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《怪物に挑む時は己が怪物になっていないか、気をつけることだ…》
【『人生の浪費』とは、彼らを言う…。中学までは基礎勉学であることを俺は彼らに諭そうとした。
スペースシャトルが発射され、飛行機は、まず落ちない…そんな世界だろ!?…と。ところが彼らは実を取った…。カラオケ、ボーリング、ダーツ、ビリヤード…それらを人並み以上に極めた彼らが熱中したのがサバゲーだった…。ナイフ、一本で無人島に長期滞在する……そういうのは避けて、彼らはスリルを求めて外国で傭兵になった。彼らは、根はイイヤツなのだ…だから、俺も彼らと、つるんでいた。頭も切れないわけではない…彼らの情報網を駆使して、彼らは戦地へと旅立っていった…。その時、我が国は好景気で、俺は不自由なく大学生生活を送っていた。スカパーや衛星放送に加入せずとも首都圏では10チャンネルほどのテレビ放映が見れた。加えて俺は映画好きで、近くのレンタルビデオ屋で世間が名作と評する作品を山のように観た。泣いて、笑って、考えさせられて、それに加えてテレビを見る…。
ある時、最新のビジネスシーンと謳うドキュメンタリー番組をテレビで見る。東大卒、京大卒のギラギラした若人が株式売買に挑んでいた。そのメンバーを仕切るのが株式の酸いも甘いも知り尽くした中年男性で、ルールに乗っ取り皆、人生に挑んでいた…。
その番組を見終わった後に俺は思う…。
(…この土俵では俺は決して勝てない…勝てないな…。)と。
そんな時、友達の帰国の知らせが俺に届く…。
伊藤が昏睡状態、井上が全身、擦過傷だと…。
井上に経緯を聞きたくて、二人だけで話をした。
井上は言った。
「…ゲリラ戦になる、とだけ聞かせれてさ…その場までチームで輸送車に揺られていた…そうしたら、ロケットランチャーて俺達が乗っていた、それは破壊され横転して…。」
井上の言うことを最後まで聞こうとしていた。
「傭兵に召集された時点でさ…俺達の口座に振り込みがあるはずだったんだけど未だに…」
「なぜ、分からなかった!!?なぜ、そうなると分からなかった!!?」
悲鳴に近い、俺の声…友に怒ったのは、これが初めてだった……。
伊藤は、ある時、意識を取り戻した。
彼の家族が莫大な治療費を払い、伊藤は奇跡的に回復した…だが、戦地の記憶がない…と伊藤は言い井上が、それを確認するも、紛れもない事実だった…。
俺は人生に躓いて、転んで今を生きていた…そんな時、今は、この国で再び懸命に生きる井上、伊藤……
そして悪天候でも
宅配する配達員、インフラに従事する道路設備者、交通員、
本日も俺が事務所で見掛けたクレームに電話対応する女性事務員…
美味しい、野菜、お肉、魚を提供しようと日々燃える人達……挙げれば、それに際限はない人々を想うと強く生きなきゃと俺は思うんだ……!!】
九州、博多生まれの僕は成人して上京した。
介護職員として、ずっと働いていた気がする…。
40歳を過ぎて退職した。
そのまま、半年が過ぎようとしていた。
僕は兄と二人兄弟で、
実家は八百屋であった。
兄が、それを継ぎ、
両親は東京に住む僕に、どこか無頓着だった。
それに対して僕は不満は無かった。
むしろ、有り難かった。
現在、無職ではあったが、ワンルームの家賃は貯蓄から払えており、
僕は兼ねてから、トライを切望し続けている書きたかったフィクション小説に取り組んでいた。
只ひたすら、それに没頭する…。
朝に起きて、書く。
腹が減ったら食べて書く。
日付が変わる前ギリギリまで書いて就寝する……の、毎日を繰り返していた。
お米は、まとめ買いして、
アパートに蓄えてあり、
他に食べたいものは全て近くのコンビニで買っていた。
お米が切れると買い出しに外に出る。
たまに、コンビニに行く……
それ以外は自宅にいて小説を書いていたのである。
僕は原稿用紙に、それらを書いていた。
いつしか、完成された小説が自宅にストックされていった…。