「建国譚」
『遥か遠いその昔、この大地は無であった。
厚き雲が立ち込め、草木の一つも芽吹かぬ不毛の地であった。
高貴なる四季の神たちはその地を憂い、一羽の金色の鷲を遣わした。
鷲はその翼で雲を切り、ぽっかりと大きな穴を開け、不毛の地上に降り立った。
すると、鷲があけた雲の隙間から神々の光が大地に降り注ぎ、その部分に命が芽吹いた。
金色の鷲は芽吹いた命を大切に育てた。鷲は命に三日三晩かけて光を与え、そよ風を吹かせ、祈った。
四日目には命は四つに分かれ、四季の神の魔女となった。
彼らは力を合わせ、この不毛の大地を変えていった。
金色の鷲は雲を薙ぎ払い、大地を光で包み込んだ。
青き魔女は春を告げる風吹かせ、大地に芽吹きを与えた。
白き魔女は夏を告げる風吹かせ、大地に葉を茂らせた。
赤き魔女は秋を告げる風吹かせ、大地に実りを与えた。
黒き魔女は冬を告げる風吹かせ、大地の枯葉を攫った。
そして命が溢れ、光が溢れ、四季が流れて幾年月が過ぎた頃。
金色の鷲は命をまとめ、国を作った。
四人の魔女たちは国を守るように手を取り合い、鷲と命を囲み籠を作った。
命たちはこの国を「エスタシオン」と名付け、鷲と魔女たちに感謝をささげた。
それ以来、エスタシオン王国は金色の鷲の子孫と四人の魔女に守られながら、平和を保っている』