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【揺花草子。】(日刊版:2023年)  作者: 篠木雪平
2023年01月
29/363

【揺花草子。】[#4020] 血で血を洗う。

Bさん「引き続き『ビーだまビーすけ』。

    昨日はエピソード3のストーリー展開をざっと追いました。」

Aさん「んん。そうだね。

    そしてきみらの見解ではこのストーリーの裏に

    黒玉王子暗殺計画が隠されていたと言う話だけど?」

Cさん「今日はその辺りを読み解いていきたいわ。」

Aさん「はぁ・・・。」

Bさん「よく考えてみて欲しい。

    黒玉軍の行軍の殿を務めていた黒玉王子だけど、

    谷底に落下したあと心細さから母上を呼びながら

    涙に暮れる程度には幼いと見えます。」

Aさん「それは、そうだねえ。」

Cさん「阿部さん好みの小学児童ぐらいの年頃じゃないかしらね。」

Aさん「ぼく好みのと言う枕詞は断じてやめて頂きたい。」

Bさん「そんな幼子が殿を務めると言うのも既におかしな話だけど、

    それ以上に、王子がビーすけたち3兄弟を見つけて追いかけてきた後

    黒玉軍の他の兵士たちが全く王子のフォローにやって来ないのが

    何よりおかしい。」

Aさん「おぉ・・・。」

Cさん「ビーすけたちは3人、王子はたった1人。

    これは王子が3兄弟を追っかけるなかで

    兄弟が王子の背後に回り込んで挟み込む体勢になりかねないわ。

    3兄弟を追いかけた王子が逆に3兄弟の捕虜になってしまう可能性が

    極めて高かった。」

Aさん「それは・・・確かに、言われてみればそうですね。」

Bさん「そして黒玉軍はそれを見過ごしていた。

    もちろん殿に居た王子だけが3兄弟に気付き

    独断で追走を開始したと言うのが状況から見て取れるけど、

    逆に言えばその独断専行を許す程度には部隊の規律が

    甘かったとも言えるよね。」

Aさん「そう・・・だろうか?」

Cさん「つまり黒玉王子は大切にされていなかった。

    行軍のさなか行方不明、あるいは戦死してしまったとしても

    何なら構わないとさえ思われていたのかも知れないわ。」

Aさん「そんな!事ありますか!?」

Bさん「全然あるじゃない。

    黒玉王子が黒玉王の唯一の子供と言う言及はないし、

    中盤で登場する黒玉王の屋敷で王子と再会した母親は

    黒玉王の正室、つまり王妃であるとの言及もない。

    黒玉王子は実は妾の子だったかも知れないわけだ。」

Aさん「えっ・・・そ・それは、まあ、可能性としては・・・。」

Cさん「そもそもこの『黒玉王の屋敷』として言及されている場所も

    前線の真っただ中だわ。

    そう考えると支配域のあちこちにあるであろう

    妾を囲う屋敷の1つと考えるのも無理はないわよ。」

Aさん「おぉ・・・。」

Bさん「正統な後継者である勇猛果敢な黒玉第一王子が既にいるとすれば

    勇気なき幼子は将来の禍根になる前に廃してしまおうと考えるのは

    あり得ない話じゃない。

    後継者を巡って実の親子兄弟が骨肉の争いを繰り広げた例は

    枚挙に暇がありませんよ。」

Aさん「それは・・・確かにそうだけど・・・。」


Bさん「となれば終盤の怒りに燃えた黒玉王の鬼気迫る振る舞いも

    穿った見方をせざるを得ないよね。」

Aさん「穿ちすぎでは?」


 望まれない帰還だったと言う事か?

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