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情景ってなんだろうね。

 突然ですが、読み専の方も書き手の方も、『情景』って意識したことがありますか?

 よく聞く言葉だけどよくわからない、という方も多いのではないでしょうか。


 情景とは何か。

 広辞苑によると『①感興とけしき。②その人の目に映じたありさま。また、単に、ありさま。「ほほえましい―」「その時の―が目に浮かぶ」』だそうです。


 いまいち、ピンときませんよね。

 このわかりにくさから、読むときも書く時も、情景描写をないがしろにしがちなのではないでしょうか。


 なので、ここで一度、『情景描写』についておさらいしてみましょう。


 まず、情景の意味です。

 先ほど、広辞苑に載っている意味を載せましたが、これは的を得ているとはいえません。感興だのありさまだのいわれても何が何だかわかりませんよね。


 そこで、僕なりに解釈を用意します。


 情景とは何か。

 情景とは『人物の感情・様子を読み取れるシーン』のことです。


 情景の解釈は以上です。次に、実際に情景が使われている例文を……といきたいところですが。

 結論に至るまでには過程が必要。式と答えだけでは理解できないように、何故そうなるのかがわからなければ、理解はしづらいですよね。

 ということで、解釈の説明をしていきます。


 まず、『情景』という熟語には、『情』と『景』の二つの漢字が使われています。

 それぞれ別の意味が込められている、ということはわかりますね。

 『情』は気持ち・感情、『景』は見た目・景色、といったところでしょう。


 熟語というのは、二つ以上の漢字を組み合わせて完成します。

 ということで、次は二つの意味を組み合わせます。

 『感情』×『景色』をしてみましょう。


 『感情』×『景色』  まずは直接つなげて

=『感情の景色』

=『感情のある景色』  何かがあるということは

=『感情が見える景色』 小説の時の表現にあわせて

=『感情が読み取れる場面』


 こんな感じです。少しわかりづらいかも知れません。僕の技術不足ですね、すみません。

 まあ、これである程度の意味を理解できたでしょう。そういう前提で話を進めます。


 はい、実際に情景を使った例文をみせます。ちなみに、広辞苑の例文は、情景という『言葉』を使った例文で、これから紹介するのは、情景という『技術』を使った例文になります。


 ここまで読んでくれた方には大変申し訳ないのですが、情景を完全に理解するには『スキル』が要求されます。いわゆる、『読解力・国語力』といわれるものです。

 ここに、二つの文を書きます。人物の感情がわからない・感情の違いがわからない、という方は沢山の小説を読み込むことをお勧めします。



 * * *



 しとしとと降り注ぐ雨の中、少女がポツンと佇んでいた。



 * * *



 しとしとと降り注ぐ雨の中、少女はいた。



 * * *



 はい。どんな解釈でも構いません。この二文から、それぞれ違う感情を見いだせた方は合格です。解釈(人物の感情・少女の恰好など)を感想欄に書き込んでくれると嬉しいです。勉強になるので。

 もし、少女の感情だけでなく、少女を見ている人(この文の目線)の感情についても感じた、という方は情景をマスターしているといえるでしょう。


 ここを読んでいる方はそれぞれの解釈が存在しているでしょうから、この文の解説はしません。

 ただ、テクニックについては少しだけ解説したいと思います。


 情景描写において、場面一体を支配する要素は重要です。『場面一体を支配する要素』とは『時間(時代)・場所・天気』などの場面が変わらない限り変化しないもののことです。

 変化しないといっても不変ではなく、作者都合で適度に操れるものでもあります。天気なんかは特にそうですね。


 天気の情景パターンについて、少しだけ解説をいれます。

 天気というのは、それぞれの差がはっきりしている、移ろいやすい、予報がある、という特徴があります。

 このうち、『差がはっきりしている・移ろいやすい』は皆さんお分かりかと思うので、『予報がある』という特徴についてをお話しします。


 予報がある、という特徴は天気が変化するときに最大の強みを見せます。


 天気予報通りになる→避けられない運命・軌道に乗った人生。

 天気予報が外れる→束縛からの解放・狂い始めた歯車。


 このように、簡単にその後の展開を示唆することができるのです。

 さらに、もともとの天気ごとの特徴と絡めれば、描写に深みが増すことでしょう。


 関係ないことですが、天気をうまく活用すれば、ヒロインとの一幕に奥行きが生まれます。

 ヒロインの落ち込みを雨で表現すれば、雨宿りと慰めの二面性を持った連れ込みが可能です。


 さて、話はかわりまして。何気ない一文に情景は宿ります。



 * * *



 彼女はクラスの中で、いつも一人だった。



 * * *



 彼女はクラスの中で、いつも独りだった。



 * * *



 この二文では、肉体的距離なのか、精神的距離なのかが変わります。

 『一人』では人数的な意味合いなのに対し、『独り』では孤独のニュアンスを強く持つからです。

 これにより、寂しさのニュアンスが変化するのがわかりますか?


 このように、細かな気遣いで、物語にでる深みが、シーンが与える印象がグッと変わるのです。


 皆さん、是非『情景』に気を遣って、ワンランク上の読書を、作品作りをしてみませんか?

是非、感想欄に記入をお願いします。

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