イメチェンしちゃった 上
僕、宇多 真昼はとても緊張している。
明日から高校生と言うことでイメチェンするために入ったことの無い美容室にきているからだ。あーなんかいい匂いがするし店員さんもみんな美男美女だ。場違いな気分。でもそんなこと言ってられない。僕は今日この長い前髪を切ってラノベの主人公みたくかっこよくなってモテモテな高校生活をするのだ!
「今日はどのようにしますか〜?」
間延びした甘い声で女性の店員さんが話しかけてきた。緊張する。でも僕は生まれ変わるんだ!
「えっと、か、かっこよくしてください!」
思い切っていったぞ!よく言った!
店員さんがくふふと笑っていた。あ〜恥ずかしい。
「わかりました!とびきりかっこよくしちゃいますね〜。とりあえず前髪をあげますよ〜」
と言ってぼくの前髪を上げて顔を出した。そういえば僕は自分の顔をまじまじと見たことがなかったなー。どうしよ?ブサイクじゃないよね?
なんて思っていると店員が目をまん丸にして口をパクパクさせていた。
あれ?もしかして僕はブサイクだったのかなー?どうしよー
とあわあわしているといきなり店員さんが僕の肩を掴んできた。
「お客様!お支払いはカット代だけでいいのでカラーとパーマをあてさせていただけませんか?お願いします!」
さっきの間延びした声が嘘のようにはっきりと力強く言った。一瞬何を言っているのかわからなかったがあまりの迫力に気圧された。
「わ、わかりました。よ、よろしくおねがいします。」
それからはされるがままで2時間がたっていた。
ウトウトし始めてるときに店員さんがやりきった顔で終わりましたと笑顔を向けてきた。
そして僕は鏡で自分の顔を見た。…………驚いた。これは僕なの?まるで別人だ。
「凄く良くなりました!ほんとに!」
と店員さんが嬉しそうにいっているので僕も嬉しくなり
「はい!ありがとうございました!これで明日から始まる高校生活が楽しみになりました!ほんとうにありがとうございました!」
すると店員さんが僕の手をとって
「明日から高校生なんだ!あ、そうだ!じゃあ明日私が髪とかセットしてあげますよ!てかさせてください!」
なんか申し訳無い気持ちになったがあまりにもキラキラした目でみてくるので断れなかった。
「わ、わかりました。じゃあお願いします。明日、8時で大丈夫ですか?」
そう言うとはい!と笑顔で僕の腕ごとブンブン振って返事した。
その後、お会計するときに本当にカット代だけでよかったのかと思い聞いたが店員さんは笑顔で僕にサムズアップして大丈夫!と言ってくれた。緊張していたがとてもいいお店で店員さんだったのでよかった。僕が店を出るときに美男美女の店員全員がこちらを見てニコニコしていたのが謎だったが、ま、イメチェン成功と言うことかなと思い、一礼をして店を出た。思ったより時間がかかったので外はすでに暗くなっていた。僕はイメチェン成功で嬉しくなりニヤける顔を抑えられずスキップ気味に家へと帰っていった。
「家族なんて言うかな?たのしみだな〜」
そのときに周りに人がいてこちらを見ていたが女性より男性の方が多く視線を向けていたことに僕はまだ気付いてなかった。