性が出すにしてはとても低く一瞬で正気に戻される声で、私はその声の主を見なくても理解した、いや理解できてしまった。
そして、踊りをやめてぎこちない動きで振り返るとそこには、部屋の入り口で腕を組みこちらをまるで見るに堪えない物を見ているかのような目で見ているマネージャーのヒーちゃんがいた。
ヒーちゃんの背後には居るはずもない般若が浮かんでるように見え、私は何を言われるもなくおとなしくヒーちゃんの前に行き正座した。
「おい、変態お馬鹿。今までどこに居たか素直に言いなさい。
何も隠さず素直に言わないとお仕置きが増えるからね」
そう言われて私は素直にこの3日間の事を説明した。
そうして、説明が終わるとヒーちゃんは近くにあった椅子に座り持っていた買い物袋の中から愛飲しているレモンドリンクを取り出し一口飲み静かにテーブルの上に置いた。
「で、そんな戯言誰か信じると思うの?
何も隠さず素直にいいなさ言っていったわよね?なんでそんな嘘ってわかりきるようなこと言うのかな?なにそんなに言えないようなことなの?」
丁寧口調の時のヒーちゃんは結構怒っている証拠であり、下手なこと言おうものなら火に油を注ぐどころか、火の回りにダイナマイトを大量においてそのうえでニトロを入れ込み大爆発するので抵抗することなく素直になるのが一番と言う事を私は知っている。
なので、この場は素直に謝り、実際にあった事だと言う事を説明するしかないのだった。
そうして、大爆発を回避しながら説明する事30分。なんとか怒りを鎮めてもらい辛うじて信じてもらえることが出来た。
「と言う訳でして、本当にさっき言った通りの事なんです。どうか信じてください」
「………まぁ、いいでしょう。この部屋に私しかいなかったはずなのに掃除したことやポストに入れた手紙がそのままだったのに手紙の事を知っていた事といい、しまいにはピーマンとかの出しっぱなしになっていたものをしまったことまで知っているなら一応信じましょう」
「ありがとうございます」
何とか信じてもらえたことに感謝し、お辞儀をした。
「まぁ、全裸で変な踊りをしていたから頭の病院に行かないといけないかと思ったけど、言動がいつも通りだし多分言っていたことが事実なんだろうと思うわ。
実際、リスナーの中には気を失って気づいたら三途の川らしき場所に居て、光に向かって必死に逃げたら気を取り戻したって人も居たし。
他にも結構いろんな心霊体験したって人達も居た。
それに世界的に見てもそんな怪事件とか結構あるみたいだからそんな経験あっても不思議じゃないわね」
「(え?リスナーの中にそんな体験してる人いたの?初耳なんだけど。マジで?ちょっと今度誰なのかさりげなく聞いてみようかな。てか、私今全裸なの?え?うわ。マジで全裸だ!恥ずかしいよ、何か着ないと)」
そう思って居たらふいに不吉な言葉が聞こえた。
「まぁ、こんだけ元気なら明日から配信しても大丈夫そうだし、お仕置き配信として例の企画もうやっちゃうか。多分リスナーのみんなも期待しているし、新しく来てくれてた人にもスいカがどんな人物か分かりやすいからいいわね」
「あのー、ヒーちゃん?そのお仕置き配信とは一体何でしょうか?そして、例の企画とは一体なんでございましょうか?」
私は、何をやらされるのか不安になり恐る恐る聞いてみた。
すると今まで見た事もないような笑みを浮かべながら口に人差し指を当てて一言。
「当日までの内緒♡」
そう言って、ヒーちゃんは残っていたレモンドリンクを飲み干してから椅子から立ち上がり、早々と帰り支度をはじめ「帰るね」と言い玄関に向かった。
その途中で思い出したかのように振り返り、私に向かって優しく言葉をかけてくれた。
「会社には体調不良で休む旨を私から伝えておいたから安心して。一応私が連絡取れなくって見に行ったらすごい熱を出して倒れてたって事にしておいたから。
後、親御さんには自分から連絡入れておいてね。昨日探すのを手伝ってもらったから。言葉にはしてなかったし、いつも通りの放任主義みたいなこと言ってたけど、心配してたよ。
それと、無事帰ってこれてよかったね。今日はもう風呂にでも入って寝てな。
また明日の夕方に打合せに来るよ」
そう言い切って、ヒーちゃんは帰って行った。
私は、そんなヒーちゃんの言葉に感動しながら言われた通りに風呂に入って体を温めからベッドにもぐりこみ気づいたら寝ていた。
手元配信という何やら不問な言葉に気づかないまま。
~後日談~
「こんばん~、みんな心配かけてごめんねー。
いやー、まさかあの後あんなに熱が出ると思わなくってこんなことになるとは思わなかったよぉー。
あっ、この声に関しては今顔の映り込み防止の為に覆面マスクしててちょっと喋りづらくって変になってるだけだから、体調自体はもう完全回復だよー」
そう言って、私こと、スいカは配信を始めた。
あらかじめヒーちゃんと話して決めていたことで、今回私は急な高熱で寝込んでおり何もアクション出来なかったって言う事になっている。
その為コメント欄はいつものリスナーの温かいコメントや心配してたコメントで溢れかえっており、中には見た事ないリスナーの名前があったがどうやら代理でヒーちゃんが配信してくれた時に来てくれていたリスナーらしく、実際は初見なので初めましてとあいさつを交わしたりと配信を始めてなんだかんだで10分が過ぎたころようやく本題に入った。
「えーっと、今日は手元を移しながらの配信になりますね。詳しい内容とか私一切知らないんだけど何やるんだろう?サムネとかも一切見るの禁止ってマネージャーのヒーちゃんに言われてて本当に知らないんだよね」
そう言うとコメント欄には『あれなのか』『あれなんですね』『これは良い悲鳴?が聞けそうな予感』とかが流れてきて、どうやらリスナーはどんなことをやるのか知っているらしいことが分かった。
「え?なになに、みんな知ってるの?まさか知らないの私だけ?」
どうやら内容を知らないのは私だけのようで、リスナーに聞こうとした時ボイスチェンジャーを使ったヒーちゃんがやってきた。
「リスナーに聞かなくとも何やるかはこれを見たらわかります」
そう言われて、ヒーちゃんの方を向くとそこには私の嫌いな野菜が山のように盛られた皿を持っている笑顔のヒーちゃんがいた。
「ヒーちゃん何そのブロッコリーの山は!?」
そう言って私は椅子から落ちそうになった。
そんな私の様子に笑みを浮かべながらヒーちゃんは近寄ってきて、カメラを向けてるテーブルの上に置いた。
「スいカは忘れてるかもしれませんが私言いましたよね?お仕置き配信するって。
これはそのお仕置き配信の内容ですよ」
そこまで言って、カメラの位置調整をしながらヒーちゃんがリスナーに挨拶をした。
そして私は見てしまった。ヒーちゃんに対してのリスナーの一糸乱れぬ挨拶を。
「皆さんこんばんは、どうもマネージャーの堆肥です。今回もこの前同様ボイスチェンジャーを使ってのアナウンス等を行っていきますがご了承ください。あと、今カメラの位置調整等をしましたが大丈夫でしょうか?」
『『『『『堆肥様!お疲れ様です』』』』』『『『『『カメラ位置大丈夫です!』』』』』
その光景を観つつ私は部屋からの脱出をしようとするも、すぐさまヒーちゃんに見つかり合えなく椅子に戻された。
「スいカ、逃げてもいいですけどそうした場合お仕置きが追加されていくだけですよ。それでもならどうぞ逃げてください。
あぁ、今逃げるなら次回この倍の量のブロッコリーになるとだけ伝えておきますね」
そう言われて、私はおとなしく席に着きブロッコリーの山に挑むことになった。
「あぁぁぁぁぁぁ、この感触が!このもしゃもしゃ感がぁぁぁぁぁ」
そんな絶叫が2時間ほど流れる配信となったが、なぜか登録者が増えた。
「食べ終わりましたね。では2時間後からホラーゲーム3本クリアするまでの耐久配信ですよ。ちゃんと終わるまで配信続けてもらいますから、逃げようなんて考えないでください。
時間に関しては大規模連休のおかげでたくさんありますから安心してください。
あと夜食に関しても準備してありますよ。逆ロシアンたこ焼きですが。
あたりのたこ焼き、つまり普通のたこ焼きは30個中6個ありますよ。材料はとてもいいものを使ってますからこちらも安心してくださいね。残り24個は激辛だったり激アマだったりとさまざまですが」
「…………いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、どっちも安心できないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
~更なら後日談~
スいカのとある配信にて。
『ウホッ、どうも皆の者久しぶりだね。みんなの兄貴参上だよ!w』
そのコメントを見た時私はすぐに反応した。
「あっ、兄貴じゃないですか!最近配信に来てくれないから寂しかったよぉー。
お仕事でも忙しかったの?」
そう、この人は私の配信の常連さんでチャットランを盛り上げたりしてくれるし、よくスパチャを投げてくれたりギフトを送ったりしてくれてるいい人なのだ。
『兄貴じゃないですか!お久しぶりです』『兄貴の熱望してたお仕置きホラー配信来なかったから何かあったのかと心配してたよ』『最近こないから心配してたよ』
コメント欄にも兄貴を心配するコメントで溢れかえっていた。
『¥5,000:なに、ちょっと異世界に行っていたんだよ。無事向こうでやるべきことやって、こうして帰ってきたのさ』
そう言いながらスパチャをポンと投げてきたりするのは、兄貴のいつもの行動でリスナー達はナイスパとコメントやスタンプをしながら、兄貴の冗談を聞き流していた。
そんな中、私は3日目の薄れゆく意識の中で聞こえた事を思い出しまさかと思いながら配信をし、終わるころには忘れていた。
その頃、とある神はなんか目覚めていけないことに目覚めかけ同僚の神々がどうにかしようとしていたとかしていないとか。
まぁ、神の事など人々にはわからない事である。
この度は読んでいただきありがとうございます。
この作品は今書き貯めている作品の息抜きとして書いたもので、気が向いたら別視点のを書くかもしれません。
感想などお待ちしております。