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願い  作者: 赤崎リヒト
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第一章 担当わらび餅

ーーその日は晴れた夏の日だった。

私は少し離れた裏山で遊んでいた。自然はやはりいいものだ。葉々に遮られた太陽が私を照らす。草木の匂いが鼻をくすぐる。そうやって私は、非日常を楽しんでいた。


ふいに見ると、きれいな一匹の()()蝶が舞っていた。私はそれに一瞬で目を奪われた。そして私は導かれるようにそれについていった。いや、気づいたら体が動いていた。

 中途半端に伸びた草をかき分け、低木を避けながらもついていった。しばらくそうしていると、光が見えてきた。蝶は光の向こうへ消えていった……

 当然私もついていく。

 そして、光の向こうには小さい、大人の人の膝ぐらいの大きさの神社があった。

 狐のようなものを模した石像が祀られている。何の神なのだろうか……

 ふと見ると、台の上に白い花と古びたメモ用紙が置いてあった。


 「この花を千切り、願いを呟け。さすれば願いは叶う。」


 願いを叶えてくれる代物らしい。ほんとかな? 

 まあ私には願いもクソもないが持っておいて損はないだろう。私はそっと花を手にとった。

 日に当たると淡く光り、綺麗でいい匂いがする。ふと気がつくと日が暮れてしまっていた。どうやら遊びに夢中で気づかなかったらしい。

 私は花を手にしたまま、誰もいない家へ帰るのだった。




ー数年後ー

 私は小学校を卒業したのもつかの間、気づいたら高校生になっていた。なってしまっていた。

 将来の夢もないまま、ぼーっと生きていく毎日。周りに合わせ友達のいる高校へ進んだ。限られた少ない友達だったから、絶対に離れたくなかった。

 そのように周りの敷いたレールを歩みながら生きていた。

 そのため、こんなダメダメな高校生が出来上がっていた。

 社会不適合者の完成だ。やったね。なんて、言えるわけもなく。

 そして最近はそのダメ度に更に磨きがかかってきている。ゲームに浸る毎日、自堕落な生活。勉強してもとれて赤点をギリ避けれる程度の点数で、やる気もなくなっていた。

 こんなままでいいのか私? なんて、思ってもなにかできるわけでもなく。

 とにかくクソみたいな人生を送っていた。あのとき見つけた花は、小袋に入れていまでも持ち歩いている。


そして今日もクソみたいな毎日が始まった。

 ぼーっとご飯を食べて、ニュースを見て、着替えて。私に残されたのは花とたった一人の友達のみ。なんて思って登校していた…

 学校に付き、自分の教室に向かっていると悲鳴が聞こえてきた。

 うるさいやつらだな。なんて思いながら教室に入ると、たった一人の、唯一の私の友達が、首を吊って死んでいた。

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