23
俺は期待を胸にケーキ屋に行った。
だが・・・・・
入店してすぐ俺は、一ノ瀬はおろか、お客もいないことに気づいた。
「おい、誰もいねぇじぁねーかー」
「うん、だって貸しきりだもん」
そう言う東雲はいかにも「当たり前でしょ」とでも、いいたげに言ってきた。
さすが、有名財閥の令譲だ。いとも簡単にお店を貸しきってしまうとは・・・
いや、そんなことは、どうでもいい。
俺が、知りたいことは一ノ瀬がいないことだ。
俺は、東雲に聞いてみた。
「そうか、で、一ノ瀬さんは?」
「あー・・・・・ 一ノ瀬は遅れて来るらしいよ~」
東雲は、何か隠しているような反応をみせた。
まさか・・・・・・・
俺は、東雲の反応に違和感を感じた。
なので俺は、東雲に疑いの目を向けた。
「じっー・・・・怪しい・・・」
だが、東雲は嘘っぽさはあったものの本当だと言ってきた。
そして、話題を逸らすかのように話題を変えてきた。
「ほ、本当だよ。そんなことよりも早くケーキ食べようよー」
「ハァ~、分かった・・・・・・」
とりあえず俺は東雲を信じてみることにし、今はケーキを食べることにした。
「うわ~すげぇなー」
俺はこのケーキ屋にビックリした。
それもそうだろう。なぜなら、ショートケーキなどの王道なケーキはもちろん。アイスやフルーツ、クッキーと言ったお菓子が余裕で100種類を超えるくらいあった。
そして極みつけは俺が飲み込まそうほど大きいチョコレートホンデュタワーとホワイトチョコレートタワーだ。
そんな光景を見た俺は、なぜここが行列のできるケーキ屋さんなのかが分かったような気がした。
そして、東雲もフォンデュを見みながら驚いていた。
「うわーやっぱり、ここのフォンデュタワーは凄いなー」
だが、東雲の言葉を聞いた俺はすぐに嘘だと感じた。
なぜなら、東雲は、こんなタワーくらい、たくさん見てきたはずだ・・・
俺は、嘘は良くないと思ったので、東雲を注意した。
「おい、東雲、嘘は良くないぞ・・・・・」
すると東雲が、ややキレ気味に言ってきた。
「はぁー?私がいつ嘘をついたの?ねぇ、教えてよ」
やばい・・・俺は東雲を怒らせていると感じたのでこれ以上、この事に触れないことにした。
「ハァ~分かった、もういいよ」
そう東雲に言ったあと、俺はトレイに置かれていた、チョコレートケーキなどをとりに行き席で食べた。
そして、俺がケーキを食べはじめて、1分くらいだろ、東雲が俺の方に来て座った。
「よいしょと、私も一緒に食べていい?」
俺は東雲なんかと、ケーキを食べたいと思っていないので追い出すことにした。
「なんだよ、他のところ行けよ」
だが、東雲はでていくことはしなかった。
それどころか東雲は、可愛い子ぶりながら俺を説得しようとしてきた。
「もお~そんなこと言わないでよー」
そんな東雲の言葉を聞いた、俺は思った。
全然、可愛くねぇ・・・・・・・
その瞬間俺は東雲を追い出すことに決めた。
だが、タイミングよくあることを思い出した。
俺は、この状況を利用し、聞き出すことにした。
「なら、一つ聞かせろ。」
「うん、なになに?」
東雲は俺の言葉に食いついてきた。
なので、単刀直入に東雲に聞いた。
「一ノ瀬さんはいつ来るんだ?」
そう、いっこうに一ノ瀬が現れない。
俺はそんなことをふっと思い出したので東雲に聞いた。
「えっとー・・・・・・」
東雲は一ノ瀬のことを、聞いたとたん言葉を失っていった。
そんな東雲を見た俺は確信した。
一体、こいつは、なにを隠しているんだ・・・と。




