03 杖術士エミーナ 二
前回までのあらすじ
・メインヒロインのシルフィア、章ヒロインのエミーナに草原へ連れ出される
・主人公のトーマ、ヒロインズに合流したところで数十人からの弓で襲撃される
・トーマ、単身で反撃開始
バトルものでバトル始めておいてこういうのもなんなんですけど、本編のメイドさんバトルが始まるのはもう少し先です。メイドさんバトルをやるためにはまずメイドさんを出さなくてはならない……
ノスッタ・バートンは今年で四二になる。
現地工作員の彼に妻子はいない。組織はむしろ家庭を作れとせっついてくるのだが、彼の故郷は東部にある。
彼にとっての世界とは東部と、まあぎりぎり中央首都が含まれるくらいであって、西部で家族を作ろうなどと考えたことは一度もない。
実際、家族がいたらこんな任務はできないだろうと思う。現行秩序に不満を持つ盗賊団に入り込んで現地有力者暗殺の手引きをするなど。
トーマは攻撃を自身に対するものと決めつけていた。
実際は異なる。バートンに下された指令はシルフィア・スパルティアンそのひとの暗殺だ。
不死身の魔王の排除など、どうして自らの手でしなくてはならない? 現地有力者を暗殺し、その罪を魔王になすりつける。それだけで現地世論は奔騰し、魔王排除に傾いてくれるだろう。
実際に魔王を排除できるかどうかはこの際問題ではない。西部に魔王を足止めし、日和見のハト派の勢いを削ぎ、戦争状態が再度生まれることにこそ意味がある。
出血は続くだろう。
持ち直しかけた西部貴族らおよび政体の財政は再び壊滅し、経済規模が大きく後退するのも間違いない。
大資本が西部から脱出すれば、西部で行われていた事業も当然縮小する。
事業が縮小するなら雇用も落ちる。
雇用が落ちれば治安も悪くなる。
現代経済においてそれは、実質の焦土化とすら呼べるかもしれない。復旧には少なくない時間を要するだろう。
でも、だから?
しょせん西部の話なのだ。
少なくともバートンにとってはそうだ。同じように考える部局の人間がおり、上層部があって、政治家たちや有力者らがいる。
だからこそ、バートンにこの指令が下ったのだ。
暗殺は成功するかもしれない。しないかもしれない。
結果がどう出るかすら、バートンや部局の関心にはない。
水面下で行われている西部連合から政界中枢への対魔界和平交渉提案は、あくまで急ごしらえの西部連合が一枚岩である前提で成り立っている。対魔王においても、対中央においても、意見主張を同じにそろえることなどそうそうできるものではない。
組織集団というものは生じた時点から既に自壊する宿命を背負っている。政治というのはそれをどう先延ばしするのかという手腕に過ぎない。
その政治の要となる点を数度叩けば社会というのは自然と揺らぐ。火のないところにも煙は立つものだ。和平派の誰それが暗殺を手引きしたというデマ一つで西部連合は面白いように浮足立つだろう。犯人捜しでも始めてくれれば、その間水面下交渉は停止するし、主導権争いにでも発展してくれれば連合そのものを瓦解させる楔にもなりうる。
連合内に不和の火種を作ることができないとしても、連合外の継戦派はそれぞれがそれぞれの利権のために動いている。切り崩し工作とは、自分が多数派で相手が少数派であることを印象付けていくことだ。自分が何もしていなくとも、自分に有利な状況が勝手に生まれてくるという流れをつかむことだ。政治家たちは自分が孤立していないと信じられるその一点だけで、驚くほど図太く鈍重なふりを演じることができる。
この作戦は、継戦派のそんな側面を誘発させるのが目的だった。
暗殺は成功するかもしれない。しないかもしれない。
だが、一つの暗殺なり未遂事件なりが明るみに出れば、別の派閥が別の動きを始めるかもしれない。あるいはこちらの動きに見せかけて、連合内で同じことをする者が出るかもしれない。
多少雑でもかまわないのだ。「ああ、やっぱり、こういう状況じゃ暗殺くらい起きるよな」という先例、空気があれば、自然と緊張は高まってくれる。
ノスッタ・バートンは今年で四二になる。
人生では部下を何人も抱え、政治も仕事も練達し、円熟してくる時期に差し掛かっていた。世界とはこういうものだという確固たる定義を抱え、その一部となって世界の営みに参画している自負があった。
バートンにとっての世界とは東部と、まあぎりぎり中央首都が含まれるくらいであって、結局のところ、それが敗因となった。それまでの世界に個人で軍隊や社会の鼻面を殴りつけ勝ち続けた者などいなかったのだから、この点についてバートンを責めるわけにもいかない。
バートンにとって人界西部は世界に含まれていない。西部が魔王に喫した敗北は前例となっていない。個人戦力を社会が押しつぶすことはあっても、その逆はない。
バートンはその世界しか知らなかったし、それでいいと思っていたし、そうした人間だからこそ継戦派なんてのんきなことをやれていたとも言える。
彼の存在がそのまま、スパルティアン家当主の懸念を代表していた。
人界全体が新時代、新世界に対応できなければ、人界西部だけでなく人界全土が混乱に直面し、危機に瀕し、最悪滅亡の目もありうるのだ。
山なりの軌道で遠くから狙撃してきた暗殺者の一人に、トーマは文字通り矢のように直線的な動きであっという間に距離を詰めた。
シルフィアらのいた地点からそこまでは、本来窪地を駆け降りて這い上がる必要があった。
が、それを一跨ぎの跳躍で埋める。その勢いが第三の矢をつがえようとしていた暗殺者の腹部に拳という形で突き刺さった。
人間一人の重量を砲弾のように一直線に撃ちだしたエネルギーが暗殺者の胴体に余すところなく伝われば、暗殺者の上半身と下半身は繋がりを保てはしない。彼は千切れ飛んだ臓腑をばらばらに草原にばらまいていたことだろう。
そうしたって誰はばかることもないのだが、トーマは魔導で接触直後に急制動をかけ、時速数百キロから二〇キロ程度に速度を落とした。
急減速してなお、トーマより一回り二回り大きな成人男性の体が宙に浮く。
勢いを減じてなお、人間の乗った自転車やスクーターに体当たりされたような衝撃が、拳一点から伝達されたのだから無理もない。
体内で内臓の一つや二つ破裂していてもおかしくないが、トーマは頓着していなかった。無力化を確信できればそれでよい。
なにせ飛んできた矢は初回が二七本で、二回目が三二本だ。
単純計算でも最低あと三一人は賊がいる計算になる。
矢は一斉射だったから、どこかに指揮官がいると仮定すればあと三二人。最悪その倍は倒すべき敵がいると見積もっておくべきだろう。
そうそう殴りつけた敵一人のダメージコントロールに気を配っていられる状況ではない。
飛び込んだ草むらにまだ二人の賊がいるともなればなおさらだ。
虚を突かれた様子の男たちのうち、弓を握っているほうではなく、通信機を握っていたほうを優先した。突き出した右拳を開き、その場で地に足も着けずにくるりと宙で一回転。向かって左側にいた男の首に手刀を送り込む。
人間の首。胴体と頭部をつなぐその部位は筋肉や骨格に守られていない急所が多く外側に露出している。無防備なそこへ魔導で加速された表面積の少ない手刀部位を叩き込んだ。そこらの雑草のように意識をあっさり刈り取ったところを見ると、衝撃を強めるなにがしかの細工もあったかもしれない。
通信役が倒れ込むのを見届けることなく、三人目の賊がトーマの急襲から我を取り戻す前にトーマは着地し、身を沈めた。地を蹴って背中から三人目の懐に飛び込む。ひねりこむように左肘が突き出され、賊の腹部に入った。
悶絶し、腹を庇った賊は、結果として顎の位置を下げる。
そこへ右の掌打が真下から食らいついた。
至近距離から、
賊の両足の間に軸足を捩じ込んで大地を踏みしめ、
大地からの反発に膝をきしませるのと引き換えに、
垂直方向への爆発的な加速を得る。直前まで背中を見せていたのを今は賊に向き直っているのだから、その一撃には全身一八〇度ぶんの螺旋を描くような体重移動が乗っていた。右腕部一八〇度の返しを加えて三六〇度の円を描く力となり、突き上げられる打撃のベクトルはねじ状となる。
結果、賊は首から上をライフリングされた弾丸を打ち出すような衝撃に揺さぶられた。強制的に噛み合わされた前歯で舌先を千切り飛ばしながら仰向けにぶっ倒れる。
その場にいた全員を無力化するのに、一〇秒もかかっていない。
襲撃開始直後から矢の出どころをおおむね把握していたトーマは、次のグループを求めてまた一直線に草原を駆けた。
いつしか昏い喜びに胸が躍っていた。力を振るうのは愉しい。ごくごく単純で当たり前のことを今更ながら思い出した気分だった。
トーマには誤解が一つあった。
トーマは異邦者たる自分を排斥すべくこの襲撃が行われたものだと思い込んでいた。繰り返しになるが、実際はシルフィアが看破した通り、スパルティアン家に対する計画的なテロなのだった。
スパルティアン家はこの地方を自由に跋扈する獣や盗賊から民の営みを守る武家である。
そして野盗というのは、この時代専業でやるものではない。食い詰めた現地人なり職や家畜を失って食う術を失った者が緊急避難として選択するものであって、必然盗賊団などという規模の大きさにまで育つことなどありえないことだった。
本来、平時においては。
魔界植民事業が魔王の逆侵攻によって実質的な後退を余儀なくされた結果、西部には失業者があふれた。それも西部に生活基盤を持たない失業者がである。
新領土開拓に手間取っているくらいならともかく、西部の政体がまるごと植民事業の停止を決め恒久的な見直しを中央へ求めている現状、失業者の行く先は白紙化されたと言ってよい。
西部全体の経済が混乱に陥る中それでも西部連合は事態収拾に力を尽くしていたが、どうしたって複雑怪奇な現代経済という生き物すべての体組織に的確な処置など望めたものではない。救済処置から漏れる失業者とて少なからずいた。
それとて連合政府に請願を続けるという道だってあるはずなのだが、あえてその道から外れる者たちも出てくる。列の後方に並んでお恵みが垂らされるのを待つより、居並ぶ同胞の頭を踏みつけ踏み越えてお恵みの原資を掻っ攫うほうが早いと考えてしまう者たちが。
我々はこれを浅ましいと嘲笑することもできる。が、力によるただ一撃で窮状が解決するのだという思い込みに囚われてしまうと、力を行使する誘惑に抗しきれる者はそう多くない。
まして、そこに大義をぶら下げられると、人は容易に転んでしまう生き物だ。
たとえば、連合非戦派の主流スパルティアン家は強引なやり方で停戦を決め、中央からより多くの利権を引き出すべく条件闘争をしているのだとか、
スパルティアン家さえいなければ周囲はそうした駆け引きなしに戦争を再開できるはずなのだとか、
「そういうこともあるかもしれない」程度の確度、伝聞情報で、人というのは虚像に向かってすべてのリソースを賭けてしまえる。
ただでさえ思考が煮えているところへ中央のさるかたからのご意向で活動費が提供されなどすれば、もうそれは疑いようのない事実へと化けてしまうのだ。
ここまでお付き合いいただいた読者諸氏は、トーマが自身をどれだけ痛めつけられようと反撃や逆襲といった行動を選択しない人間だということをご承知のことと思う。
異常なほど自身に価値を認めていないその根底には、自身の不死性に対する一種の諦観、「どうせ自分は死んでも生き返るのだし、周囲から怪物と思われ攻撃を受けても仕方ない」という考えがあった。
しかし、痛覚がないわけではない。攻撃を受けてどうとも思わないわけではないのだ。
だから、日頃は仕方ないとあきらめて我慢していることになる。
そんな自罰的なトーマを逆襲に突き動かした衝動は、今回の襲撃で近くにいた婦女子二人を自分の排斥に巻き込んだ形と誤解した部分が大きい。日頃表に出せないトーマの引け目と重なる部分に火が点き、おおいに燃え盛っていた。
大の男たちが数十人頭数を集めて婦女子を射殺そうとしたとなれば、やはり心穏やかではいられなかったことだろうが、もう幾分かは冷静さを残していただろう。賊を蹴散らしてシルフィアとエミーナの安全さえ確保できればそれでよしとしていたに違いない。
謙虚というより卑屈なところのある少年は鬱屈した感情を溜め込みやすい精神構造をしていた。
だから、ひとたびそこに炎が立てば、当人にも制御できない大爆発を引き起こす。怪物としての力を縦横無尽に振るう大義がそこに添えられていたのだから始末に負えない。
トーマは皆殺しにまでは至らないまでも、非道に参加した全ての人間に強烈な痛苦を味わわせたいという超越者特有の残忍な誘惑に抗することができなかった。
年齢相応の少年らしい、と後にエミーナは評することになる。
結局のところ闘争に参加するどちらも、ほんの少しの誤解と、自身の望みに到る手掛かりのしっぽを目前にぶら下げられて、その両方を丸呑みするかたちで食いついてしまっていた。
それがいい悪いという話ではない。情報というのはそうした側面を加速させる触媒のような効果を持つことがあるという話である。
ひとびとは踊り続ける。情報の齟齬を引き起こすのに長けた手管の持ち主、そのてのひらの上で。
あるいはその絶対者を運命と呼ぶこともあるかもしれない。その前には、この状況を誘導した策謀者すら例外ではなかった。
襲撃者たちは散開して攻撃を行っていた。
目標を視認したうえで示し合わせて一斉射したところまではよかった。
が、目標の一人、貴族令嬢の供とおぼしき何者か――そう、彼らはその供が令嬢の忌み嫌う魔王だなどとは襲撃前には考えもしなかった――が身を挺して貴族令嬢を庇い、結界を展開したのは想定外だ。襲撃の成功を前提として、対象全員死ぬまで撃ち続けるというのが襲撃計画の骨子で、結界を張られるなど考えてもいなかった。
つまり、撤退の必要も想定されていなければ、当然撤退の信号も決まっていない。
油断と言えば油断だが、供を持たない女子供を数人殺すだけの仕事には不要なはずだったのだ。
優秀な魔導士であるシルフィアを相手に、五〇人動員して数で圧殺するつもりだったというのが何より大きい。領内最大の個人戦力であるシルフィア以上に警戒するものなど、襲撃者たちにはなかったのだ。
なんにせよ予定は狂ったが、とにもかくにも、一人には矢を当てた。貴族令嬢の巻き添えを食った従者らしき不運な男、その右側広背筋の真ん中を綺麗に誰かの矢がぶち抜いた。想定外のはずの男も、もう戦力として使い物になるまい。あとは女二人を片づければいいだけだ。
想定外の男に結界を張られたのはたしかに厄介だ。しかし、結界の強度など当ててみなくばわかるまい。あと数回斉射すれば結界を貫くことだって可能かもしれない。
一方的に数に任せて射殺すだけの簡単な仕事のはずがやや不測の展開にもつれこんでしまったが、こちらの優位はまだしばらく動くまい。弦に二本目の矢をつがえながら、誰もがまだ楽観できていた。
にもかかわらず、息も絶え絶えのはずの従者らしき男が襲撃者らの第二斉射に対応、迎撃を行った。その場に竜巻を発生させて矢を吹き散らしたのだ。
そして、窪地を一跨ぎに飛び越え、その場を離れた。背丈よりも高い草むらに突っ込み、すぐにその姿も消える。尋常ならざる魔術行使と身体能力だ。多勢に無勢、一人逃げて救援を呼ぶつもりなのかと思われた。
実際、あの速度で逃げられたら追いすがることもできまい。
襲撃後の逃走を含めた作戦のタイムリミットがずいぶん繰り上がった、と誰もが歯噛みしただろう。
彼らが自陣の失点として数えたのは、せいぜいその程度のことだった。
まさか、襲撃した相手に噂の魔王が混ざっていて、そいつが数十人いる暗殺者に逆襲を仕掛けてくるなど思いもよらない。
陣形も災いした。三人一チームとして五〇人を一七チームに分けていた。それぞれが藪蚊に悩まされながら連絡員一人、射手二人の一チームとして目標を包囲するために散開し、潜伏している。
つまり、互いの姿が目視できない。
自陣の戦況評価ができないまま、第六斉射が予定の半分もないことに誰もが気づく頃には、状況はもう取り返しのつかないことになっていた。
合流という選択肢を思いついても、もう戦力は半壊している――
「くそっ、何が起きてるんだ! まさか飛び出してきたあいつがくだんの魔王ってやつなのか!?」
「ケツまくって逃げるぞ! 散り散りになれば全員は追えない!」
「魔王ってのは、テレビ中継じゃ毎回屋敷の女どもにぼこぼこにされてる奴だろ、そんなに強いわけがない!」
「どうでもいい! 襲撃は失敗だ! カシラに連絡するのも後でいい、まずは走っ――」
――都合一三チームめの指揮者の言葉はそこで途切れた。突如降って湧いたトーマに頭を踏みつけられ、踏みつけられた勢いのまま、危険な角度で前のめりに地面と接吻し、沈黙する。
ナイフを抜き放つ襲撃者、
泡を食って逃げ出す襲撃者に、
残る者たちの反応は分かれる。
トーマはすぐに後者へとびかかった。魔導で加速している魔王の瞬発力は四足歩行の肉食獣よりも大きく、逃走者との距離を即座に詰める。
飛びつく先は足。
逃走者が重心をかけようとしていた左足。
これを超低空、後ろから全体重をかけて刈り取った。逃げだそうとした勢いより強く速い力に足を絡めとられた襲撃者は凍った湖面で足を滑らせたかのように後ろに倒れ込む。後頭部を激しく打ち、気を失った。
大の字になってのびているところ、庇いようがない腹部へ容赦なくトーマは右拳を突き下ろす。
手足が、刈り取られた意志とは無関係にびくんと撥ねる。
三八人めを確実に無力化したと目視したうえでトーマが視線を上げれば、三九人めがナイフを握って五メートル近い距離を詰められずに固まっていた。トーマの動きがあまりに速すぎて、逃亡者を追うために側面を晒したトーマに攻撃を届かせることすらできなかったのだ。
まして正面きってたった一人で相対するとなると、これはもうどうしていいのかわからなくなっていた。
とはいえ、相手に武器があり、トーマは無手だ。間合いと殺傷力では相手に優位がある。トーマから無策に近づかなければならない理由もない。
トーマは左手を伸ばし瞬時に極小の魔力を展開すると、三九人めの顔面に小さな衝撃波を撃ち込んだ。せいぜいやわらかく手で軽くはたく程度の威力しかもたないそれは、しかし的確に人体の急所が集中している顔面を捉えていた。
どれほど軽い威力――それこそ幼子が遊びで指で弾くような――であろうと、むきだしの眼球に攻撃を受けて平気な者などそうはいない。一時的に眼を潰され、三九人めは手にしたナイフを取り落とし顔を覆う。
身体が意志に関係なくとろうとした一瞬の反射、防衛反応。しかし、どれほど短い隙であろうと、トーマにとっては作るべくして作った隙だ。相対する賊、その戦闘意識の間隙に自身の身体を捩じ込むのには十分だった。屈強な男たちであろうとも人体構造上筋肉が薄い鳩尾へ、的確に右拳を送り込む。打撃のインパクトが十分に伝わり、互いの皮膚が密着した状態で、さらにその奥にある内臓や神経の集まりへ再び最小威力の魔術が放出された。
筋肉と違い鍛えようのない器官では、どれほどささやかな攻撃であろうと圧倒的な暴力となる。
倒れ込んでうずくまり、顔を庇っていた腕が今度は腹部に回った。全身を丸めようとする兆しを見逃さず、トーマは直立状態では届かなかったはずの敵の頭部を蹴りつけて襲撃者の意識を飛ばした。
相手に痛苦を与えてもよい戦闘というのは気楽だった。
終わりの見えた行程に少し名残惜しいものを感じながら、まだ見ぬ四〇人目のいる方角へトーマは身体を傾けようとし、
ふと顔をしかめた。
自分に向かって一直線に向かってくるものがあるのを感知、
怪訝な顔でそれを待ち受ける。
「……怪物め」
バートンは作戦の――襲撃ではなく、盗賊団潜入作戦そのものの――失敗を悟ると、早々に全員を逃げ散らせることに決めた。
現地盗賊団に潜入して状況を誘導するのが彼の任務だった。
何も知らず情報をつかまされただけの盗賊団首領から背後関係を辿ることはできなかろうが、全滅を避ければそれだけ西部の政情不安に寄与することは間違いない。盗賊団そのものの再起は難しいかもしれないが、次の任務、次の次の任務の役には立つはずだった。バートン自身が健在である利点は言うまでもないが。
彼の所属するグループを唆して、周辺に散らせ、逃亡する。
近くにいた仲間に声をかけて撤退し、それらにも散り散りに逃げさせれば、生存の確率はさらに上がるだろうと吹き込んだ。
しょせん仲間たちは使い捨ての工作対象に過ぎない。それでも自分が一時しんがりを引き受けて時間を稼ぐ価値はあると判断した。情ではない。打算だ。
たしかに相手はべらぼうに強いのだろう。あっという間に団を半壊させるほどの実力を持っているのだろう。
それでも、しょせん個人に過ぎない。体を一つしか持たない超越者に過ぎない。散り、潜伏し、機を待ち、当人以外の弱点を陰から刺すだけでよい。
その要因を少しでも多く作って成り行きに任せるのがバートンの仕事だった。超越者に身を晒すのはぞっとしないが、目の前を掠めて状況を引っ掻き回すだけならやりようはある。
魔王を殺しきる必要はない。強力な魔導に振り回されながらその余波で失業者をねじ伏せている近接戦闘の素人の喉笛を、ほんの一度掻き切って姿をくらませるだけでいい。
こんこんと尽きることなく湧き出る魔力の流れを腕でかいて遡るようにバートンは進み、あらためて覚悟を固め自分の身長以上の高さに生い茂った草むらをかき分け、うろんな目つきをした魔王の視界内へ自ら進み出た。
超越者の目をしっかりと見つめて。
生贄の羊とてただ捧げられるばかりではない。種全体の生存圏がかかっているならなおのことだ。
「……驚いたな。あんたが噂の魔王か。俺が来るのがわかってたのか?」
待ち受けていた魔王に、バートンは軽口を叩いた。逃げる仲間たちの猶予を少しでも稼ぐ目的だった。
魔王は肩をすくめる。しぐさ自体はどうとでもとれるようなものだった。返事は返してこない。
だが、猛獣にとびかかられるタイミングを少しでも先送りするような心持ちでバートンは話を続ける。
念仏を唱えている間悪魔が動きを止めるというのなら、二時間でも三時間でも唱えていられそうだった。
もっともこの世界に神仏などいないのだろうが。いれば魔王の逆侵攻など許しているはずもないだろうから。
「一人で五〇人からの分散した敵を、こんな短時間で殺し尽くせるとはね」
「べつに殺しちゃあいませんよ」バートンの言葉を気のないくちぶりで魔王はそっけなく訂正した。「死んだ方が楽な人もいるんでしょうけど、そこまでしてあげる義理もないので」
「義理?」
「死なない魔王に突っかかってくるのは、まあ控えめに言い換えても、ただの自殺ですよね」
「べつに死にたいわけじゃないさ。俺たちの未来は開拓事業再開にあって、そのためにはあんたらが邪魔だってだけだ。未来がなきゃ死ぬのに、どうして魔王と敵対して死ぬことだけ特別に避けなきゃいけない?」
「それはなんの反論にもなってないんじゃないですか」
「そうか? ……そうかもな。まあなんにせよ驚いたよ。あんた、強いんだな。あのくだらない番組じゃいつも女中にボコボコにされてるのに」
魔王の目が細められた。
「社交辞令ですか」
「正直な感想だよ。あんたはもっとこう、愚鈍で実戦にうとい奴だというのが世間の認識だった」
「ちがいますよ、そっちじゃない」
「ええ?」
「あなたは驚いていないとぼくは言ってるんだ。冷静だ」
「ああ」バートンは口の端をひん曲げるように苦笑した。「そりゃあ冷静にもなるさ。ならなきゃこの場を生き延びられそうにないんだもの」
「ぼくから逃げられるとでも?」
「こっちはあんたが毎週のようにボロ雑巾のようになって死ぬ番組を見せられてるんだぜ。あんたを殺せば何分だか何時間だかは動かなくなることだって知ってる」
「なら、そうしておけばよかったんだ」
「……なに?」
意図をつかみかねてバートンが問い返すと、魔王は昏い目で嘲笑った。
「まっすぐぼくのところに訪ねてきて、刺せばよかったんです。そうすりゃあなたたちは痛い目を見ずに済んだ」
「無抵抗で刺されてくれるって? この世界に侵略してきた魔王が?」
「毎週のようにぼくがボロ雑巾のようになって死ぬ番組を見せられてるんでしょ? なんのためにそんなことをしてると思ってるんです?」
魔王は嘆息した。首を振る。聞き分けのない42歳の子供を前にした17歳の年長者のように。
そのしぐさはひどくバートンの癇に障ったが、魔王は億劫そうに続けた。
「あなたは冷静だ。でも、ぼくと同じで賢くはなかったらしい」
「……認めるよ。賢かったら異世界入植事業なんてものに借金してまで相乗りしようとは思わなかっただろうな」
心に立ったさざ波を押さえつけながら、盗賊団潜入用に作ったカバーストーリーをバートンは披露する。
が。
「それも嘘ですね」魔王はにべもなくそれを看破して、つまらなさそうな顔で切って捨てた。そして、自分で口にした言葉をあらためていぶかしんだ。「……ん? あなたは他の人たちと違って借金がないのか。……いったいなんでこんな馬鹿なことを始めたんです」
「なにが嘘なものか。われわれは貴族たちが占有し停滞させている植民事業進行をあるべき姿へ戻すために――」
食い下がろうとするバートンを、魔王はつまらなさそうに切って捨てた。
「わかるんですよ。お芝居の技術を磨いていて人を煙に巻くのに自信がおありなんでしょうが、そういうのは関係ない。あなたにはお金がある。だからすくなくとも借金しているというのは嘘なんだ」
「ええ?」
「金銭パラメータは嘘をつかない。お金の持ち主がいくら嘘をつけてもね」
焦点の合っていない目で魔王はバートンを見透かした。文字通りバートンのことなど何一つ見ておらず、バートンを介してバートンの向こう側を無遠慮にじろじろと眺めまわした。
ぞくりとする。この魔王は人間じゃない。あらためてそれを骨身に思い知らされる。
同じ地平に同じ生き物の形質で立ちながら、筋肉や骨格に因らないべつの構造を相手に見ている――
「まあ、どうでもいいや。ぼくの考えなきゃいけないことじゃない」自分から持ち出しておきながら、魔王はあっさりと疑問を投げ捨てた。「今は自分のお楽しみが先だ」
「できると思うか。あんたがどれだけ凄腕だろうともう何十人と相手しているはずだ」
「そうですね。あなたが四〇人目だ」
「我々は全周包囲して仕掛けた。だから円周状の俺たちの配置を走り回って相手して、ここまで来ている」
「そうですね。だから?」
「もうあんたの体力も限界じゃないか」
「そうでもありませんね。あと百人くらいは持ってきてもらわないと肩慣らしにもならない」
「それこそ嘘だな」バートンはやり返した。「俺を待ち受けていただろう」
「そうですね。あなたから近づいてきましたから」
「息を整えたかったんじゃないか。あんたにとってもハイペースな戦い方だったってことだ」
「そりゃ息一つ乱してないとまでは言いませんよ」
「なんでそんなに急いだか。俺たちが一か所に固まって連携するのを恐れたんだ」
「なるほど」魔王はあきれたように瞑目し、両手を掲げた。それだけなら降参のしぐさに見えなくもなかった。次の言葉を伴うことさえなければ。「そこまで考えてなお一人でやってきたんですね?」
バートンはその切り返しに反論できず、黙り込んだ。魔王はゆるゆるとかぶりを振った。
「あなたは馬鹿には見えない。仮に賢くはなかったにしても。少なくとも事前になにかしらの設定を練っておいて演じる準備を怠らないていどには、嘘の整合性を気にする頭がついてる」魔王は嘆息を挟んで、億劫そうに言った。「それでもいま簡単にボロが出たということは、単にいまこの場即席で編みだした勝算ってことだ。ぼくの目の前に立ってから自分に有利な材料を考え始めたってことですね」
「だったら?」
「時間稼ぎのためにこの会話をやってる。そういうことなんでしょ。お友達思いなんですね? かれらが逃げる時間を稼ぐつもりなんだ」
論理的に自分の意図を言い当てられて、バートンは表情にこそ出さなかったが胸中で舌打ちした。気持ち悪いだけじゃなく馬鹿でもないというのは厄介だ。
時間稼ぎをやるつもりが、気づけば情報を引き出されている。いまのところは齟齬が大きいが、さらに情報を引き出されればどんどん正確な状況把握に結びついていくだろう。
バートンは腹を括った。殺すしかない。これ以上情報を引き出される前に戦闘へ移行、速やかに暗殺してこの場を離れるしかない。
たとえ相手の戦闘力が人知を超えていたとしても。
バートンは苦笑した。それだけは心からのものだった。サバイバルジャケットからナイフを引き抜いて構える。
「察しがいいな。察しがいいついでにさっさと殺されてくれたりしないか?」
「姫に手を出さなければそれも一考の余地があったでしょうね」
「それでも、この会話につきあってくれる程度にはまだあんたは慈悲深いみたいだが」
「べつに慈悲からじゃありませんよ。あなたのお友達はどれだけ時間を稼いだところで逃げられないんだから」
「……なに?」
バートンがナイフ越しに怪訝な顔をするのに、魔王はたいした興味もなさそうなくちぶりで続けた。
「襲撃が確定した時点で結界を張ったのには気づいてました?」
「スパルティアン家の主従を庇った結界だろ。結界の中にお貴族様を置いて、あんたが結界の外に出てこうして俺らを狩り出してる」
「ひょっとしたら姫たちもはじめは同じ勘違いをなさってたかもしれませんね。そうではないんですよ。結界は姫たちを覆うようにかかっているわけじゃない。あなたたちを覆うようにドーナツ状にかかっているんですよね」
魔王の説明が、バートンにはすぐに呑み込めなかった。
じわじわと理解が脳に浸透する頃には、戦闘の緊張に引き締められていた口許がだらりと開いていた。
「――はあ!?」
「ですから、結界を破壊しない限りお友達は逃げることもできないわけです」
「そんな結界、聞いたこともないぞ!?」
「人界ではそうなのかもしれませんが、魔界から来た魔王の情報なんてそりゃ聞いたことのある人が少ないでしょうね」
「なんのためにそんな結界を……」
「姫を危険から守り、同時に賊を逃がしたくもない。一番合理的なのは一手で賊のみを結界で囲い込むことですよね」
表情をひきつらせてバートンは左右に視線を走らせた。結界は無色透明の力場に過ぎない。自分の眼球へ可視光線を集めたところで何の証拠にもならないのだが、それでも信じられない思いが優秀な工作員を無意味な挙動に駆り立てた。
口走る。
「それじゃここは結界の中で――」
「あなたのお友達はまだ全員この中を寝転がってるか右往左往してるかのどちらかだってことですね。姫への攻撃はもう行われてないようですから、いまごろみなさん絶望しながら外側の壁でも叩いておられるんじゃないでしょうか」
バートンは絶句した。それでは魔王の言う通り、時間稼ぎは意味を為さないことになる。
「外から危難を払うたぐいの結界は通信や通気のために結界密度をある程度以上に上げられませんが、内部に危難を封じ込めるたぐいの結界は結界密度を気にする必要がないですからね。結界強度は弓矢どころか破城槌を持ってきてもそうそう破れないように仕上げてあります。お友達が結界を破れるくらい時間を稼げるといいですね」
「馬鹿な、そのうち息もできなくなるって? そんな結界聞いたこともない」
「今聞いたじゃないですか。繰り返しになりますけど、人界の常識の範疇で魔王と戦うほうがどうかしてるんですよ」
バートンはなにごとか反駁しようとして、ナイフを握った利き手のてのひらにじっとりと汗がにじむのを自覚しながらあえぐことしかできなかった。
きっと気のせいに決まっているが、なんだか呼吸が苦しくなってきたような――
「あなたたちの政治的首魁のひとつ、西部連合上層部がぼくらと停戦したのはなんでだと思ってるんです? ぼくらと戦ったって勝てない現実を思い知ったからに決まってるじゃないですか」
顔色を悪くしたバートンへ追い打つように、疲れきった顔で魔王はうめいた。ひょっとしなくても、これまで何度も何度も繰り返してきた説明なのかもしれない。徒労感を隠そうともしなかった。バートンの事前分析通りド素人そのものの近接戦の構えを見せながら、魔導の超越者は続ける。
「まあ、全員無力化したら当然いちど結界を解きますけどね。このままだと姫が外に出られませんから」
「あんたを殺って結界を解くという手も――」
「結界を張ったのはぼくでも、その維持と補強は姫にお願いしてあります。ぼくをどうしたところで何の意味もないですね」
「はったりかもしれないな?」
「毎週のようにこの世界のメイドさんに番組でぼこぼこにされてる。あなたの言ったことですよ。そんな非力なぼくが、どうしてこの場だけまったく死なない前提で自分で結界維持をやると思うんです? 当然魔導に長けた姫にお任せしますとも」
その姫は結界の外側にいる。ことここにいたってバートンは唇を噛んで虚しく認めた。状況はどうしたところで詰んでいる。
それでも、魔王殺しを試してみないわけにもいかない。奴の口から出まかせ、はったりの可能性に賭けるしかなかったのだった。
魔王は二度殺せた。
殺害一度目のあと、外部への脱出が結界に阻まれていることを確認した。
殺害二度目のあと、内部への脱出もやはり結界に阻まれていることを確認した。
閉じ込められていることを確認してもバートンの心が完全に折れたわけではなかったが、それにしたって多少意気がくじけはしたのかもしれない。
バートンの暗殺術の手口を死に覚えで学習した不死身の魔王は、死角からの隠しナイフの一撃を手首の腱にひっかけ巻き取りながら不格好な頭突きでバートンの鼻を潰し、じわじわとバートンに細かい手傷を負わせ続けて弱らせ、最後は脇腹肋骨の隙間から肺を刺し貫かれるのと相打ちでバートンの鎖骨に肘を落として叩き折った。
急速再生能力のないバートンのようなただの人類を無力化する決定打としては、それでじゅうぶんだった。
バートンの意識を刈り取ったあと、半死半生の体のトーマは自身の再生を待たずに残る一〇人を結界終端間際に追いつめてひとりずつなぶり倒した。
スパルティアン家本邸へ襲撃直後にエミーナから発された通報に応じてスパルティアン家の男たちが押っ取り刀で駆けつけるまで、それからさらに三〇分待たなければならなかった。
人界へと到る次元の裂け目。これが近年になって発見されたサラドネ地方は、人界首都から見て西の果ても果てにある広大な土地だ。
ただ西部とも呼ばれる。
気候は穏やか、一年を通して温暖。広大な平地や草原。窪地に水が溜まってできた湿地、そしてそこここに人の手が入りきらない森林ばかりがどこまでも広がっている。
地形はほとんど平たい。起伏がないわけではないが南に申し訳程度の山がある以外、どこまでも見通しがよい。丘陵とも呼べないような、果ての果てまで緩い傾斜の続くこの故郷を馬に乗ってどこまでも駆けていくのがシルフィアはことのほか好きだった。
どこまでも見通しのよい草原。馬上にあってそうだというだけで、実際には放牧者がどれだけ家畜をけしかけようと食い尽くすことのできない草の海。
人間の背丈より高く、たやすく徒歩の人間を覆い隠す緑の波に、血まみれでたたずむ魔王の再生は、三分もかからない。
気弱でともすれば卑屈ともとれるほど自己主張のない少年の痛苦は、今日も水面下でシルフィアに観測されないままいつものように始まり、いつものように終わった。
本邸からの増援を確認した少年はシルフィアの前に姿を現し、つんのめって窪地に転げ落ちたあと、泥だらけになってシルフィアらの前に情けなく這い上がっていった。
増援が現場に踏み込めるよう結界の解除を請うだけで済む話が、いつものように要らない失言をしでかしていつものように年頃の少女の不興を買い、いつものように恐縮することしかできなくなる。
シルフィアの金曜の憂鬱は、晴天の土曜の午後を事情聴取で潰され忙殺されるかたちでいつものようにうやむやにされた。
ろくでもない現実を前に自分の繊細な部分に関する悩みを後回しにされる不満はとっくに慢性化していて、シルフィアは苦虫を噛み潰したような顔でその日もいろんなものをあきらめて呑み込んでくれた。
エミーナは物分かりのよすぎる生徒を案じつつも、少なくとも月曜の企画会議へ向けて妹分の機嫌を最低限でも修復できたことにほっと胸をなでおろしていた。
本章におけるエミーナの試練が、まさかこのありふれた日常から端を発することになろうとは、この時夢にも思っていなかったのだった。
次回狼藉の後始末をして、番組の様子を描くのはその次くらいでしょうか。
だいたいここまででお話の基本的な感触、人物のタッチや描写の密度は出し終えたと思いますので、ここまでが肌に合わないかたはこの先もそうなる可能性が高いです。
お話ですから多少のギミックでいくらか変調することはあるかもしれませんが、基本は馬鹿なことを2やってバトルっぽいことを1やる感覚で話を進めていければなあと思っておりますです。