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彼が言う。
「俺が今から述べることを、ただ、ひたすら聞け!」
僕は頷いた。
彼は話し出す。
「俺は、こうして、お前の姿を借りて今、ここに現れたわけであるが、
おまえを救いに来たのだ。
俺が思うに小説というものを俺は長編小説しか認めない。
今、おまえは、いくつか小説を書いただろう。長い小説で八万字のはずだ。」
実際に、そうだった。
彼は続ける。
「十万字ほどの小説を御前が書こうとして、書き上げた時、御前は死ぬ!!」
「え!!?」
僕は思わず、声を上げた。
そんな僕に彼は続けた。
「死ぬ理由があるのだ…御前は一作の長い小説を書くことにより、その小説に精根を込めるあまり、生気をもっていかれるのだ!!
だから、死ぬ!!
いいな、分かったな…忠告はしたぞ…!」
と、彼はフッと僕の目の前で消えてしまった。
僕は、彼が座っていた床を満遍なく調べる。
何もなかった…。
僕の動悸は激しくなる。
それが治まったとき、
僕は目覚まし時計を見た。
7時10分だった。
僕は、ヨロヨロと歩き、冷蔵庫から野菜ジュースを出して飲む。
ぺたんと座り込む。
時間だけが、そのまま、過ぎていった。
僕は、手持ちの野菜ジュースを飲み干すと、
部屋の窓のカーテンを開けた。
普段と変わらない景色を見た。
そして、一人、考える……。