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35 クズだと思う人間はやっぱりクズだ……

俺はめでたく、一ノ瀬のしもべポジションを獲得してしまった原因である東雲を問い詰める。


「おい、東雲。お前に任せたら一ノ瀬のしもべになったんだけど。これはどういうことだ」


「どういうことって、これが現実と言うことよ」


いや、見れば分かることだ。

俺が言いたいのは、なぜあのとき原田に口止めしなかったのかと聞いている。


関係者である東雲は分かっているはずだが、俺の聞き方が悪かったと言うことでもう一度聞こう。


「そういうことじゃなく、どうしてあのとき原田を止めなかったと聞いている」


すると東雲はクスッと笑った。


「あ、忘れてた。ごめん」


まるで他人事のような言い方をしてきた東雲。

俺は東雲に「原田の件は任してほしい」と言われたから、東雲を信じて任せたと言うのに……


「ふざけんな!お前のせいで!」


俺は東雲の胸ぐらを掴んだ。


昔のよしみで東雲を信じて見たと言うのにこうもあっさり謝られたことに腹が立った。


「はぁだからなに?私には関係ないでしょ?」

「はぁ?」


東雲に死んだような目で見られた。


俺は馬鹿だ。


なぜ東雲のことを信じたのだろう?


東雲は決していい人間と言えない。

けれど、どこかしら思いやりのある奴だと俺は東雲を信じていた。


だが今、この瞬間に改めて東雲の本性を知った。


そういえば東雲は昔からそうだった。


東雲は他人事は他人事で済まし、自分のことしか考えないクズだと言う事に。


そのことに気づかされた俺は自分の馬鹿さと東雲のクズさに絶望し手を離した。

そして俺は決断した。


「東雲、もうお前とは関わらない。いや関わらないでくれ」


こんなクズといるといつか俺も腐る。

そして俺みたいに誰かを傷つけてしまうかも知れない。

俺は目の前のクズにならないためにも東雲と縁を切らなければならない。


「分かったいいよ。けど……」


東雲は俺に近づき俺に耳打ちしてきた。


「てめぇ、落とし前きっちりつけて貰うからな」


その狂気じみた声音にぞくっとした。


東雲は金持ちであるが故になんでもできる。


例えば俺を殺し、その罪を誰かに例えば原田や一ノ瀬に傷つけたり……


いやそもそも俺を殺したという事実を隠蔽するなんてことも容易いことだろう。


けれどそんなとこで東雲に屈したところで俺は東雲と縁を切るなんてことはできない。


だから俺は覚悟を決める。


「別に構わない」


絶対に東雲通りにはさせず、東雲ごときに屈しない。


それどころかいつか必ず、東雲を悔しがらせる。


そして東雲を見返してやると……


「ふーん、おもしれぇ。一体その口答えがいつまで持つか楽しみにしておくよ」


東雲は最後、俺の肩をポンと叩き消えたのであった……












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